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アンネンスキーより5編の詩

インノケンティ・アンネンスキー (1855-1909)

卓越した技巧と研ぎ澄まされた内省が特徴。20世紀のロシアのモダニスト詩の潮流(象徴派、アクメイスト、未来派)に大きな影響を与えた。


蝿は黒い思念のよう


蝿は黒い思念のよう、私に日がな一日つきまとう...
A.N. アプーチン (1840-1893)

不眠症と妄想によって私は疲れきっていた。
ほつれた髪は私の視界を覆っている、
私は、韻文の毒によって
とどめることのできない思索に耽りたいのだ。

私はそれらのもつれをほどいていきたい…
いや何もかもが間違いではないのか?
晩秋の蝿はかくも悩ましい―
彼らの冷たい羽はあまりにひどく粘ついている。

蝿の想念が這い回っている、譫妄のように、
それらは紙を埋め尽くし、黒へと...
ああ、なんとそれらが忌まわしく穢れていることか...
引き裂いてくれ、燃やし尽くしてくれ―一刻も早く!
                       (1904)

列車の中で

私たちはやり遂げた、十分に、
私たちは呼びかけた、十分に―
静寂の中で腰をかけよう、微笑みはせずに、
低くたなびく雲は雪に照り映えていく
そして天の光はゆったりと消えていく。

かよわき柳は言葉には表せぬ乱戦の中
舞狂いてのち裂かれる。
私は言う、「明日までには」
「今日のところは、それをとどめておこう」

たとえ過ちに限りがなかろうと
私は―夢も見ずに切望もせずに―
白い大地を見渡していたいのだ
綿毛につつまれた窓を通して。

あなたが美を引き立たせ、輝く間に...
私があなたの赦しをえることを確信させ―
周りの何もかもがこわばっていく夜の
流れと共に輝かせてください。
                (1906)

春の歌

まだ潮流が定まっているわけではない
けれど紺碧の氷は沈みかけようとしている、
まだ雲は消え去ろうとしてはいない、
けれど雪は太陽の光に呑まれている、
半開きの扉を通して
私の心は囁きを聞く...
まだあなたの愛は遠いけれど
もう二度とあなたと離れ離れになることはない。
                  (1906)

罌粟(けし)

燃えさかる艶やかな一日。密やかな牧草。
立ちゆく罌粟は、強欲な不能者のよう、
肉欲と猛毒に満たされた唇のよう、
緋色の蝶の羽翅のよう。

燃えさかる艶やかな一日…今はもう誰もいない庭園。
淫行と祝宴はすでになされた。
照り輝く太陽の祝杯のもとで会釈をする罌粟は、
魔女の頭のよう。
                     (1910)

冬の空

溶けゆく雪が消え去っていく暁、
頬は赤く燃えて煌めく
私は思わなかった、月がこんなにも小さいとは
雲がこんなにも霞んで遠くにあるとは。

誰もたずねずに、私は立ち去ろう、
私の出番は終わったのだ、永遠に。
私は思わなかった、月がこんなにも綺麗だとは
月がこんなにも怯えて天にかかっているとは。

夜が近づいている。私は誰でもなく、誰のものでもない、
生きることの不安に擦り切れてしまった、
私が裏切った故郷の
月の光の霞みにおどろく。

青銅の詩人

青い円蓋にかかる白い雲、
鋭い輪郭を描くねじれた木々、
熱された埃、伸ばされた影、
幻影が通っていくのは新しくされた心臓。

なぜ物語はかくも短かったのか。私には答えられない。
物語に後半はあるのか、私にはわからなかった。
青ざめた空にはちぎれた雲、
夜は暗くなった木々の下で歩き回っている。

その男、夕暮れのベンチに座る彼は
次第に重くなり、ますます奇怪になっていく…
動くな! 輝き始めたカーネーションのためか

しなってはからまる茂る低木のためか、
詩人は彼のくたびれた青銅の軍服をはためかせ
芝地へと身を投げる。

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