【教育雑感】欲しいけど、欲しいって言えない
ある日、先生たちで卓球をやっていた。私は準備室で仕事をしていたので、卓球が行われていたことなど知らなかった。職員室にたまたま寄ったとき、今から着替えて卓球をしに行く同僚の先生から、
「卓球行かないんですか?」
と言われた。私は、(ん?)と一瞬なったが、
(あ~どこかでみんなで卓球やってんだな)
と察した。そしてお決まりの、
「いや~誘われてないんで行きませんよ」
という台詞を返した。私と一緒にいた先生も、
「ボクも誘われてないんで、行けないですね」
と言っていた。声をかけてきた同僚も主催者ではないので、それ以上何も言わずに卓球へと去っていった。
そのあと、主催者だった先生に、
「なんで来ないのよ~誘われてないなんて言わずに、来ればいいのに!別に来られたんでしょう?」
と言われた。
この人は、みんなに愛される朝ドラのヒロインのような方。天真爛漫でイヤミがない。誰とでもワイワイできる。1年目からすでに数年一緒に働いていたような溶け込み方をしていた。
話は変わるが、私は学級通信を欲しいと言われた先生には配っている。欲しいと言われなければ配らない。全員の先生の机の上に置いていったら、偉そうに思われるかもしれないからだ。
だから、先生方に配布するときには席を飛ばすこともある。すると、配られなかった席の人はそれが気になるようで、学級通信をもらった人に密かに見させて貰っているらしい。
ある日、朝ドラのヒロインがやって来て、
「(学級通信をもらっていない)OO先生が、あなたの学級通信を他の先生からもらって、嬉しそうに読んでたよ~」
と報告してくれた。そのあとに、その先生はこう言った。
「欲しいなら欲しいって言えばいいのにね」
私は、欲しいのに欲しいって言えない人の気持ちがわかる。不安、プライド、自信のなさ、忖度、恥ずかしさ…言葉ではなかなか表しにくいが、とにかく気持ちはわかる。
朝ドラのヒロインとしてみんなに愛されて育ってきたような人たちは、
「言えばいいのにね」
「来ればいいのにね」
と言うけれど、世の中そうできない人の方が多いと私は思っている。子どもたちには、
「大丈夫、みんな自分が思っているほど気にしてないよ」
「仲間にいれてって言っても、そうそう嫌がられることはないよ」
とアドバイスをする。しかし、実際、大人だって不安なのだ。
誘われてない遊びや飲み会には行きづらいし、
貰ってない資料を欲しいとは言いづらいし、
飲食店で去っていく店員を呼び止めることすらできない…
言えたら楽なのはわかっているし、嫌がられないとは思うのだけど、それでもできない人たちがいるのだ。
このことを朝ドラのヒロインに言ったところ、
「そういう人たちも一部いるのは知ってた」
と言っていた(笑)。やはり、朝ドラのヒロインは、朝ドラのヒロインであって、そういう天真爛漫さが、人から好かれ、愛され、そして、憧れるのだろうなと。
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