見出し画像

【コラム】すげえ古本屋を見つけた話【DC3】

 古本屋、良いよね(唐突)。
 僕は普段、推し作家さんや存命作家さんの本は新書で買うことにしている。作者に印税を入れたいからだ。印税で喜んでもらって、次の作品を書いてもらわねばならない。
 一方で古本屋って良いよな。消費者側として、安く買いたいのは本音である。おや、なんだか新しいお店ができているぞ、喫茶店かな?

「街から書店が失くなったから古書・新書・書籍店はじめました」DC3

!?!?!?!?!?!?!?!?!?
 愛媛県は松山市、古本屋『DC3』である。文庫本三冊400円!? 入ってみると、芥川龍之介も太宰治も坂口安吾の短編集もある。ほぼ無料じゃねーか(違う)。
 愛想の良いオーナー(長身の白髪で、本屋の店長よりはバーテンダーか組長に見える)に詳細を聞くと、文庫本コーナーは三冊400円、他にも奥に行くと戦前に出版された同人小説雑誌や漫画、ゴッホやゴーギャンの美術展パンフレットもある。取り扱うジャンルはなんでもありらしい。奥の棚には値札が貼ってない書物が並んでいたので聞くと、
「相談次第だよ。高い本にシール貼ると、気にする人いるから」
 とのこと。高価格(多分一冊一万円以上くらいが基準か)の本には値札がなく、交渉次第らしい。オークションみたいで格好いい。そんな本屋さん聞いたことねーよ。
 とりあえず、文庫本の中から芥川龍之介短編集と他数冊買わせていただいた。これが去年の年末くらいの話。コラム書くまで遅すぎだろってそれ一番言われてるからな。
 それで、中原中也の『在りし日の歌』(近代文学館)があったのだが持ち合わせがなく、後日買っても良いか聞くと、店頭に置いてある本がほぼ全てで、早い者勝ちシステムが基本らしいので、取置きをお願いしておいた。それで、この春、やっと買い取りに行った。

キターーー!

 近代文学館からの復刻版なので原本ではないが、原本と同規格らしく、雰囲気が凄く良い。ちなみに、文学を値札で語ろうなんてあまりにもナンセンスだが、DC3で最も高いのは芥川龍之介全集の原本で12万円前後(交渉次第)らしい。無傷だと60万前後だが、ヤニがついたり折り目がついたりしているので、この値段とのこと。絶対値下げ基準テキトーだろ。これも買いたかったけど年中金欠マンなので、表紙と扉絵だけ拝ませていただいた。
 店の飾り付けも、オーナーや店員さんも愛想の良い方ばかりなので、愛媛に寄った際はぜひ覗いてみてほしい。『DC3』ね。

この少年のような目を見ろよ(実際19歳頃の写真だが)

 中原中也くんって国語の教科書に載ってる中で一番イケメンだよね。個人的には教員集合写真の時の夏目漱石もカッコええぞ(何の話)。

2024年 6月 文園そら

サポートいただいたら本を買ったりご飯食べたりします。