鉄道最高地点と碓氷峠鉄道文化むらに行った話
中央本線・小海線・しなの鉄道・信越本線・高崎線をぐるっと1周する旅。18 きっぷなどのフリーきっぷが1日余った時などにオススメだ。
2021 年夏、7日間連続で JR 北海道・東日本の普通列車に乗車可能なフリーきっぷ「北海道&東日本パス」を用い、青森県の竜飛岬を目的地とする5日間の旅行に出かけた。その後の6日目はリモートでの用事があったため自宅に籠もったが、7日目は完全フリー。5日間の旅行ですでに十分元は取れているのだが、もったいない精神が発動し日帰りで出かけることにした。
で、関東近郊でまだ訪れていない場所というと真っ先に房総半島が挙がったが、こちらは「サンキュー❤ちばフリーパス」などのフリーきっぷも充実しているし、何なら大回り乗車でもぐるっと1周はできる。そんなわけで視線を西へ動かし、まだ訪れていない小海線へ行くことにした。
そのついでにしなの鉄道で軽井沢まで行って碓氷峠をバスで下り、鉄道文化むらにも行くという旅程を組む。来た道を戻りたくない原理主義者としてはぐるっと1周するルートは大変心地良い。なお、ボツとなった房総半島の旅はその後大回り乗車で訪れた。
小海線へ
そんなわけでさっそく旅行開始。まずは小海線を目指し西へ進んでいく。休日の朝ということもあり車内はガラガラ。
中央線に乗り換え終点の高尾で甲府行きの便に乗り換え。中央本線の 211 系はロングシート・ボックスシートのどちらが来るかは完全にランダムだが、今回は運良くボックスシートを引くことができた。
……が、私が座ってからしばらくしてハイキング客が大量に押し寄せ、車内は大混雑に。甲府で乗り換えた便はロングシートだっため、その後はゆとりのある車内空間となった。基本的にはボックスシートの方が嬉しいが、混雑するとけっこう地獄だ。
で、中央本線の見慣れた景色をぼんやりと眺めていると小淵沢に到着。ここで終点の小諸駅まで向かう便に乗り換える。
小海線沿線にもハイキングスポットが多く点在しているため、ここで乗り換える客も多い。果たして座れるだろうか……。
と思っていたが余裕で座れた。これから登山ゆえに体力が有り余っているのか、席が空いているにも関わらず立っている人もいた。で、中央本線の特急に接続してから小淵沢を出発。
中央本線と分かれてからすぐに標高がぐぐっと上がっていく。小海線は八ヶ岳高原を縦断する山岳路線で、かなり標高の高い土地を走る。路線名に海と付くもののオーシャンビューとは無縁だ。
そんな小海線で撮っておきたかったのがこちらの写真。JR鉄道最高地点の碑だ。実は以前八ヶ岳を訪れた際にすぐ横の道路を通過したのだが、写真を撮り損ねていたため心残りだった。回収できて良かった。
で、こちらは JR 線で最も標高が高い野辺山駅。旅程の都合上、途中下車などはできなかった。
その後は千曲川に沿って北上していく。野辺山までの各駅でほとんどのハイキング客が降りていったため、車内はかなり広々としていた。
大きめの岩がゴロゴロしてる。
終点の小諸に到着。
向こう側にはしなの鉄道の 115 系が。信越本線は北陸新幹線の開業に伴ってその多くが第三セクターへ移行したため、JR 線だけで見ると小海線は盲腸線となってしまった。
駅構内には謎のゆるキャラが。
小諸駅を散策
乗り換え先の便まではしばらく時間があるため、外へ出てお昼ご飯の摂取ついでに周辺を散策する。まあしなの鉄道の切符を買う必要があるのでいずれにしろ改札外には出るのだが。
小諸駅はまさに地方の駅という感じで、駅前は整備されているものの歩いている人はまばらだ。
駅に隣接した広場。カフェもあったためこちらでお昼を頂いた。気候が良ければ外でご飯を食べるというのも楽しそうだが、夏冬は厳しそう……。今回は普通に店内で食した。
地下通路で西口に出ると小諸城址懐古園。今回は時間がなかったため内部の見学はスルー。というか入口の写真も撮り忘れてた。近くの駐車場には SL が置かれていた。
さらに向かいには行列のできる蕎麦屋さん。小諸に来てから一番多くの人間を目撃した瞬間である。
都市の玄関口として整備されている東口に比べると、西口はただ跨線橋が置かれているだけというなんとも寂しい感じだ。
鉄道文化むらを目指す
そんなこんなで散策を終えて駅に戻ると、ちょうど小海線の観光列車 HIGH RAIL 1375 が車庫へ入っていくタイミングだった。HIGH RAIL 1375 は快速列車のため指定席に課金すれば 18 きっぷなどのフリーきっぷでも乗車可能だが、今回は混雑で微妙な席しか空いてなかったのと旅程の都合でスルーした。そのうち機会があれば乗ってみたい。
始発の軽井沢行きが入線。
ほぼ同時に、長野方面から来た小諸止まりの列車も到着。こちらは近年導入された新型車両だ。
115 系も東日本では絶滅危惧種となってしまったが、最期の地であるしなの鉄道でも今後置き換えが進んでいくのだろう。
