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京王競馬場線・西武多摩川線・メトロ方南町支線を一筆書きで乗りつぶした話

支線。メインルートである本線から分岐して伸びる鉄道路線のこと。幹と枝の関係に喩えて枝線とも呼ばれる。多くの人や貨物が行き交う本線に比べて輸送量は少なく、その多くがいわゆる盲腸線であることから、私のような来た道を戻りたくない原理主義者にとっては乗りつぶしも面倒。

今回はそんな支線を3線、重複なしの一筆書きルートで乗りつぶしてみたという話。私は盲腸線を折り返さずに乗りつぶすことに並々ならぬ情熱を注いでおり、興味があれば以前の記事も参照してほしい。

旅の始まりは武蔵境から

というわけでさっそくスタート!……といっても実は前々から乗りつぶし旅を計画していたわけではない。とある休日、武蔵境でお昼過ぎから用事があったが午前中は完全にフリーだったため、「なんかぐるっと周ったら面白いのではないか」と急遽動き出した感じだ。なんとも行き当たりばったり。

さっそく武蔵境の駐輪場にチャリを放り込み、中央線に乗車。真冬の朝だったため、手がかじかんでブレブレの写真が完成した

で、荻窪丸の内線に乗り換えて中野坂上方南町支線へ乗り継ぎ。中野坂上は2面3線で真ん中に方南町支線が入るため、池袋方面・荻窪方面どちらとも乗り換えは大変スムーズな設計になっている。……で、写真を撮ろうとしたのだが休日の朝にも関わらずやたら混雑していたので断念。というわけで東京メトロの公式サイトより引用。

方南町支線は車両基地の中野検車区・中野工場に接続しており、車両点検による送り込みや入出庫の役割を担っている。そのため丸ノ内線本線へ直通するのは入出庫が絡む朝夕に限られ、支線内は方南町駅の有効長から3両編成が肩をすくめながら往復するという運用になっていた。……が、2019 年に方南町駅の改良工事が終わってから流れが変わり、現在は支線内も6両統一全日にわたり本線直通便が数多く設定されるなど激変を遂げている。

そんなわけで当時はまだ現役だった 02 系の3両編成に乗車。写真を撮っておかなかったのが悔やまれる……。

方南町周辺を散策

方南町支線は起終点含めて4駅しかないため、あっという間に終点の方南町に到着。地上へ出ると人で賑わう商店街が広がっていたが、裏の方へ進むとすぐに閑静な住宅街。善福寺川に向かって住宅街の坂を下っていくと、なにやら怪しげな巨大建造物が出現。

調べてみると立正佼成会の大聖堂で、一般の人でも一応入れるらしい。今回は外から写真を撮るだけで終わってしまったが……。それにしても、円形の巨大建造物というファンタジー要素都市部の高層ビル的な現代建築要素がうまく噛み合っており、個人的にはけっこう好きな造形だ。

大聖堂の向かいには普門エリアという巨大な広場があり、かつては普門館という巨大ホールが建っていたが耐震基準の関係で解体されたとのこと。近くには観音菩薩像が安置されていた。

ちなみにこのあたりは川の影響で標高が若干低く、さらに住宅街で高い建物も少ないため新宿の高層ビル群がよく見える。新宿の真西からビル群を眺めたことは今までなかったため、ちょっと新鮮な感じ。

で、続いて向かったのが中野車検区

中野車検区は前述したように丸ノ内線の車庫となっているが、中野工場での検査のため銀座線の車両がお邪魔していることもあり、この時も真っ赤な車体だらけの中で居心地悪そうにしている 1000 系を目撃できた

1000 系をメインで撮影……したのだが、今では後ろに方南町支線用の 02 系が写っていることの方が注目ポイントになってしまった。

……といった感じで駅周辺の散策を終え、次の目的地である京王競馬場線を目指す。

永福町へ

方南町最寄りの京王線の駅は 1.5km ほど離れた京王井の頭線永福町駅だ。普通に歩くと 25 分くらいの距離だが、散歩コースとしては神田川沿いを歩いていくのがオススメだ。「The 住宅街を流れる普通の川」といった感じで、都心で見かける神田川とのギャップが面白い。

道中、良い感じにローカルな雰囲気が漂う神社を発見したので参拝。この年の初詣となった。初詣となるとついつい有名どころや観光地のデカい神社に行きがちだが、近隣の住民しか訪れなさそうな神社に参拝するのも良いものである。むしろ神様の負担を考えると参拝客の少ない神社の方が願いを聞き入れてくれそう

