姫路城の紅葉と山陽電鉄の夕日を見に行った話
海と夕日が見れる車窓って素晴らしい。
いざ山陽へ
前回、前々回では島根・鳥取の有名観光地を巡る王道旅行について扱ったが、今回はいよいよ山陰を脱出する。というわけで鳥取駅からスタート。
安定の手動改札機を通過して構内へ。切符を確認する駅員さんが到着列車の案内放送も兼任するというまさかのワンマン体制となっており、改札に人が来るたびに放送が中断されていた。
駅構内にも小さな砂像が。
そしてホームには足洗い場。さすがに砂丘で砂まみれになったまま駅まで来る人は少ないと思われるが、もし砂が気になるようならここで落としておくのが良いだろう。ちなみに私も靴の中にはそこそこ砂が侵入していたため、外の公園で落としてきた。
倉吉方面からの普通列車が到着。米子のゲゲゲの鬼太郎に続き、こちらでは名探偵コナンのラッピングが施されている。
とほぼ同時に豊岡方面からの普通列車も到着。特急スーパーおき新山口行きもすでに到着しており、4番まである乗り場の内3つが埋まった状態だ。自動改札が導入されていないとはいえ、さすがは一大ジャンクション駅といった光景だ。
そして最後の1番乗り場にやってきたのは特急スーパーはくと。三セクの智頭急行線を経由して鳥取と神戸・大阪・京都を結ぶ特急列車で、最高速度は 130km/h という日本最速の気動車だ。流線型の先頭車が特徴だが、この時は残念ながら貫通型。
この便は倉吉始発のため鳥取から乗る場合は指定席を取るのが安牌かと思われるが、今回はなんとか窓側の自由席を確保することができた。前々回の特急スーパーおきに続き通路側となってしまうリスクも高かったので、あまり心臓によろしくない行動だったなあ……。途中駅から乗る場合は指定席を取ろうと心に誓った。
ちなみに当時は全列車が京都駅発着となっていたが、2024 年のダイヤ改正によって多くの便が大阪で力尽きる運用になった。まあ電化区間で気動車を長々と走らせるのももったいないし、東京からアクセスする場合は姫路で新幹線とピッタリ接続するダイヤなら問題ないから仕方ないところではある。
というわけで鳥取駅を出発。益田からずっと走ってきた山陰本線とは別れ、岡山へ向かう因美線で山へ入っていく。途中の智頭から智頭急行へ乗り入れ、ここからは高規格な路線と車体パワーをフル活用して全速力ダッシュ。
何度もトンネルを出入りしながら山の中を突き抜け、あっという間に姫路に到着。私はここで下車する。
ちなみに、道中の写真がないのは旅の疲れが出てきて気絶しかけていたためである。どう考えても鳥取城の頂上まで登山した影響。
姫路観光
姫路駅の北口を出てすぐ目に入るのが、真っ白に輝く姫路城。駅から城までは真っ直ぐに大通りが伸びており、広い歩道に地中化された電柱など景観に配慮した都市計画を感じることができる。
というわけで城までとほとほ歩いていく。金色に染まった銀杏並木と姫路城のコントラストが美しい。
15 分ほどで入口に到着。見た目のインパクトが大きいので錯覚するが、意外と距離はあるので注意が必要だ。
で、さっそく城に入城……かと思いきや、入口からは逸れたルートへ突入。
今回は姫路観光に使える時間が多くないため、入城する場合はかなりドタバタとスポットを巡ることになってしまう。それなら入場料のかからない外周ルートをぐるっと1周しながら紅葉を楽しむのが良いだろうと判断したわけだ。……というのは実は後づけで、テキトーに歩いていたらうっかり外周ルートに入ってしまったのが事実。
とはいえ、紅葉シーズンの休日ということで人がごった返している城内に比べ、ゆっくりと景色を楽しめる外周ルートは結果的には大変ナイスなチョイスだった。
見事な曲線を描く土塀が美しい。
ちなみに外周ルートからは城をバッチリ拝める場所はあまり多くない。
道中見かけた庭園。城の西側には有料で入れる好古園という日本庭園があり、紅葉シーズンは人まみれらしいがこちらは静かな感じ。
池に架かった橋を黒猫が渡っていた。
ぐるっと1周後、今度は逆に時間が少し余ってしまったためうろうろ寄り道しながら駅へ向かう。
姫路城の敷地は現在残っているものよりもだいぶ広かったらしく、ちょこちょこ石垣が残されていた。役目を終えた石垣と、奥にはなにやら昭和を感じるさびた設備、そしてさらに奥には姫路城……と、だいぶ登場人物の多い写真が撮れた。
大通りを普通に戻るだけではつまらないため、並行するアーケード商店街を通っていくことに。城の近くにも関わらず、けっこうローカルな雰囲気だ。
