中国でスマホを落とした話
海外旅行において重要なアイテムは何だろう。まずいちばん重要なのは命で間違いないと思われる。
2番目以降は人によって意見が異なると思うが、スマホと答える人が多いのではないか。私としてはその後にパスポートと身分証明書、財布やクレジットカード類が続く。
地図の確認はもちろん、ルートや観光情報の検索、翻訳などなどとにかく海外旅行ではスマホがないと生きていけない。そんな超重要アイテムであるスマホを落としてしまったのが今回のお話。
ちなみに前回雨の中南京を観光した話の続きになる。
上海へ
高鉄(高速鉄道)で上海虹橋駅に到着したところから。
上海虹橋はなんとなく中心部に近いイメージがあったが、街としては郊外の方になる。とはいえ地下鉄一本で中心部までいけるため便利といえば便利。高速鉄道が南北から集まってくる他、飛行機も世界各地から飛んでくるという超巨大ジャンクションとなっている。
(中国鉄道地図より引用)
私はいつも宿を郊外にとっているのだが、今回は珍しく人民広場という中心部ど真ん中に宿をとった。
南京でびしょ濡れになった初日は上海でも当然の如く雨模様。サイバーパンクな雰囲気が出ており景色としてはとてもいい感じ。
上海に着いてまず驚いたのが、外国人の多さ。歴史的には諸外国の租界が設置されることで発展した都市であり、現在においても国際的な都市として中国の玄関口になっているようだ。
今までは北京の有名観光地を除きほとんど外国人がいなかったため、やたら新鮮な感じ。私は外国人観光客だらけの観光スポットは毛嫌いするタイプなのだが、今回は不快感よりも安心感が勝った。
今までずっと英語の通じない環境で孤独だった上、乗っていたバスが人を轢いたり、私自身も轢かれかけたりとサバイバルモードだったことが主な要因だろう。街中の普通のお店でも英語を拒絶しないのは本当にありがたい。
上海観光
北京と同様、事前に中国の友人にオススメスポットを聞いてまわっていた。今回は上海在住者もいたためそこそこローカルな情報が得られるかと期待していたが、相手がインスタキラキラ系女子だったため映えるスポットしか教えてくれなかった。
(タピオカ屋さん教えられてもなあ……)
そんなわけで定番ルートを巡る脳死トラベルに。
初日は移動だけで終わってしまったため、2日目からスタート。ありがたいことに天気は快晴。上海の観光地はわりと中心部に集まっており、交通の便も非常に良いため観光地巡りで困ることはないだろう。
(外国人向け中国旅行ガイドサイトより引用)
まずは田子坊へ。元々はフランス租界で、現在は迷路のような路地にお店が立ち並ぶカオスなエリアになっている。
狭い路地裏は大好物。電線がごっちゃごちゃに張り巡らされているのもいい感じ。
観光地っぽいよくわからない日本語もあった。
外灘。上海の中でも一番の観光スポットとなっている。
よく見る上海タワーの写真。
ちなみにこの写真、海から撮ったものだと勘違いしていたのだが、手前に見えるのは普通に川。下の地図の緑矢印の部分。
そもそも上海で海に面しているのは浦東空港などがあるかなり郊外の方で、中心部では海の気配は欠片も感じられない。
外白渡橋。上海のランドマークの一つとなっている有名な橋らしい。
ただ、個人的には中国らしいアーチを描く橋のほうが好み。
豫園へ。
こちらは明の時代に造られた庭園となっている。
正直、歴史的建造物については北京や南京でお腹いっぱいだったが、近代~現代建築の多い上海では逆に新鮮な感じもある。
豫園の周りには豫園商城と呼ばれるショッピングエリアが広がっており、こちらもなかなか映えるスポット。
夜になるとライトアップするらしいが時間が合わず行けなかった。
市街地巡り
誰もローカルスポットを教えてくれなかったため自力で歩いて探すことに。上海の街並みの特徴としては、やはり諸外国の文化と中華文化が入り混じったカオスさにあると感じた。
長い歴史を持つ北京に比べると路地もごちゃごちゃしている。
遠くに高層ビルが見える混沌感がいい感じ。
上海はもう成熟しきった都市だと思っていたが、建設中の建物も多く、まだまだ発展の余地はありそう。
また、共産党万歳!的なポスターが少ないのも印象に残った。赤いポスターはバリバリ共産圏の雰囲気が出てて最初はうきうきしていたが、北京ではどこに行ってもあっていい加減うんざりしていた。
街歩きの最中に、以前日立で働く関係で日本に住んでいたというおじさんに遭遇。いろいろと話を聞く中で「タバコ吸わないの?偉いねえ!私の周りは吸っている若者ばかりだったよ!」とか言っていたのだが、たぶんそれ茨城に住んでいたからだと思う。
ちなみに二人で高麗人参烏龍茶を買いに行ったのだが、桁を一つ間違えて爆買いするというハプニングが起きている。
イージーモード旅行突入
上海に着いてからは英語が使えるため旅の難易度はかなり下がっていたが、なんとここでアメリカ留学中に仲良くなった友人が武漢から夜行列車で10時間かけて来てくれた。大量の課題と諸々の用事で土日も空けられないと言っていたのだが、どうにかしたらしい。すごすぎる。
