漫画の表現方法、目線誘導って
キャラクターのことは読者目線でいうとかなり年季が入っているのでいろいろ書くこともできましたが、漫画の技法に関しては、自分は正直なところ適当に、感覚的にやってきたこともあって、言語化するのが難しいです。
コマワリの他、コマにいれる複数の人物の配置、構図(アオリや俯瞰 アップ、バストアップ、ロング)、目線誘導、ページをめくった時に衝撃的な場面や、大事なシーンを入れる見開きを使った効果などなど。いろいろ漫画の表現方法があります。
私は電子書籍での仕事が多くて、ブラウザでの見開きどころか、コマ配信というコマだけがひとつひとつ表示されるガラケー時代からあるもので漫画が配信されていました。今もコマ配信されているものもあります。
昔はブラウザでも見開きで読めない場合もあったり、コマが24P~31Pの中で何コマ以上という指定もあったので1ページにだいたい6コマはいれないといけないなど、制約がありました。今ではだいぶそういったものも解消されてきています。
その中でちょっとクセみたいなものがついてしまったかもしれません。何にも考えてなくても1Pに6コマをいれてしまっています。
ある編集者は、全頁が6コマ以上の場合、つまらないコマワリになっているかもしれないと指摘していました。
確かに…昔から私はひとつひとつの絵をまんべんなくいれてしまうし、場面を説明したいのでコマをはぶきたくない、という思いもありまして、複雑な話になってくるとストーリー展開やドラマ部分をなるべくたくさん表現したいので、ページ制限もある中、大ゴマはは少ないですが、ここぞという所に使うようにしていました。
では、私の書いた原稿から一つ例をあげます。
これは何とか入れられた私にとっては大ゴマになります。
しかしある編集者がたまたまですが、このコマ割りと似たものを例に出してボツをだしていたのです。…何が悪かったんだろう…としばらく気に病みました。
言っておきますがこの漫画を掲載していただいてる出版社とのやり取りではちゃんとOKの出た原稿になります
こちらは赤川次郎先生原作 幽霊シリーズより、裏切られた誘拐を漫画化させていただいたものです。
その問題の前のページはこちら
見開きの雑誌をぺらっとめくって、次のページが問題のあるページです
これでは目線誘導的に無理があるそうです。目線誘導が最短距離じゃないからかな、と思いました
じゃあこれならよかったのかというと、これもだめだそうです。
たてのコマを使わない方がいいとのことでした…どこに吹き出しを配置しようが、目が滑るとのことでした。縦のコマというものが下の部分まで目が行き届かないみたいです。
納得がいかないのですが、じゃあこれだったらいいのかな?というのを書いてみました
縦に分断するのでなくて2段に分けてみました。こちらの方がスタンダードなのかもしれません。
正解はないと思います。個人個人の好みというか経験値によって、違うと思いますが、私はちょっと衝撃を与えるページにしたかったので、ちょっと変だけど読みやすさより見た目を選びました。
どちらがよかったでしょうか?どっちもよくねーよ、そもそもお前は目線誘導がわかってない!という場合もあると思います。そのもやもやポイントが個人個人の作家性になるかもしれません。
読みやすさと見せたいこと、その狭間でどう見せていくのか。
規則ではないし、メソッドでもありません。
あくまでも書き手に並走してくれる、その漫画のストーリーを盛り上げてくれる味方だと思っています。
今回は目線誘導だけの話になります。もっと奥の深いことかもしれないので、改めて考えてみるのも面白いと思います。
また気が付いたことがあれば書き残していきたいと思います。