オトメさん
いくら歳を取っても、女の子の部分は誰もが持っているものだ。
好みの男性と目が合って、照れてしまったり。
イケメン高校生に見とれてみたり。今日の自分はなかなかいい感じ♡みたいに自己満足に浸る。オトメゴゴロってやつ。
おばさんと呼ばれる歳になっても、他者からも分かるほど「オトメゴゴロ」が溢れ出ている方がいる。溢れ出るまでになると大抵が「面倒くさい人」と認識される場合が多い。
通っているスポーツクラブで何人かお見掛けする、オトメさん。
概ね50歳は超えている。
どこに行っても平均年齢は上がっているため、気の毒だが若い人々ほ比較的おとなしめ。黙々と運動に励んでいる。
トレーナーやクラス運営に不満があると、当たり構わず、今日何が自分に起ったかを誰彼構わず訴える。
いい歳した大人が「私、○○トレーナー嫌い」と大きな声で自分の好き嫌いの発表会。
トレーナーとクラスレッスン中、目が合わなかったから「嫌い」
ライブハウスのようにクラス中、皆を鼓舞するトレーナーにコール&レスポンス。「はいっ」「むり~」「ああ~ん」と謎の声を上げている。トレーナーの真ん前に場所取りした挙句、「今日は調子が悪いの、場所代わって」ってと勝手に前列引退宣言。
こういった「舞台女優型オトメさん」は遠くから観察してれば、うるさいだけで実害は少ない。
もっと面倒なのは、「私がルール!!」のチェック型オトメさんだ。
着替えるのが面倒な私は、自宅からウェア姿で自転車でクラブに行くことが多い。ピッタリめのレギンスが好みなので、確かに目を引くのかもしれない。「そのままで帰るんですか?!」初めて声を掛けられたのはこの一言だ。
「はい、このまま来たので」と答えると
「このまま来たんですか?!」
「お疲れ様です、お先に失礼します」と会話を終わらせて帰ると、
それから会うたびに「そのままで帰るんですか?!」と聞かれる。
それは同様にウエアのまま来店する若いお嬢さんにも向けられる。
「私はそのまま帰るの無理~」と言っていたが、結局のところそのまま帰る勇気がないだけらしい。
年の頃は50代後半か60代前半といったところか。親しくなると必ず相手の年齢を聞いてくるらしいが、自分は絶対に答えないらしい。
普通に着替えれて帰れば「今日はリゾート風ですね、会社帰り?」
「夕食はどうしてるの?作って来てるの?」など、放っておいてくれという事ばかり聞いてくる。手足の爪は綺麗に塗られ、毎回お化粧はバッチリだ。
今時の素敵なマダムという、出で立ちだ。
なぜ他人が気になるのだろう?自分が素敵なんだから気にしなければいいのに。「あの娘は男漁りに来てるのよ」「あのトレーナーはあの人を贔屓する」運動するために来る所で、自分の興味を他人にまき散らす。
その発言の根底に感じる「オトメさん」
若い頃のように、人目を浴びて中心に居たいのだろう。
彼女たちの若かりし頃は、さぞかし面倒な存在だっただろう。
知らなくてよかった。
歳を取っても、「オトメゴコロ」は失いたくはないが、
密やかに胸に秘めていたい。
全人類が素敵でいないといけないような風潮のある、現代。
「オバサン」が「オバサン」でいられなくなり、「オトメサン」に
なりました。
今日も「オトメサン」のいるスポーツクラブに行くとするか・・・