……と思ったら、信号を1つ越えたところでガラッと雰囲気が豪華になる。観光客に加えて地元民も数多く利用しているらしく、交通量は多め。
ちなみにこちらのアーケード街は駅まで続いているほか、途中で交わる道や並行する別の道もアーケード街となっており、雨や日差しに晒されず移動できる範囲はかなり広い。東京に比べると関西って大規模なアーケード商店街が多い気がする。
で、商店街を抜けて JR 姫路駅……
をスルーして、山陽電鉄の山陽姫路駅へ。JR 姫路駅とは少しだけ離れており、百貨店に接続する頭端式ホームというまさしく私鉄のターミナル駅といった感じの駅だ。
山陽電鉄は神戸から明石を経由して姫路を結ぶ私鉄で、阪神電鉄に直通して梅田まで行く便も数多く運行されている。ほぼ全線にわたって JR とバリバリ競合しており、路線規格も標準軌と典型的な関西私鉄である。JR は 18 きっぷなどで利用する機会も多いだろうから、今回はあえて山陽電鉄に乗ってみることにした。
山陽電鉄で夕日を拝む
というわけでさっそく三宮までの切符を購入して入場。ちなみに JR を使う場合も運賃は変わらないが、所要時間は山陽電鉄の1時間に対し新快速は 40 分と圧倒的な差がある。ここまで差があるともはや競合しているとは言えないかも。
そんな JR の路線を横目に、折り返しの列車を待つ。
3両編成の普通列車が発車していく。駅の構造上、神戸とは逆方向の西側へ発車してすぐに南へカーブしていき、支線の網干線が合流する飾磨駅でぐぐっと東へ向きを変えるという面白い線形になっている。
で、しばらく待つと折り返し直通特急の阪神大阪梅田行きが入線。銀色の車体に反射する西日が美しい。
特急列車は6両編成のセミクロスシート車となっている。旅行者としては車窓を眺められる転換クロスはまじでありがたい。
神戸に向けて走るにつれ少しずつ日は傾いていく。
そして本日のメインディッシュ、山陽電鉄の車窓から眺める夕日。姫路観光の時間が取れなかったのはこの夕日を拝むためである。
……と綿密な旅行計画を立てた感を醸し出したが、実はこの計画けっこうミスっていた。
というのも、山陽電鉄が海沿いギリギリを走るのは明石よりも西側の区間だと思いこんで旅程を組んだのだが、実際には明石より東側、明石海峡大橋あたりの区間が正解だった。なぜ地図をよく見なかったのか。
というわけで明石大橋が見えてきた頃には完全に日没。う~む……姫路城からの帰りに寄り道しなければドンピシャだったのだが。
まあ日が落ちた直後の空も綺麗なので良しとしよう。
瀬戸内海を感じる空のグラデーションだ。
ちなみに明石駅からしばらくは JR の真横を通るという完全な並走状態となっており、手に汗握るレースを観戦することができる。
そしてやっぱり背景の海と空が美しい。
駅に接近し、JR の各駅停車が減速したところで華麗に追い抜いていく。私鉄の底力を思い知ったか!
……とはいえ、前述した通りバトルの相手が新快速だったら余裕で負けてしまうのだが。幸いこの日は新快速と並走することはなく、JR の各停を追い抜いたところで気持ちよく神戸市街へ突入した。
神戸市街に入ると地下へ潜り、西代駅で神戸高速鉄道へと切り替わる。神戸高速鉄道は、神戸市街の市電を地下鉄化するとともにターミナルの離れていた阪急・阪神・山陽・神戸電鉄を接続するという一石二鳥な三セクで、山陽電鉄から直通する阪神のみならず阪急の車両も見ることができる。
ちなみに、山陽電鉄は西代駅から JR 兵庫駅付近まで併用軌道で路線を伸ばしていたところを地下鉄直通に切り替えて廃止したという経緯がある。沿線住民は初乗りが追加でかかるようになって不満も多かったのでは……と心配したが、神戸駅・元町駅・三宮駅に直通する利便性を考えればむしろプラスの面の方が大きいかもしれない。
三宮に到着
そんなわけで神戸三宮駅に到着。人が多くわちゃわちゃしていたため駅の写真を撮りそこねてしまった……ので、宿から見た神戸の夜景で誤魔化す。それにしても、島根・鳥取を経由して来たので神戸がとんでもない大都会に見える。
……といったあたりでキリが良いので今回はここまでとする。姫路城はまた機会があれば好古園と合わせて訪れてみるつもりだ。また、明石海峡大橋と夕日のセットもリベンジしたいところである。
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