息を吸って、吐いて、ひとつになる感覚。
祖父の一回忌で、田舎に帰ってきた。
ー田舎はあったかい。
友人宅に手土産を持っていくと、ぶどうとさつまいもをもらい、結果的に物々交換のようになって、お互い笑った。
東京とは違い、私のことを保育園時代から知っている人がたくさんいる。
ただ、そんな人たちの顔に刻まれたしわの数を見ると、時間は流れているのだという現実をつきつけられるようでもあった。
今年も秋がやってきた。
外に出ると、ひんやりとした空気が全身を刺激し、妙に心地良い。
身体の奥底まで届くように、思いっきり息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出した。私が、この土地と溶け合って、一つになれたと感じた。
◇◇◇
東京への帰路に就く今、私はこの土地で産まれたことを誇りに思っている。
全身をふわっと包み込んでくれる柔らかさは、「いつでも帰っておいで」と語りかけてくれているようだった。
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