ボックスシートを確保。国鉄臭がぷんぷん漂うものの、車内設備はかなり綺麗だ。
小諸止まりの便から乗り継いできた客もあまりいなく、車内はだいぶスカスカの状態で発車。
長野らしい景色が車窓に広がる。三セクとはいえかつては日本海までを結ぶ大動脈の信越本線、軽快に走っていく。
あっという間に軽井沢に到着。
一大リゾート地ということで駅周辺は栄えており、駅舎も立派。
軽井沢の開発には西武が大きく関わっていたという経緯から、西武バスがそこかしこで走り回っている。路線バスのみならず観光バスや高速バスも運行しているらしい。
で、私が乗るのは碓氷峠を超えて横川へ向かう JR バス。信越本線の難所であった碓氷峠区間(横川~軽井沢)は新幹線開業で廃止となったため、代行バスが運行されているわけだ。残念ながらフリーきっぷは使えない。
だいぶ並んでいたためひやひやしたが、なんとか通路側の席に乗車。
峠下りということでぐねぐねと左右に大きく揺られながら降りていく。こんな高低差ある峠で鉄道運行するのがいかに無茶なことかよくわかる。ちなみに1日1往復だけ旧道を通る便があり、こちらはもっと激しいカーブが連続する。
で、横川に到着。ほとんどの乗客はそのまま駅に向かうが、私は反対側へ。
碓氷峠鉄道文化むら
というわけで本日の目的地に到着。
夏休み期間の休日ということで混雑しているかも……と思いきや、わりとガラガラ。
ちょっと経営が心配になるレベルだ。
まあでもこの暑さだとあまり外を出歩きたくないか。もっと涼しい時期なら混むのだろうか。
博物館というよりは公園に近い雰囲気で、車両も雨ざらしになっているものが多い。経年劣化が進んでいる姿もエモくて好きだが、保管状態としてはあまり良くないよなあ……。
また、展示車両の傾向としては電気機関車(EL)が多い。SL の展示が少ないのはやや残念なところだ。
お座敷列車。中に入れる車両はあまり多くないので注意。
資料館もあり、中には大型ジオラマが。ここにいる車両たちもほぼ引退してしまったため、このジオラマ自体も博物館状態となっている。
その後、トロッコ列車へ。廃線になった碓氷峠区間の一部を利用した列車で、峠の急勾配を体験することができる。
便数が限られているということもあり、このタイミングだけはやや混雑。ちなみに今回乗ったのは 15:10 発の最終便。
それにしてもけっこうな課金を強いられるな……入場料より高いわこれ。今回は旅程の都合から往復したが、上りだけ乗車して下りはハイキングコースを徒歩で戻るというのもありかもしれない。
※ちなみに 2024 年現在は往復 1,200 円となっている
ちょうど発車するタイミングであぷとくんと顔合わせ。園内をぐるっと1周するミニ SL だ。
ゆっくりと峠を登っていく。キッズたちの話し声に紛れながら車内に響く風鈴の音色が心地良い。
写真だと全然伝わらないが、けっこうな勾配。
途中、まるやま駅にて少し停車。後ろに見えるのが旧丸山変電所で、国の重要文化財に指定されている。
終点のとうげのゆ駅に到着。周囲の散策はあまりできず、そのまま折り返しの便で文化むらへ戻った。
そんなこんなで鉄道文化むらの見学は終了。所要時間はトロッコの乗車なども全て含めて1時間半ほどだった。
東京へ戻る
まずは歩いてすぐの横川駅へ。峠の釜めしで有名だが、残念ながらご飯の時間帯ではなかった。
信越本線の高崎行きに乗車。
盲腸線となってしまった信越本線の高崎~横川区間だが、意外にも各駅でちょこちょこ乗車があった。群馬という土地柄もあってか外国人労働者の利用もあり、やたらうるさい韓国人お姉さん集団がいたのが印象に残った。
高崎からはまだ乗れていない上信電鉄も伸びているが、今回は旅程の都合でスキップ。意外と長い路線なので単純往復だと時間もかかり、来た道を戻りたくない原理主義者としては辛いところだ。そんなわけで、そのうち軽井沢から下仁田までバスと徒歩を組み合わせた峠越えに挑戦したい。
高崎は 211 系天国だなあ。
で、快速アーバン上野行きに乗車。現在は廃止されてしまった便だ。
無駄に溜まっていた JRE ポイントでグリーン車に課金し、サクッと帰宅した。
おわりに
そんなこんなで、「北海道&東日本パス」を使って小海線の鉄道最高地点と横川の碓氷峠鉄道文化むらに行った話だった。東京からの日帰りとしてはそこそこ密度も高く充実していたため、今回のようにフリーきっぷが1日余った時などにオススメだ。
また、鉄道文化むらは大宮や京都などの鉄道博物館に比べれば規模の小さい施設だが、人が少ないゆえにじっくり展示に集中でき満足度は高かった。軽井沢への旅行ついでなどにも訪れやすいため、峠の釜めしと合わせて寄ってみるのも良いだろう。
……といったところで今回はここまで。
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