【文献レビュー】多重介護の現状と課題:介護支援専門員を対象とした調査より
3-2.sasaki,2023
著者:佐々木晶世、叶谷由佳、柏崎郁子、榎倉朋美
キーワード:高齢者、介護負担、家族介護者、多重介護、介護支援専門員
1.緒言
・地域包括ケアシステムを推進するため地域で暮らす要介護者が増加。
・2060年現役世代1.3人で1人の高齢者を支えると予測される。
↓
・今後ますます介護者の介護負担が増えると予想される。
→多重介護のケースが顕在化する。
→ダブルケアも増加する。
・2万世帯を対象とした先行研究
・5世帯に1世帯の割合で介護者がいる。
・そのうち、13人に1人はダブルケアをしている。
・ダブルケアを行う人は、女性が半数、男性が3割である。
→ダブルケアをおこなう女性は男性と比べ、周囲からの手助けが得られない、または、ダブルケアを負担に感じる者が9割である。
↓
ダブルケアに対する厳しい現状がある。
・ケアを職業としている者が、個人的なダブルケアをおこなう“Double, Triple-duty-caregiving”では、バーンアウトのリスクが高い。
・家族介護者についての先行研究
・被介護者数2人が全体の13.9%
3人が全体の6.9%
・要介護認定者が増加することが予想される中で、要介護者の介護を含めた体重介護をしている家族介護者に焦点を当てた研究は見当たらない。
目的
要介護者nukageを含む多重介護を担う家族介護者の現状と課題を明らかにする。
2.方法
1.対象
・調査対象者をかいふぉ支援専門員とした。
・抽出は、層化抽出法および多段抽出法を参考におこなった。
・各事業所の介護支援専門員1人を対象として、合計3123名に配布した。
2.調査内容
対象者の今まで関わった経験のある多重介護全般や今までの経験から課題解決に必要だと思うこと、を尋ねた。
↓
①対象者の属性、介護支援事業所の利用者人数
➁関わった多重介護事例全般
③担当事例中最も被介護者が最も多かった1事例の主介護者の状況
④印象に残った多重介護の1事例
3.分析方法
・IBM SPSSver24を使用。
・基本統計量を算出。
4.調査期間
・2018年9月~11月
3.結果
1.対象者の属性、経験した多重介護事例
497件(回収率15.9%)が返却され、有効回答数は、490件であった。
・平均職務経験年数 10.4±5.2年
・平均部署経験年数 7.7±5.3年
・居住介護支援事業所の平均利用者総数 86.8±6.8人
・介護支援専門員の平均人数 3.6±4.5人
・多重介護の関りがあった人 407人(83.1%)
・多重介護経験件数平均 6.2±7.7件
2.担当事例中、最も被介護者数が多い多重介護
・主介護者の状況では、50代が134名(33.7%)で最も多かった。
・性別では、女性が319名(75.1%)
・婚姻状況では、既婚が298名(74.5%)を占める。
・健康状態は、良好が229名(57.1%)であるが、次いで通院している者が148名(36.9%)を占めていた。
・就労は、無職が164名(41.2%)、非正規の職員・従業員が97名(24.4%)
・介護による退職があったのは、53名(13.3%)
・介護協力者が有としたものは、249名(62.1%)
・その中で、介護協力者人数は、1人が168名(69.1%)と多かった。
3.担当事例中、最も印象に残った多重介護について
・多重介護パターンは2人の要介護者の介護 163件(40.0%)
・印象が残った理由
・主介護者の介護負担度が大きかったから 197件(48.4%)
・主介護者の状況について
・年齢は50代が最も多く122件(31.5%)
・女性が305件(79.6%)
・既婚が273件(70.9%)
4.考察
1.介護支援専門員を通してみた多重介護の現状
・対象者の職務平均経験年数は、10.4年であった。
→先行研究では、それぞれ、8.8年、7.6年であった。
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本研究対象者は、多重介護を含む多くの支援事例の経験を有する経験豊富な介護支援専門員が多かったと考えられる。
2.本研究の限界と課題
・回収率が15.9%と低かった。
→網羅できなかった多重介護のパターンが残る可能性がある。
・介護支援専門員を対象としたこれからかいごほけんを利用していないケースは今回含まれていない。