2年間だけ娘だった息子〜2話〜
息子は4月生まれという事もあり、幼稚園では同学年の子達より背も大きく出来る事が多かった子でした。
加えて積極的な性格なので先生からも頼られ、行事などでは割と目立つような子です。
でも男の子にしてはやんちゃさがない、怖がり、可愛いものが好き、そんな性格も持ち合わせていました。
小学生になっても特に問題もなく、先生との面談では褒められた記憶しかありません。何にでも興味を持つので習い事もいくつか通い、どれもそれなりに才能を発揮する器用なところもあります。
総評して手のかからない、そんな子供です。
好きなものはトミカ、プラレール、猫のぬいぐるみ、すみっコぐらし。
おうちでは格好良いおもちゃと可愛いものを掛け合わせて遊ぶ姿をよく見ていました。
男の子でも可愛いものは好きでしょう。
その様子には何の違和感も感じませんでした。
でも習い事の発表会で女の子が着ているドレスを見て「良いな〜」と言っていた息子を見た時は少し、あれ?と思ったのは覚えています。
2年生後半くらいから
「髪長くしようかな」
「女の子との方が話しやすい」
「なんで男子は着替えやトイレの時あそこを見てこようとするの?すごい嫌だ」
と中々気になる発言をするように。
わたしの中で確信はないものの、もしかしたらという思いはあったのだと思います。
息子のカミングアウトにそこまで動揺しなかったのもそれがあったから。
スカートを買いに行く日、息子はとっても嬉しそうでした。
でもいざ選ぶ時になると恥ずかしいのか少し遠巻きに私を見て、これ?と私がジェスチャーすると首をふるふると横に。これ?うんうん、という具合で記念すべき1着目をゲットしたのです。
ここから実際にこのスカートを履いて登校するまでは少し時間がかかるのですが、この日の事は忘れられません。急に娘が出来たようで何故か楽しかったのです。
この後、息子は髪を伸ばしていきます。可愛いヘアピンをしてみたり、女の子のお店でバックを選んでみたり。
少しの不安を抱えつつ、何とかなると自分に言い聞かせていました。
でも次第に感情の荒波にもまれる事になります。息子が「死にたい」と口にするようになったからです。
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