で、神社横の坂を登ってしばらく歩くと永福町駅に到着。ちなみに方南町からは永福町行きのバスがかなりの高頻度で走っているため、歩くのが面倒であれば課金するのも手だ。

併設されている駅ビルの屋上にはふくにわという庭園が整備されており、無料で開放されている。

真冬ということもあり園内はやや寂しい感じだったが、ベンチなども設置されているため休憩スポットとして活用されているようだ。

おとなしげに咲いていた花を撮影。

屋上庭園ということで景色は良く、新宿の高層ビル群もバッチリと見れる。

西側に目を向けると地平線まで続く住宅街……と、遠景に富士山

富士山を望遠したところ看板の目立つ写真になってしまった。

下を見下ろすと井の頭線。駅の真上にあたるため列車が足元から出入りする姿を見学できる。

写真で見ると架線が邪魔だなあという印象だが、実際にはあまり気にならずしばらくぼんやりと眺めていた。

京王競馬場線を乗りつぶす

で、ようやく駅のホームへ向かい井の頭線に乗車。

ちなみに永福町は井の頭線の中で唯一の退避可能駅となっており、日中は上下線ともに全ての便が緩急接続を行う。

永福町から1駅の明大前駅で乗り換え、しばらく西へ走ったところで競馬場線の分岐点である東府中駅に到着。

東府中は急行停車駅だが、日中は特急と各停しか走っていないため実質各停オンリー。競馬場線は日中 20 分間隔での運行となっているため、爆速で通過していく特急を見送りながら車両が現れるのを待つ。

で、しばらくすると 9000 系8両編成がのんびりと入場してきた。平日は2両編成のワンマン運転らしいが、土休日は8両という需要に見合わない長編成でやってくる。

車内は当然のごとくガラガラ。私以外の利用客は 2~3 人程度しかいなかったため、1両に1人すら乗っていない計算になる

東府中を出てから草の茂った線路をのんびりと進み、わずか2分程度で終点の府中競馬正門前駅に到着。

駅構内は大変広々としており、競馬の開催日には人でごった返す様子が容易に想像できる。

その一方で、何もイベントのない日に静まり返った構内は人類滅亡後の世界感があり、これはこれで趣深かった。

ちなみに競馬開催日には新宿からの直通急行・直通特急も走っているため、うまくタイミングが合うなら乗りつぶしに活用してみると良い。

西武多摩川線へ向かう

で、いよいよ本日最後の乗りつぶし対象、西武多摩川線に向けて歩き出す。

……とその前に黄金に輝く馬の像を発見したので撮影。

西武多摩川線の終着駅である是政駅は競馬場を挟んで南側に位置する。直線距離としてはあまり離れていないのだが、実際には競馬場を迂回する必要があるため 2km 程度歩かなければならない。

というわけで競馬場を横目にぐるっと回り込んでいく。なお、この区間はちゅうバスという府中市のコミュニティバスが走っており、30 分間隔で運賃も 100 円というそれなりの使い勝手の良さなので活用してみるのも良いだろう。私は歩きたかったので歩いた。

で、競馬場付近の住宅街をのんびり歩いて是政駅に到着。……が、ちょうどタイミング悪く列車が発車していってしまった。

というわけで適当に付近の是政橋をうろうろしていた。

是政橋は多摩川をサイクリングする時などにちょくちょく訪れていたが、鉄道&徒歩での訪問は初めて。見慣れた景色ではあるが新鮮な感じだ。

多摩川を渡る南武線と遠景の富士山

……といった感じで時間を潰していると、次の便がやってくる時刻になったため再び是政駅へ。多摩川線は日中 12 分間隔での運行で競馬場線に比べると高頻度。全線単線ということを考慮すると線路容量的には限界ギリギリまで使っているのだろう。

また、多摩川線は西武の他路線と全く接続しないという、全国的にも珍しい孤立路線だ。歴史的には多摩川の砂利を輸送するための貨物路線として敷設されたが、現在は地域輸送に特化しておりどことなくローカルな地方私鉄の雰囲気が漂っている。

ちなみに今回乗車したのは西武鉄道の旧塗装である赤電カラーの車両だったが、実は他にも伊豆箱根カラー・近江鉄道カラーなどが存在し、視覚的にもバラエティに富んで面白い路線だったりする。興味があればぜひ乗りに行ってほしい路線だ。

そんなこんなであっという間に終点の武蔵境に到着し、一筆書きミニ旅行も終了。お昼からの用事に向かった。

……といったところで今回はここまで。来た道を戻りたくない原理主義者による盲腸線乗りつぶし旅行記というかなり需要の怪しい記事だったが、誰かの参考になれば幸いだ。


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