【覚書】ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『メッセージ』(Arrival, 2016)
「わたしはふと 、〝遂行的な(パフォーマティヴ)〟の語形変化に〝遂行(パフォーマンス)〟という語があって 、それは 、なにが言われるかがわかっている会話をするときの感覚を記述できるものであることを思いだした 。いわば 、演劇のなかで演技をする(パフォーミング)ようなものだ 」。テッド・チャン『あなたの人生の物語』(浅倉久志訳、2012年)より。
時制のない(起点も終点もない、ということは前後も左右も想定しない)宇宙人の言語をめぐるこの小説を読んでいて、ジュディス・バトラーが言っていることが腑に落ちた気がする。予め決まっているのかも知れない「法」(言語体系)。それでも何事かを、主体としてではなく、エージェンシーとしてなすことの意味。
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