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房総半島1周ついでに京成千原線と千葉モノレールを乗りつぶした話
2023 年夏、世の大学生が夏休みを謳歌する中、私は研究を完全に放置して就活に励んでいたつけが回り実験に追われる日々を過ごしていた。そんな中、「就活終われば時間もできるし旅に出るだろう」と思っていた体が鉄分不足を訴え始めたため、平日に1日だけ時間を作って房総半島へ鉄分補給しに行った話。
今回の旅では鉄分補給のための乗り鉄がメインの目的になるため、駅の外に出てぶらぶら観光というのはあまりない。というか暑すぎて外出たくない。このような改札外へ出ない乗り鉄旅の場合、大回り乗車を活用するのがおすすめだ。
大回り乗車
大回り乗車とは、近距離の乗車券を使って遠回りのルートで旅する裏技的な乗り方のことだ。JR では東京や大阪などの大都市近辺において、「実際の乗車経路に関わらず最も安くなる経路で運賃を計算する」という制度があり、これをうまく利用すれば通常の運賃よりも大幅に安く移動できる。
例えば、新宿から池袋へ行くのに山手線外回りで行こうが内回りで遠回りしようが運賃は同じである。中央線で西国分寺まで出て武蔵野線経由でぐるっと回っても同じだし、八王子まで出て八高線を使っても同様だ。なかなか夢が広がる話である。
ただし、同じ駅・ルートを重複して通るのは NG であることに注意したい。先の例だと山手線を1周以上回ってしまうのはアウト。一筆書きで重ならないルートを通る必要がある。また、途中駅での改札出場もできないためご飯の調達などにも注意が必要だ。
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そんな大回り乗車だが房総半島は丸々対象となっており、今回の旅で活用してみることにした。
東京駅へ
というわけでさっそく旅の起点となる東京駅の京葉線ホームへ。京葉線は東京駅の他の路線から大きく離れた場所にあり、連絡通路の動く歩道はディズニー客が最初に体験するアトラクションとして有名だ。
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ただし私はメトロ有楽町駅から向かったためアトラクションとは無縁。東京国際フォーラムを突き抜ければすぐに到着するため、東京駅の他の路線から乗り換えるよりもだいぶ早く着ける。
で、ちょうどホームに着いたあたりで通勤客を積載した特急わかしおが滑り込んできた。特急で通勤とはなかなか優雅な社会人生活だ。
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大回り乗車では 18 きっぷなどと違い課金すれば特急にも乗車可能であるため、今回はわかしおに乗車してみることにした。
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大学生以外の世間一般では夏休みもすでに終わりを迎えている時期だったため、車内はかなり空いており特に指定席はスカスカ。チケットレス特急券なら自由席よりも安く買えるのだが、知らない人が多いのだろう……。
※現在は全車指定席となっているらしい
京葉線を爆走
そんなこんなで東京駅を出発。しばらくは地下を走るが、新木場あたりで地上に顔を出しそこからは東京湾の工業地帯をひたすら駆け抜ける。左手には首都高湾岸線が並走しており、自動車とのデッドヒートが楽しめる。
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右手にはオーシャンビュー……といきたいところだが、海を拝めるタイミングは意外と少ない。まあ東京湾を拝んだところで……という感はあるが。ディズニーランドホテルはよく見える。
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そんなわけで蘇我あたりまではわりと工業工業した車窓が広がっていたが、そこから房総半島の内陸へ入っていくと一気に景色が変わり、高低差のある丘陵を突き抜けて行く。丘陵を抜けて半島の東側に出ると今度は真っ平らな平原が広がる田舎景色だ。
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ところで、この時点で「このルート大回り乗車の要件満たすの?」と勘づいた人がいるかもしれない。前述の通り大回り乗車では同じ駅・ルートの重複乗車が認められないため、このまま房総半島を1周すると蘇我を2回通ることになるためアウトだ。
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大回り乗車で房総半島を1周する場合、都心~京葉線~蘇我~内房線・外房線~大網~東金線~成東~総武線~都心というルートが典型的だ。ただし、大回り乗車というのは別に都心を発着して初乗り運賃だけで乗車する行為のみを示すわけではない。実は今回の旅では蘇我から1駅先の浜野で改札を通り、東京~浜野の運賃で大回りするという旅程を組んだ。多少お金はかかってしまうが、ある程度のところで一筆書きを切ってしまうというのも手なわけだ。
房総半島1周
そんなわけでわかしおは外房線を南下していく。大原ではちょうどいすみ鉄道と連絡した。当時は台風の影響で大多喜~上総中野が運休となっており、小湊鉄道と合わせた房総半島の横断旅ができない状況にあった。