ちなみに前述の上海在住インスタ系女子は忙しくて都合が付かなかったとのこと。大学生が忙しすぎるのは中国も同じらしい。
そんなこんなで4日目と最終日は完全なるイージーモードに突入した。
まずは美術館や科学館を巡る。上海科技館の展示はなかなか面白かった。
高層ビル群を下から眺める。めちゃくちゃ霧が出ており友人は残念がっていたが、私としてはかなり中国な雰囲気が出てて感動。
「摩天楼の上部が霧に隠れているとか中国らしさが出てて最高だよね!」と言いたかったが語彙力不足でうまく伝えられなかった。無念。
リザーブロースタリーと呼ばれる世界最大のスタバに入る。
目の前で巨大な機械がぐおんぐおんローストしているすごい光景を見ることができた。
ちなみに食費やら入場料については全て友人におごって貰うというありがたすぎる形になった。さすがに申し訳なく自分の分は払うと言ったのだが、「キャッシュレス化のおかげでもう半年以上は現金に触れてないんだよね~!」とものすごい勢いで断られた。今度日本に遊びに来たら全力でおもてなししよう。
そんなこんなであっという間に帰る時間になってしまった。地下鉄のホームで別れを告げ、私は飛行機に乗るため浦東空港へ、友人は高鉄に乗るため虹橋へ、それぞれ逆方向の列車に乗り込んだ。
……ところで3日目がすっ飛ばされたことに気づいた人もいるかもしれないが、この日は杭州へ日帰りで遊びに行っていたのだ。
杭州観光
杭州は上海から200kmほど離れたところに位置する。
往路は在来線の普通列車を利用。
ターミナルの上海南駅はスタジアムのような不思議な構造をしていた。
普通列車の座席は6人掛けのボックス席にぎゅうぎゅうに詰め込まれる上、周りの会話もわいわいうるさく快適度はかなり低い。
杭州観光のメインは西湖。バカでかい湖となっている。
この日は残念ながら曇り空だったが、これはこれで水墨画の様な面白い光景が撮れた。
湖の反対側に回ると背景は中心部の高層ビル群になる。
余談だが道中、日本語のわかる人と日本の某テレビ局の方々にそれぞれ別の場所で遭遇した。日本語久しぶりに聞いたかも。
結局湖を一周することになり、歩いた距離は15kmほど。ちょっと歩きすぎた気がする。
完全な曇り空で夕日を拝むのは諦めていたが、素晴らしいことに夕方になるにつれて急に雲が退散していった。
これはすごい。夕日を避けるように雲が逃げていく。
バッチリ夕日を拝むことができた。
そんなこんなで気分良く上海に戻る。杭州東駅へ。
中国ではもう何度もバカでかいジャンクション駅を見ているため大きさには驚かないが、プラットホームに降りてみるとびっくり。
なんとホームと駅舎の間を道路が通っているのだ。車の音がホームに響き渡るのは不思議な感覚だった。
そして高鉄に乗車。
なんとこの列車、夜行列車用の高鉄寝台車で1段目の寝台を座席にして座る感じになっていた。
食堂車も連結されていたため、そちらでレンチンされたやる気のない車内食をもしゃもしゃ食べた。
往路の在来線と比べるとあっという間に上海に到着。地下鉄に乗り換え、宿の最寄り駅へ。
……と、ここでポケットに手を突っ込んだところ何やら違和感が。
……スマホ、どこいった?
いや、まだ本格的にさがしているわけではないが……でもポケット以外にスマホ入れないし、ちょっとピンチかも?
……結局全部のポケットとカバンの中をゴソゴソし、スマホを落としたことを確信。どうしようか。
とりあえずどこで落としたか記憶をたどっていく。杭州で落としていたら大ピンチもいいところだが、幸い地下鉄の車内で使用した記憶がある。
ということは車内に忘れたか、駅構内で落としたかのどちらか。
そんなわけで駅に再入場。降りたホームを探してみるが見つからず、仕方なく窓口へ。Google翻訳も封印されているため英語が通じなかったら筆談する覚悟を決めていたが、なんとか伝わったらしく事務局的なところに連絡を入れてくれた。
とりあえずここで待っていてほしいとのこと。冷や汗を滝のように流しながらしばらく待機。
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。。
。。。
数分後、別の駅員さんが私のスマホを持ってきてくれた!うおおおお謝謝謝謝謝謝謝謝謝謝!!
どうやら駅のホームでポケットから落としてしまったらしく、どこかの親切な誰かさんが窓口に届けてくれたっぽい。感謝してもしきれない。
おわりに
そんなこんなで上海で人の優しさに触れた話だった(内容としてはほとんど旅行記だったが)。
思い返してみると、アメリカ留学中にもクレカ類と身分証明書が入ったカード入れを2回も落としたことがあるが、その時も親切な人が届けてくれた。
もちろん大切なものを落とさぬよう私自身が気をつけるべきではあるが、以前の記事でも書いたようにこの世界は本当に美しく、善い人にあふれていて、困ったときにはいつもいつも誰かが手を差し伸べてくれる。
だからこそ、そういった人々への感謝を忘れずに生きていきたいし、誰かを助けることのできる人でありたいと思う。
……といったところで今回はここまで。
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