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月が満ちてる夜に「ファミレスを享受せよ」

なあ君、ファミレスを享受せよ。
月は満ちに満ちているし
ドリンクバーだってあるんだ。

わくわくゲームズの「ファミレスを享受せよ」をプレイしました。
ずっと気になっていたけどできずにいたこのゲーム。

推しの配信者がプレイしていて、これは自分でやってから見たい!と思い、ようやっとプレイしました。
ゲームは自分でやってなんぼ。絶対やらないジャンル以外はね。

ノーマルED、トゥルーEDの2種を見るまで長くて3時間くらいのカジュアルなゲームです。
でもとても長く感じる、そんな独特なゲーム。


永遠のファミレス、ムーンパレス

主人公は勉強中のある夜、ふとファミレスに行きたくなって夜中に近所のファミレスに出かけます。

そこで注文をして勉強を始めますが、一向に注文したものが届かない。ふと周りを見ると、なんだか入ってきた時と雰囲気が違う店内。
どうやら店員もおらず、店内には数名の客とドリンクバーだけがある様子。
他の客たちと雑談をしたり、脱出の方法を探してみたり、いろいろなことをして過ごします。

ゲームとしては、選択式(一部ポイント&クリック)アドベンチャーゲームです。
他のお客さんと会話をしていくことで話題が増えていき、いろいろな話をすることができます。
もちろんドリンクバーも飲めます。

どうやったらこのファミレスから脱出できるのか、そもそもここはなんなのか、他の客たちはなぜここにいるのか。
いろいろな謎を、行動していくことによって解き明かしていきます。

しかし本作の醍醐味は謎解きではなく、会話を楽しむというところにあると思います。
独特の絵柄と個性的で魅力的なキャラクターたちによって、唯一無二の雰囲気を醸し出していて、それが本作の最大の魅力かなと思います。

個性豊かな客たち

主人公を含め、店内にいるお客さんは個性的な人たちばかりです。
長髪の青年セロニカ、古株ダウナー系おねえさんのガラスパン、亡国の王さまR・スパイク、1人部屋に引き篭もるツェネズ。
基本的にはこの5人で過ごしています。

彼らと会話をすると話題が増え、最初は当たり障りない話しかできないけど、段々と彼らがどんな人物なのかを知ることができるようになります。

個人的にはガラスパンさんが好きです。

彼女はラテラという友人とここへ来たと言いますが、ある時急にラテラはいなくなったそう。
彼女のテーブルにはラテラのものであろうコップが残されていて、「それにはあまり触らないでほしいな」と言われるので、彼女にとってとても大切な人なのだなと思います。

後にラテラについての真相が明らかになりますが、それも含めて彼女の人となりがとても好きだなぁと。
通勤電車から見えた金色のカブトムシの話が特に好きですね。

あと主人公も結構好き。
彼女が何の試験を受ける予定だったのか、なぜその試験を受けようと思ったのか、16桁のパスワードを総当たりで挑む姿勢など、割と変な人で好きです。
試験云々の話はクリア後特典の設定資料で読めるので、ぜひクリアして読んでみてほしいです。

少ない人数で長い時間をほぼ会話して過ごしているので、一人一人の深掘りができ、この人好きだな〜ってキャラクターが見つかりますね。

良いBGMとありがたい設定資料

Switch/Steam版では、トゥルーEDクリア後に特典として、サウンドギャラリーとイラストギャラリーが解放されます。

良いBGMのゲームは良いゲームという持論がありますが、このゲームもまさにそういうゲーム。
全7曲のBGMは、作品の雰囲気作りに大いに生きていて、ゆったり、だけどどこか寂しいような、ムーンパレスの雰囲気を感じ取れるようなものになっています。
ギャラリーだと曲のタイトルを知れるのもいいですね。

それから、あまり他では見ない独特な絵柄も作品の魅力かなと。

ドリンクバー

設定資料では作中には出てこなかったイラストと、キャラクターの細かい設定や世界観の説明などを読むことができるので、この作品をより理解することができます。

SF?ファンタジー?
とにかく珍しい世界観ですが、設定資料のおかげでだいぶ理解しやすくなっています。

途方もない時間の中を過ごす新鮮さ

ゲーム自体は短いのですが、すごく長い時を過ごしたなと感じるので不思議です。
それはところどころで誰かが、時間について話すからかな。
膨大な時間があるとやることも話すことも尽きる…かと思いきや、人間は意外とタフなのか、TRPGを作る人がいたり、森を鮮明に想像すればどこへでも行ける、と言っている人がいたり。

閉鎖空間に永遠に閉じ込められたら正気を失いそうなものだけどな…と思いますが、みんなどこかここにいることへの安心感があるというか、納得しているというか、不思議な感じです。諦めとも違う、どちらかというとポジティブな雰囲気がある。

現実の世界では時間は有限で、いかに限られた時間を有意義に過ごすか、みたいなところに焦点が当てられがちですが、意味を見出さない時間があってもいいな、とこのゲームをやっていて思いました。

そう言う意味では、時間という概念の捉え方がちょっと変わったかな。
いかに早く、効率よく、成果を出せるか、みたいな現代。それに苦しくなる時もあるけど、ムーンパレスで過ごすうちに、16桁パスワード総当たりとか、やってみてもいいじゃない。とか思いました。


またムーンパレスに行きたくなったら、また誰かに会いたくなったら、起動しようかな。

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ori
ありがとうございます!生きる糧になります…!🥹✨