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勝浦で反対方面のわかしおと離合。向こうも観光客などはあまり乗ってない印象を受けた。
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勝浦まではあまりオーシャンビューが拝めなかったが、ここからは海沿いすれすれを走ることも多く車窓はかなり良い感じ。
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東京を出たタイミングでは曇り空だったが、昼になって晴れてくれて良かった。
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海と山がギリギリまで迫っており、そのわずかな土地に住宅が広がっているというなかなか面白い地形となっている。
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シーズンど真ん中であれば海水浴に来る人も多いのだろうか。
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そんなこんなで終点の安房鴨川に到着。木更津行きの鈍行と接続するが、京葉線での遅れが影響しかなり急ぎでの乗り換えとなった。
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安房鴨川あたりだとまだ全然外房という感じだが、路線名としてはここから内房線に変わる。
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鈍行でのんびりと車窓を眺めながらぐるっと木更津まで回っていく。
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ただしこの便は木更津1つ手前の君津で始発の快速に接続し、この快速が発車してから木更津へ向かうダイヤとなっている。別に快速の発車を待つ必要はないのでは……とも思うが、何か事情があるのだろうか。
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なお、この快速は内房線内は木更津の次の巌根(いわね)しか通過せず、ほぼほぼ各駅停車である。
京成千原線へ
そんなこんなで浜野駅に到着。周りは住宅街となっており、地元民以外はほとんど使うことのないだろう地味な駅だ。写真も撮り忘れてしまった。
で、ここからはバスに乗車して京成千原線の終点であるちはら台へ向かう。
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ちはら台に到着。寂れたニュータウンという雰囲気が漂っていて個人的には好き。
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駅構内。平日昼間ということもあり静か。
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千原線はニュータウンアクセスのために作られた路線で、元々は小湊鉄道の海士有木(あまありき)まで敷設予定だったらしい。現在もちはら台から少し先の方まで用地が確保されており、延伸計画は完全凍結というわけではなさそうだ。
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……とはいえ、この寂れ具合だと延伸は厳しそうな感じ。全線高架で複線用の設備が揃っているものの、駅構内を除き全て単線での運行だ。
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将来の人口増加を見越して作った過剰な設備が物悲しさを増幅させている。
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車両は普通に京成の車両で、ほぼ全ての便が京成千葉線に直通して京成津田沼まで行く。ごく一部の便では京成上野まで行くものもあるらしい。
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というわけで千原線の起点である千葉中央に到着。ここから先は京成千葉線となる。後ろに新京成の車両が見えるが、千葉線に直通する新京成車は千葉中央で折り返す運用だ。千葉線は新京成直通と千原線直通の便が半々といった感じ。
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で、ここで下車。実は千原線は歴史的経緯から運賃計算が他の京成路線と切り分けられており、千葉中央を超えると追加で初乗りがかかってしまう。そんなわけで途中下車しようがしまいが運賃は変わらないわけだ。
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千原線の利用者が少ないのは初乗り二重盛りによる割高運賃も影響しているのではないだろうか……。
千葉モノレール乗りつぶし
千葉中央から本千葉の方へ歩いていき、千葉モノレールの県庁前へ。ここまでかなり良い感じに盲腸線を乗り継げている。
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1日乗車券を買おうと思ったが、完全に無人駅……これは厳しいか?
