黄泉の国からの訪問者 -あなたは誰を蘇えらせたいですか?-
「よみがえり」という映画のジャンルがある
漢字で書くと「黄泉がえり」と書くそうだ
たとえば、自分が観た中では「鉄道員(ぽっぽや)」や「異人たちのと夏」がある
「鉄道員」は、鉄道員一筋の人生を歩んだ佐藤に起こる奇蹟を扱う。幼い一人娘を亡くした日も、愛する妻を亡くした日も、休むことなくずっと駅に立ち続けた佐藤。そんな彼の前にひとりの少女が現れる。彼はその少女に亡き娘・雪子の面影を重ねてゆく。そこから物語が始まる
「異人たちとの夏」のほうは、妻子と別れ、マンションに一人暮らしをしている壮年のシナリオライター・原田が主人公。ある日原田は、幼い頃に住んでいた浅草で、12歳のときに交通事故死した両親に出会う。原田は両親を懐かしみ二人のもとへ通い出す。やがて同じマンションに住む桂という女性にも出会い、不思議な女性だと感じながら愛し合うようになる
比較的最近のものとしては、映画「いま、会いにゆきます」がある
最愛の妻・澪を亡くし、1人息子と慎ましく暮らしていた巧。澪が残した「1年たったら雨の季節に戻ってくるから」という言葉が気になっていた。そして1年後、雨の季節に2人の前に死んだはずの澪が現れる。そこから3人の共同生活が始まる
2021年に芥川賞をとった石沢麻依の小説「貝に続く場所にて」も、類似のテーマを扱っている
夏の陽光が射すドイツの大学都市の駅舎に、9年前の東日本大震災で行方不明になったはずの知人が姿を現すことから始まるストーリー
梶尾真治の小説「黄泉がえり」は、熊本市で火の玉やUFOのような不思議な発光体の目撃情報が寄せられた同じ頃、熊本地方を震源とする震度1の地震が観測される。このあと、死んだはずの人たちが熊本市内で次々に蘇るというもの
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わたしは輪廻も再生も信じていない。死んだらそれでおしまい。天国も地獄も来世もないと
でも、ある人の死をうけて、そうした考えが揺らいでいる
というか、その人だけ例外であってほしいと強く思う
もしその人が蘇り、不意にわたしの前に現れたら、どんな気持ちに襲われ、どんな言葉を交わし、どんな時間を過ごすだろうか
桜が咲けばいっしょに見に行き
通院のときは病院に付き添い
外出すればあの人の好きな菓子を買って帰る
好きな時間に寝て、好きな時間に起きる ・・・
そんな、あたりまえの日々を味わわせてあげたい
思いのままに過ごせる日常を用意してあげたい
そして、たぶん、その人はまたわたしのもとから不意に消え去ってしまうのだろう
こんどこそ永遠に・・・
わたしは神を信じてはいない
でも、仮に神というものがいるとしたら
こんな気の利いたアレンジをしてくれてもいいのではないか
ほんの1ヶ月だけでも
いや1週間でいい
あんなに神を愛した人だったから
そして、その人をこよなく愛したこのわたしのためにも