自分をおとしめること言うのはやめな。
誰にだって、人生の絶頂期があり、
そこと比べたらいつだって劣ることになってしまう。
歳と共に体力も気力も落ち、自分の思うようにはならなくなるけど、
だからって、それをだれも責めてはいない。
あんたが自分で自分を貶めているんだよ。
そんなこと、本当は言う方も嫌だろうけど、
聞く方はもっとやだね。
そうだね。っていえば納得するの?
そんなことないよ。と言えば安心するの?
どっちも違うよね?
と言ったら、夫は、
そうだな、自分をねぎらわないとな。と言った。
そうだよ。
90歳になっても、美味しくご飯を食べられること。
お風呂も入れること。(危ないから見守っているけど)
何度も同じこと聞いたりするけど、会話は出来て、
字も書けて、読むこともできること。
出来ること、いっぱいあるじゃん。
俺もばかになったよなぁ。
なんだか頭の中が纏まらないんだよな。
と言ったりする。
多分、幸助さんは認知症半分老人性うつ半分位の割合なのかな。
と思われる。
そんな脳内状態では、そりゃ不安だろう。
だけど、敢えて厳しく言わないと心が奈落の底に行き兼ねないから、
本来の負けず嫌いの性格を刺激してみた。
3年前の2週間の病院生活からデイサービスも開始したけど、
午後からは飽きてしまい、短時間の別のサービスでも合わなくて、
ここ2年程は自宅にいたけれど、先週新たな場所の見学に行ってきた。
窓が大きくて明るく清潔な施設。
クリニックが併設されているので安心。
運動したり、ゲームをしたり、
入浴はなくて、お昼ご飯を食べ、3時過ぎに帰ってくるというパターンが
合うかもしれない。
行ってみなくちゃ合うかどうかだってわからない。
本人、見学したことはすっかり忘れているけど、
契約の際に自署するんだから、日記をつけて練習しよう。
と私が使っているノートと同様のを差し出すと、
日いちにちと力強く書けるようになってきた。
認知症になったからといって、すべて機能低下になっているわけじゃない。
出来ることをしていけば、俺も、私も、まだまだ大丈夫ときっと思える。