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リユースはなぜサスティナブルといえるのか

導入

こんにちは、『Selloop』 Operations Managerの阿井です。
この記事は、リユース品の売買ビジネスへの新規参入を検討されている企業のご担当者様を対象としています。
リユースと関連してサスティナブルというワードで検索している方も多いと思います。
そこでこの記事では、リユースがなぜサスティナブルといわれるかについて解説していきます。

1. リユースはなぜサスティナブルといえるのか

リユースとは、使用しなくなった物のうち有用なものを製品としてそのまま使用すること、または他の製品の一部として使用することを言います。
リユースという言葉自体は、3R(リディース/リユース/リサイクル)の1つとして以前から幅広く知られていますが、最近は、サスティナブルな取り組みの1つとして注目されています。
なぜ、サスティナブルな取り組みとして注目されているのでしょうか?

それはリユースをすることで、製品の使用年数を延ばすことができ、製造/廃棄にかかる資源/エネルギー使用の抑制につながるからです。
リユースを行うということは、まだ使える製品を廃棄せず、より長期に渡り使用することなので、結果として製品の使用年数を延ばすことになります。

実際に、消費者アンケートや各種統計等から国内保有台数と国内出荷台数を把握し、製品ごとに新品の製品のみの平均使用年数と、中古品を含めた全製品の平均使用年数を求め、その差分を延長使用年数として推計した環境省の調査があります。
調査の結果、冷蔵庫や洗濯機、パソコンといった製品では約0.3~ 0.6 年、家具(いすやタンス)では約 1.1 ~3.4 年使用年数の延長効果があり、社会全体としてひとつの製品を長く使うことができていると確認されました。
そして使用年数が延長されることで、廃棄物の発生を低減させるのはもちろん、製品をリユースした分、新品の製品の製造が抑制されることになります。調査でも、冷蔵庫や洗濯機、パソコンといった製品で年間 19 万台~100 万台の長期的な廃棄物削減効果があるとも推計されています。
つまり、社会全体でリユース品の保有率が高くなればなるほど、平均使用年数をさらに延長させることが可能となり、製品の製造/廃棄を通じた資源/エネルギー使用を抑制する効果が高まります。

出典:環境省 リユース読本

ただし、家電や車など使用時のエネルギー消費や環境負荷が想定される製品は注意が必要です。
これらの製品は省エネ性能の向上や使用時間が効果に影響します。
環境省の調査によると、例えば、エアコンは使用時のエネルギー消費量が、2000 年から 2010 年の間に電力消費量でいうと40.4%改善されているため、リユースすることで却ってCO2 の増加につながる可能性があるとのことです。
エネルギー消費や環境負荷という観点では、リユースが必ずしもサスティナブルと言えないケースもあるので、最新の製品の省エネ性能を比べながら柔軟に対応していく必要があります。

出典:環境省 リユース読本

2. 他の手法に比べてサスティナブルなの?

リユースの他にもリサイクルなど、サスティナブルな活動として知られている取り組みがあります。
それらと比較した際にリユースはどういった位置づけになるのでしょうか。
ここで比較に役立つ「バタフライ・ダイアグラム」という考えを紹介します。
「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」を提唱するイギリスのエレン・マッカーサー財団が
サーキュラーエコノミーの3原則に基づいて作成した「バタフライ・ダイアグラム 」は、技術的サイクル・生物的サイクルという2種類のサイクルを用いて、循環経済を表現しています。
図の2つの大きな円が蝶の羽のように見えることから、このように呼ばれています。

出典:一般社団法人サーキュラーエコノミー・ジャパンHP


ここで見ていただきたいのは、右側の円「技術的サイクル」です。
技術的サイクルでは、石油・金属・鉱物等の枯渇性資源の循環を示しており、限りある資源を無駄なく最大限有効に利用していくための手法が示されており、循環が円の中心に近いほど、環境負荷が抑えられる仕組みになっています。
この中でもリユースは再利用・再分配に該当し、サービス提供者である企業側を介する最も効果的な手法であると位置づけられています。
実際に、循環型社会形成推進法第7条で定める基本原則では、リユースがリサイクルよりも上位に位置付けられています。

3. どのくらい環境負荷低減につながるの?

こうしたリユースによる資源/エネルギー消費の抑制効果を定量的に算定し、企業/サービスのブランディングやESG投資を呼び込むIR活動につなげる動きも起こりつつあります。
前段で紹介した環境省の調査では、使用年数の延びをベースにリユースの効果を算定していました。
しかし使用年数の調査は、製品利用者の使用期間の継続的な調査などが必要となり、1企業単位での継続的な調査実施は難しいと思います。
一方で、環境省が公開しているCO2の排出原単位を活用する、比較的容易な実施方法もあります。
CO2排出原単位を使うことで、例えば、物量あたりのCO2排出量などを算定できます。
例:衣服における物量あたりの排出原単位 12 kg-CO2/個
※環境省公開データ

排出原単位を用いて、商品当たりの製造/廃棄/リユースにおけるCO2排出量を求めたうえで、リユースにより製造/廃棄の発生をどの程度抑制できるのかを加味することで、CO2排出の抑制効果を定量的に算定することが可能です。

排出抑制効果の考え方を簡単に表すと以下の通りです。
排出抑制効果=製造抑制効果+廃棄抑制効果-リユースによる排出(主に物流など)

また、今回はCO2での例を挙げましたが、水などの排出抑制効果について、各種団体などから出されているデータベースから排出原単位を引用することで算定可能です。

現状、リユースにより製造/廃棄発生の抑制効果は、企業独自で定めているものが多いですが、中には学術機関との共同研究や、気候変動関連/温室効果ガス算定を専門とするコンサルティングファームと共同算定を行うことで客観性を確保しようという動きもあります。
いずれにせよ、リユース活動による環境負荷低減効果の計測については、現状、自社による自社のための内容が殆どです。
一方で、これからのサスティナブルな社会・サーキュラーエコノミー(循環型経済)を推進するという意味では、1社の枠にとらわれず、広く世の中で活用される計測指標が必要だと思います。

4.二次流通支援サービスのご紹介

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 オークネットグループ企業ストラテジックインサイトでは、一般企業様におけるリユースビジネスの立ち上げを支援するサービス『Selloop』をご提供しています。 クイックかつローリスクなリユースビジネスの立ち上げを、ビジネス設計のコンサルティングや各種開発・制作の代行、業務BPOによって実現します。 ご興味のある方は、Selloop webサイトよりお気軽にご相談ください。 

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