研修医教育における「フィードフォワード」の実践について考える
早いもので、研修医になってからもう2ヶ月のジョンです。ご無沙汰しています。
6月からは「循環器内科」をローテートすることになりました。実は2ヶ月間、同じ上級医の元で「総合診療科」をローテーションしていて、新しい上級医に付くのはかれこれ2ヶ月ぶり、という状況です。
人が変われば、受けるフィードバックも変わる‥ということで、今日は最近流行りの「フィードフォワード」について、考えてみたいと思います。
フィードフォワードとは何か?
フィードフォワード、という言葉を知っていますか?最近チラチラSNSで見かけていた言葉なんですが、先日松村先生のNoteを拝見し、しっかりと学ぶ機会になりました。
フィードフォワードを簡単に言うなら、「未来軸の思考」ではないでしょうか。先を見据えて、これからどうすべきか、を追求していく考えのこと。
フィードバックが「改善」ならば、フィードフォワードは「向上」というイメージです。
ティーチングとコーチング、に対応するような用語でしょうか。
個人的には、
「フィードバック」はPDCAの中のC; Check を、
「フィードフォワード」はPDCAの中のC→A;Assessment の2つに対応しているように思います。
例を出しましょう。
個人的にこの例は、フィードフォワードに入ると思う。
「シリンジを押しながらその都度麻酔薬を注入していたけれど」→Check
「陰圧をかけて腹腔に入るまでは局所麻酔薬は注射せず、腹腔に入ったことを確認した段階から麻酔薬を投与しないと、静脈麻酔になってしまうから気をつけたほうが良いよ」→Assessment
ここで例えば、
「シリンジを押しながら麻酔薬を注入していたね、どうしたら良かったと思う?」でとどめた場合、それは「フィードバック」に該当するように思う。
なぜ今、フィードフォワードなのか??
カオナビというサイトでは、以下の3つがフィードフォワード発展の理由とされています。
また、この様な記載もあります[1]。
研修医にはどのように指導すべきか?〜指導のゴールで使い分けて〜
これまでの中で
フィードバックはPDCAサイクルの中で言うところの「C」を
フィードフォワードはPDCAサイクルの中で言うところの「C→A」をやっている
という内容に触れました。
個人的に初期研修医に理想的な状態は何かというと、「C→Aを一緒に考えること」かな、と思っています。というか、人に仕事を振る、ってそういうことでしょう。
例えば
「先生、この臨床疑問についてちょっと調べてみようか(考えてみよようか)」
とAの部分を丸投げするフィードバックを研修医にやってしまうと、日々新しいことを学ぶ研修医は処理しきれず、どこかのタイミングで爆発することが多いでしょう(と思っています)。
逆に「C→A」の部分を指導医で済ませてしまうフィードフォワードばかり研修医にやってしまうと、どうなるでしょうか。
経験した症例・疾患についてはそれなりに手が出せるけれど、少し変化球になると手が出せなくなる、応用が効かなくなる。
親鳥の餌(=A)を待つひな鳥状態になってしまいます。これでは、別の場所に行った時、使い物にならないでしょう。
理想的な状態は、Cを行ったうえで、「じゃあ次どうしたら良いか一緒に考えようか(Aを一緒に考えようか)」とするパターンなように思います。
一緒に考える中で研修医は、上級医の思考プロセスを学ぶ。一方研修医から、「〇〇(治療方針)はぶっちゃけありですかね」と案が上がった時には、上級医はそれに対してのPros And Cons を伝える。そんな中で、上級医と研修医も「Shared Decision Making 」しながら治療を進めて行くことができれば、研修が終わる頃には「自分で考えながら治療を進める」型がある程度出来てるんじゃないかな‥と思うわけです。妄想レベルですが。
自分が気になった「〇〇(治療方針)」についてであれば、自分で考えようかな、という気分が出てくるような、そんな気もしています。
学習者の受け取り方で「フィードバック」を「フィードフォワード」に
ここまで指導サイドに焦点を当てて話を進めて来ましたが、じゃあ実際指導を受けている初期研修医は、どうすれば良いのか?というスタンスについて、最後に軽く触れたいと思います。
ズバリ、「ポジティブ思考」です。「なんとかなる」と似てますかね。
例えば毎日研修をしていて、指導を受ける機会、ってあると思うんですよね。
そんな時、ポジティブに「なるほど!次気をつけます!」と明瞭に回答する。
これって実は、自然と「C→A」とサイクルを回しているように思うのです。
正確には、「次気をつける」というハチャメチャAssessment をしている、と言えるでしょう。
「次気をつける」というレベルの意識で再発予防に繋がる様な物は、そもそも気にするようなミスではないのかもしれません。
最も、「次気をつける」という意識レベルでの改革、ソフトレベルでの改革は8割型、同じ失敗をします。ハードレベルの改善が必要となれば、「しっかり」考える必要があるでしょう。その時は是非とも上級医の皆様、さじを投げず、向き合ってくださると研修医冥利に尽きます。何様やねん、って感じですが。
君も明日からフィードフォワードでPDCAガン回し!!
PDCAなんてね〜、なんぼ回してもええですからね〜。
向き不向きもあるかもしれませんが、ついつい考えすぎちゃう‥という人は、ポジティブ思考を取り入れてみて下さい。
逆に上級医から指導されまくって、甘々環境だな〜、と思っている人は、自分で考える癖をつけると更に学びが加速するんじゃないかなと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!
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