オーストラリア農業の先進性から学ぶ! 第50回 オーストラリアで農産物のブランド盗用を防ぐには? 〜その2〜
オーストラリアは、多国籍国家であり、多様な文化背景を持つ消費者が集まっています。ここで日本産農産物が成功を収めることは、日本全体の海外輸出を促進するために非常に重要です。日本産農産物の高品質と独自性は、オーストラリア市場で大きな競争力を持ちます。この市場での成功は、他の国々への輸出のハードルを低くし、ビジネスチャンスを広げる鍵となります。オーストラリアでは日本語表記が人気で、日本文化への親和性が高いことが大きな強みとなります。 しかし、ブランド名を守るためには適切な商標登録が不可欠です。
ブランド盗用のリスクと対策
商標登録の意義と重要性
日本産の農産物をオーストラリアで成功させるためには、ブランド名を保護することが不可欠です。商標(Trademark)を取得することで、他社によるブランド名やロゴの盗用を防ぐことができます。商標登録は、オーストラリア国内での市場展開前に必ず行うべきです。特に人気の高い日本ブランドは盗用されるリスクが高いため、早期の商標登録が重要です。
商標の具体的な登録方法
商標のカテゴリーを確認する:
農産物の加工品(Class 29)は取得の難易度が低いですが、生鮮品(Class 31)は高い傾向にあります。これは、オーストラリアが固有の動植物保護や環境維持のために厳しい検疫措置を実施しているためです。
商標を決める:
商標は「名前」と「ロゴ」を登録することができますが、まずは名前を優先して登録します。オーストラリアでは日本語表記が人気があり、特に「Kawaii」や「Oishi」などの言葉はすでに広く知られています。そのため、新たな商標を考える際には既存の登録商標との重複を避ける必要があります。
事前調査を行う:
IP Australiaのウェブサイトの「Australian Trade Mark Search」を使用して、登録予定の名前やロゴがすでに登録されていないかを調べます。同様の名前やロゴが見つかった場合、その商標を使用することはできません。しかし、検索した名前、ロゴが「Removed - Not renewed:削除後・未更新」の場合、使用を検討できます。
専門家への相談:
商標登録の手続きをスムーズに進めるためには、知的財産保護を専門とする弁護士事務所に相談することが推奨されます。専門家のサポートを受けることで、余分なプロセスを省き、効率的に手続きを進めることができます。
商標の「R」と「TM」の違い
商品の名前やロゴのそばに、小さく「R」や「TM」といったアルファベットの記号が書かれていることがあります。これらの記号は、その名前やロゴが、商標であることを表しています。また、これらはそれぞれ異なる意味を持ち、適切に使用することでブランド保護を強化できます。
R(Registered Trademark):
「Rマーク」は、「Registered Trademark(登録商標)」の略です。オーストラリアで、同マークを付けると、商標が特定の商品を示すことをアピールでき、普通名称化を防げます。また商標権者はその商標を独占的に利用できます。例えば、他の人が商標を不正に利用した場合、商標権者は利用の差し止めや損害賠償を求めることができます。
TM(Trade Mark):
「TMマーク」は、「Registered Trademark」からRegisteredを除いた、「Trade Mark」を略した記号です。すなわち、単に商品の「商標」であることを示しますが、登録されていない商標に対しても条件によっては自由に使うことも可能です。このマークは、将来的に商標登録を出願する予定である、または単に業務で使用していることをアピールするために使われることがあります。
まとめ(日本の農業者の皆様へ)
オーストラリア市場での成功は、日本産農産物の輸出を促進し、他の海外市場への展開を容易にする重要なステップです。日本の農業者は、高品質な農産物を提供するだけでなく、商標登録を通じてブランドを保護することが重要です。適切な手続きを踏むことで、ブランド価値を守りつつ、海外市場でのビジネスチャンスを最大限に活用することができます。