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と思ったら普通に券売機で買えた。1日乗車券は平日のお昼時間帯と休日のみ発売となっている。
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千葉モノレールは懸垂式と呼ばれる車両が軌道から吊り下がる形式を採用しており、ホームもなかなか面白い見た目になっている。普通の鉄道では線路の敷かれている部分がホームとほぼ同じ高さというのは不思議な光景だ。
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車両はこんな感じ。現在では日本の懸垂式モノレールは千葉モノレール以外に湘南モノレールしか残っていないため、だいぶレア。なお、千葉モノレールは懸垂式としては営業距離が世界最長となっているらしい。
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軌道にぶら下がる懸垂式に対して上に跨るのが跨座式モノレールだ。東京モノレールや多摩モノレール、大阪モノレールなどはこの形式。
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千葉駅を経由してあっという間に終点の千葉みなとに到着。千葉みなと~県庁前の1号線は路線長はかなり短い。
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駅前はこんな感じ。京葉線との接続駅となっているが、あまり人は多くなかった。
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モノレールの端っこ。ここから延伸することはあるのだろうか。
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で、次は2号線を乗りつぶすため折り返し。同じ道を戻りたくない原理主義者だが、これは仕方ない。
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千葉みなとを出てすぐ京葉線と並走。圧倒的に向こうのほうが速い。
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千葉で2号線に乗り換え、終点の千城台へ。学生の帰宅時間帯になってきたため車内が混雑しており、景色は良かったものの道中の写真はなし。
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多摩地区民ゆえに多摩モノレールの軌道に見慣れているため、懸垂式の軌道は下からの景色も新鮮な感じだ。
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折り返し千葉方面へ。来た道を戻るのは敗北感があるが、ラッシュと逆方向なので今度は思う存分景色を楽しめる。
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のんびり車窓を眺めていると、いきなり車両故障が発生したとのアナウンスが。「え……運転見合わせか?」と思ったが、そのまま車庫に接続する駅で列車の交換となった。全く問題なく動いているように見えたが、どこが故障したのだろうか。
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ラッシュと逆方向とはいえ千葉駅に近づくにつれ乗車は増えていき、千葉駅到着前はほぼ満員電車となっていた。ここで下車し、千原線に続き京成千葉線を乗りつぶすため千葉中央へ戻る。
京成千葉線を乗りつぶす
千葉駅周辺はさすが県庁所在地だけあってかなり人も多く栄えていた。距離的には十分東京への通勤圏だと思われるが、地域の中核都市としても機能しているようだ。
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千葉中央から京成線に乗車。京成千葉線は総武本線と完全に競合状態で、千葉中央付近では完全に並走している。なお、幕張本郷付近でも同様に並走しているが、そちらは駅も連立しているのに対して千葉中央は JR の駅がなく、少し離れた場所に JR の本千葉駅があるという微妙に不便な状況だ。
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引き続きラッシュとは逆方向になるが、それなりに混んでいたため写真はなし。
野田線も乗りつぶす
京成津田沼で本線に乗り換え、京成船橋へ。少し歩いて東武の船橋に到着。最後のダメ押しとして東武野田線を乗り潰しながら西へ帰る。
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野田線は船橋から柏を経由して大宮まで行く環状路線の性質を持つ路線だが、ラッシュ時には船橋~大宮の直通列車は存在せず柏での乗り換えを強いられる。
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ラッシュ時間帯ということもあり各駅でそれなりの乗降があり、特に他路線と接続するジャンクション駅では多くの客が入れ替わっていた。やはり武蔵野線などと同じく都心と郊外を結ぶ路線同士を接続する役目を果たしているようだ。まあ武蔵野線に比べると接続する路線がだいぶ少ないが……。
その後は日も落ちたため読書を進めていたらあっという間に大宮に到着。ここからは慣れた足取りで埼京線と武蔵野線を乗り継いで帰宅した。
おわりに
というわけで大回り乗車の制度を活用して房総半島を1周し、ついでに京成千原線・千葉線と千葉モノレールを乗りつぶし、ダメ押しで野田線の全線乗車も達成した話だった。
東京西側民としては反対側にあたる千葉方面にはなかなか行く機会がなかったため、千葉モノレールをはじめ普段関わりのない路線で乗り鉄できたのは良い鉄分補給となった。逆に千葉の民にとっては多摩地区はだいぶ遠い存在なのだろう。ぜひ遊びに来てほしいところだ。まあ千葉と違ってオーシャンビューは存在しなけど……。
今回半島を1周したとはいえ、内房線の蘇我~浜野の1駅間と小湊鉄道・いすみ鉄道、そして久留里線は未乗車のためまた機会があれば乗りつぶしに遠征したい。……といったところで今回はここまで。