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読書メモ『カンバン仕事術』

『カンバン仕事術』を読んで、重要だと思ったことをまとめます。

改善の第一歩は見える化

ワークフローを改善するためには、チームの作業を見える化する必要があります。見えないものは改善しようがないからです。本書では、作業の見える化の手段として、タイトルにもなっているカンバンが有効であると説いています。カンバンの要素は大きく2つあります。それはワークフローカードです。

ワークフローはチームで実際にやっている作業の流れで、単純な例を上げるとTo do, Doing, Doneといったものです。カンバンボードにマッピングする際は、あくまで実際のワークフローをマッピングし、会社の決まりごとのような形骸的なものにならないように注意します。そうでなければ、実際の作業を見える化できたことにならないからです。また、見える化の段階ではマッピングに集中し、ワークフローの改善は後回しにします。

カードは1つ1つの作業を表現します。本書ではカードの記入事項として、作業項目の説明や納期、担当者など色々挙げていますが、最も大事なのはチームが判断を下すのに必要な情報を載せるということです。誰かの承認が必要であったり、何をすればいいかわからない、といった状況を避け、チームの自己組織化を促すようなカードが望ましいです。カードをシンプルに保てるように、まずは最低限で始めて、あとから必要な項目を追加していくのがいいでしょう。

WIPが多いと効率が落ちる

カンバンを使って作業を見える化できたら、チームの作業効率を高めるために、WIPを制限します。WIPとはWork in ProgressやWork in Processの略で、日本語では仕掛り作業と訳されています。つまり、一度に多くのことをやろうとせず、少ないことに集中するように働きかけます。

WIPが多いことのデメリットは、複数作業の切替(コンテキストスイッチ)により時間と集中力が失われること、フィードバックループが遅れてムダな仕事が増えること、モチベーションの低下など、枚挙に暇がありません。

WIP制限をするための心構えとして、まずは始めるのをやめて、終わらせることを始めようと本書では語られています。このシンプルなスローガンに従えば、自然とWIPを減らす方向に意識が傾くでしょう。具体的なアプローチとしては、まずチーム全体として許容できるWIPの数を決め、次にカンバンボードにおける列ごとにWIPの数を決めます。作業の重さはそれぞれで異なるので、カードにストーリーポイントを振って、その合計値で制限するのもいいでしょう。

WIPは大きいよりも小さい方がいいとされていますが、あまりにも小さすぎると作業者に待ち状態が発生してしまうので、そうなったら他の作業を割り当てたり、WIP制限を上げるといった対応を取りましょう。

ムダをなくして作業の流れを促す

作業ステップ間の待ち時間や大量処理が最小化され、ムダなく顧客に価値提供している状態を、本書では流れと表現しています。

ワークフローにおける作業の流れを管理することも、カンバンの原則の一つです。作業を流れるようにするためには、色々なアプローチが考えられます。

まずは、WIPを制限することです。先に説明した通り、WIPが多すぎると作業のムダが発生するので、WIPを制限してムダを減らすようにします。

また、日々カンバンボードを眺めていれば、待ち状態に気付くことができます。待ち時間を減らすためには、作業の依存関係を減らしてすぐ着手できるようにしたり、作業項目を小さくしたり、作業の進捗を妨げているブロッカーを取り除くといった方法があります。チームメンバーが抱えている障害に気付くために、デイリースタンドアップを取り入れるのもいいでしょう。

そもそものチーム構成をクロスファンクショナルにすることも、流れを実現するための有力な手段です。一般的な方法としては、チームにフィーチャー(機能)の責任を持たせるようにします。フィーチャーチームは他のチームを待ったり、チーム間の引き継ぎで情報が失われるリスクを減らせるので、容易に流れ化を実現できます。

まとめ

ワークフローを改善してチームの作業効率を上げていくために、カンバンを使って作業を見える化しましょう。WIPを制限し、待ち時間を減らして、作業を流れ化していきましょう。

本書のまとめを書いている時に、自分の中で一つの疑問が浮かびました。それは「なぜ改善がここまで取り上げられるのか」ということです。当たり前過ぎて今まで考えてもみませんでしたが、自分なりに考えてみて、行き着いた答えは「正解を誰も知らないから」です。正解が分かっていれば、その通りにやればいいだけです。正解が分からないからこそ、やってみて学習して改善し続けて正解らしきものに近づけていくしかないのでしょう。そしてこのプロセスに終わりはなく、途方に暮れるような気持ちになりますが、しっかり良くなっていることに目を向け、前向きな気持を維持できるような工夫も必要なのかなと思いました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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