100kmウォークの壁にコテンパンにやられ跳ね返された話
深夜1時過ぎ、重たい空気が漂うバスの車内には僕を含め4・5人のウォーカーがいた。
誰一人言葉を発することなく、車内にはウインカーを出した時のカチカチカチという音とエンジン音だけが響き、それらの音がかろうじて意識を繋ぎ止めてくれていた。
このバスの行き先は、本来、笑顔でゴールテープを切り、大会スタッフから祝福を浴び感動を味わうことができるはずの100kmウォークのゴール地点。
でも、このバスに乗っているウォーカーは、その感動を味わうことはできず、拳を握りしめながら完歩者が祝福されているのを横目で見ることしかできない者たち。
そう、このバスは途中で完歩を諦めリタイアしたウォーカーをチェックポイントから最短距離でゴール地点まで運ぶ敗者専用のバスである。
遡ること半日前、令和6年10月19日、僕は愛知県の碧南市(へきなんし)で行われる"三河湾チャリティー100km歩け歩け大会"のスタート地点に立っていた。
「行ってらっしゃーい」「頑張って!」との声で意気揚々と一歩を踏み出し、100kmウォーク が始まった。
この大会での僕の目的は、チャリティー大会ということもあり、記録などは気にせず、"人との出会いを大切にして会話をしたり、愛知の風景や雰囲気を楽しもう"という気持ちと
そして、前noteにも記したが"「ウォール・ゲロ」を乗り越える"ことが最大の目的であった。
よろしければ、以下のnoteに詳しい内容が書いてあります。
このウォール・ゲロとは、100kmウォーク 挑戦中盤以降になると胃の疲労からか、食べ物を寄せ付けなくなり、さらに気持ち悪くなり、ゲロ(嘔吐)してしまうという症状。
そして、これが1・2回とかではなく何回も続く!
TVのバラエティー番組なら、キラキラと綺麗に加工され笑いが取れるが、こっちのキラキラは周りのウォーカーに気づかれないように、誰にも見られないように、そして地域の方に不快な思いをさせないように必死である。
こんな状態になると、100kmウォーク を楽しむどころでは無く、身を削って、精神削って、大袈裟かもしれないけど命削って歩くイベントに様変わりする。
そして、こんな状態がもう3年も続いており、普通なら心が折れてもおかしくないが、100kmウォークの沼にハマっておかしくなっている僕は、この症状を何とかするべく、毎回試行錯誤して100kmウォークに臨んでしまう。
今回の"三河湾チャリティー100km歩け歩け大会"のウォール・ゲロの対処法は以下である。
①2日前から消化の良いものを摂る。
②朝食はスタート2時間前
③歩行中のエネルギー補給は胃に優しいヨーグルトなど消化しやすい物を中心
④水分は水や野菜ジュース、スポーツドリンクなどカフェインがない飲み物
⑤ペースはいつもより遅い1時間5キロ程度で負荷をあまりかけないペース
⑥チェクポイントの休憩は10分は休む
⑦胃薬を服用しない
今回は
"食事内容と筋力の負荷軽減"
"休憩時間を増やす"
そして、
"薬の力を借りない"
という設定でチャレンジした。
しかし、期待とは裏腹にこの対処法は実らず、40キロ付近から胃の違和感を感じ50キロ過ぎには気持ち悪くなり
55キロから過去にないほどウォール・ゲロが躍動した。
それは、本場の阿波踊りのような盛り上がりを見せ、そのリズムとキラキラは最強であった。
結果、60キロ手前で精魂尽きて、今回の対処法に完敗を認め60キロ過ぎのチェクポイントで100kmウォークで2度目のリタイヤを決断。
スタッフの方に言葉を絞り出すように「リタイヤします」と伝え1時間後、チェクポイントにゴール地点の衣浦港湾会館行きの敗者専用バスが到着し憔悴した状態で乗り込んだ。
そして、1時間後、なんとなんと僕は温かい風呂につかっていた。
この大会の推しの1つである、ゴール地点に入浴施設があり、完歩後、汗や汚れを流し、疲れを癒す風呂がある。
バスから降りるとスタッフの方から「お風呂入ってください」と、まさかのおもてなし。
敗者が完歩者よりも早く風呂に入ってしまうという申し訳ない気持ちもあったが、こんなご厚意に甘えないわけにもいかない。
さらに、それだけじゃなく、雑魚寝ができる毛布付きの大広間があり、「敗者にこんなに優しく暖かくしてくれる大会はないでしょ!」とスタッフさん達に感謝した。
その後、仮眠を少し取ったが気持ち悪さは朝まで残り、ゴール地点でもらえる弁当も手に取ることなく送迎バスに乗り込み衣浦港湾会館を後にした。
さっき、宿舎の階段を登ってる時にスタッフさんから「足取りが軽いね」と伝えられた言葉が唯一救われた言葉だった。
「100kmを歩けるだけの体力は充分ある。ウォール・ゲロさえいなければ・・・」
と心の呟きが漏れた。
そして、
「ウォール・ゲロに対処できるようになって、また魅力のある大会、暖かいスタッフさんがいるここに戻って来て次は完歩してみせる」
とバスの中で決意した。
まあ、こんな辛い思いをしたら、普通もうやめようと思うんだけど、それを超える魅力が100kmウォーク にはあるんだよね。
このウォールゲロを乗り越えるのも100kmウォークの醍醐味の1つ。
100kmウォークの魅力についてブログよかったらみてください。
敗者にも温かくしてくれた三河歩け歩けのスタッフの皆さんにありがとうございました。
追伸
今回のウォール・ゲロ対策についての反省点
・前日の睡眠時間が5時間程度と短かく、また1週間の1日の平均睡眠時間
が5時間程度であり不規則な生活を送っていた。
・自力でなんとかしたかったので、薬の服用を見送った。
次回のウォール・ゲロ対策について
・チャレンジ1週間前から食事や生活のリズムに気をつかう
・前日・当日の食事の内容について研究する。
・薬の服用も併用していく。
次回のチャレンジで1歩でも前進できるように・・・
もしよかったら、”100kmウォークで人生が好転”というnoteも見ていただけたら嬉しいです。