漫才『物持ち』
ABはいどうも
Aおいちょっと聞いてくれ
Bなんや急に
Aいや聞いてくれ
B聞いてるよ。どうした急に
Aあんな、、
B調子悪いんか?
Aいや悪ないよ
B無理すんなお前
Aしてないって
Bせやけど漫才始まっていきなり話止めるとかよっぽどやんけ
Aいやだから漫才すんねんけ
Bちょ、ほんまに無理すんなってお前
Aしてない!ゆうてんねん
B横なれ。な。無理すんな
Aならへんよ!
B大丈夫やから。寝ろ寝ろ。横なれって
A誰が漫才中に寝るねん!
B吐け。吐いてまえ
A背中さわんなお前!
Bゲーせえ、ゲー。無理すんな。吐け
A聞け!ゆうてんねん!体調は悪ないねん!
B何?
A話を聞け!体調は悪ないねん俺は
Bなんやお前、仮病か?
Aもうさ、どんどんどんどんこじれてくやん
Bまぁ調子悪ないんやったらさっさと漫才せえや
Aなんやお前は!
Bくだらん前置きいらんねん。見てくれてるお客さんもヒマちゃうねん。チャッチャと漫才に入れや、あほかお前は
Aなんやお前はっ!!!
Bええからええから
Aくそっ、死ね。ええわもう、。あんな、今度俺引っ越しするんやけどな、、
Bふんふん
A荷造りしとったら昔の荷物とかようさん出てきてな、いらんもんは整理せなあかんねんけど、なかなか捨てられへんのよ
Bほお
Aなんかこう、いつ使うか分からんけど取っといてまうみたいなさ、そういうのない?
Bあ~、分かる分かる。確かにあるなー
Aせやろ?結局最後は捨てるようなもんでも、なんとなく置いといてまうねんな
Bまあ結局最後は捨てる、って事はないけどな
Aあ、そう?ほとんど捨てない?
Bうん。物捨てへんからな、俺
Aでもさ、もう読まへんマンガとかさ、着いひん服とかさ、多少はあるやん?
Bないな
A無いの?珍しいやっちゃな、、
Bせやし俺、物捨てた事ないなぁ、、
Aいや、物捨てた事ないって事はないやろ
Bないよ?
A生まれてこのかた?
Bない
A一回も?
Bない
A嘘つけや!ほなお前、小学校一年生の時の教科書まだ持ってんのかい!
B持ってる
A幼稚園の時の名札!
B持ってる
Aほな靴は!えーと、一才の時に履いてた靴!
B持ってるって
Aうわっ、変人やんけ、、
B誰が変人やねん
Aなんなん?お前んちゴミ屋敷なん?
Bなんでゴミ屋敷やねん。普通の家や
Aだって一切ゴミ捨てへんかったらそうなるやろ
Bならへんよ、別に
Aていうかお前、鼻かんだティッシュはどうすんねん。それは捨てるやろ、さすがに。
B鼻かんだ事ないねん俺
A嘘つけよ!
Bないよ本当に
A生まれてから一回も?
B生まれてから一回も
A別の扉開いたやんけ、、、。変人ていうかもう奇人やんけ
B誰が奇人やねん
Aせやけど絶対おかしいやんけ。お前は生まれてこのかた物を捨てた事がないと。そして鼻をかんだ事がないと
Bせやからそう言うてるやん
A飲み物はどやねん。お茶!ジュース!飲んだ後の空き缶!お前、今まで飲んだ空き缶、全部捨てんと持ってんのかい
Bあれもペン立てとかに使えるしな
Aペン立てなんか一個で十分やろ
Bうん。一個しかないで?
Aは?
Bだから一個しかない。俺、ジュースって一回しか飲んだ事ない
Aだからつぎつぎ別の扉開けんなって!
B小1の時に飲んでん。コーラ
Aうそやろ。今まで生きてきてジュース飲んだん一回だけ?空き缶一個?
Bエコやろ?
Aエコも引くわ!
Bあ、でも二本あるで。去年、缶コーヒーゆうのも初めて飲んでみた
Aなんなんお前。タイムトラベラーなん?
Bフィレってゆうやつ
Aファイヤーやそれは。キリンのファイヤー
Bペン立てが傷んできたから
A小1から使ってるもんね!
Bだって幼稚園の時に習ったやろ。ものを大切にしましょうって
Aいや限度があるから!
Bでもな、こんな俺でも唯一、捨てるもんがあるねん。なんやと思う?
A何?
Bナイショ。ありやしたー
Aおい!ふざけんな!待てっておい!終われるかそんなんで!おい!待てこら!