アメリカ実質横断一人旅⑤ ‐サンディエゴ、旧友との再会
ようやく緑が見えてきた。
これまでずっと砂漠地帯にいただけに、緑を見ただけで嬉しかった。
もうそろそろ海が近い。気持ちは高まるばかりだ。
アリゾナからサンディエゴまでもなかなか距離があるとは思っていたが思った以上に早く着いた。
やはり昨日の運転が過酷すぎたせいか。
この程度なら何も思わなくなっていたのかもしれない。
海
友人との待ち合わせまでには少し時間があった。
またマップを見て、いい感じの場所がないか探すことにした。
Cabrillo National Monumentなるものを見つけた。
とりあえず行ってみるか。
結果は最高だった。
やはりアメリカはスケールが半端じゃない。
水平線がほぼ180度見渡せた。
久しぶりの海。感動的だ。
私はいつしかこの自然の中に溶け込み、調和していた。
気付いたら時刻は閉館時間の5時を過ぎていた。
そろそろ友人のところに向かおう。
場所はSunset Cliffs Natural Park。
そこで夕陽を見ようと話していた。
友
約5年である。
約5年ぶりに、サンディエゴという異国の地で、中学の同期が4人も揃ったのである。
こんなことがあるのかと感激した。
過去と今。
お互い異なるバックグラウンドを経て、この地で再び出会う。
個々の生き方は違えど、ここで出会ったという事は何らかの核心的な部分は共通しているのではないか。
ともかく運命的なものを感じた。
会話をしていて、なんだか中学生に戻ったような気分だった。
次いつ会えるかは分からない。特に約束もしていない。
けれど、彼らとは約束なんてしなくてもまた再びこのような形で、偶然出会うんじゃないかと思う。
もはや必然なのかもしれない。
友人達と別れて、再び1人になった。
けど、全く孤独感はない。
何かに守られているような感覚だ。
足取りはいつもより軽く、力強かった。
朝
翌朝、ホステルから近かったHuntington Beachに散歩に行った。
朝っぱらからサーフィンにいそしむ人ら。
夫婦で浜辺を散歩する人ら。
1人でボーっとたそがれる人ら。
各々が各々の時間を楽しんでいる。
総じてみんな幸せそうだった。
そんな中で俺は、、、何かに縛られながら生きているような。
今日は一日中暇だ。特に予定も入れていない。
車があればどこへでも行ける。
とりあえずhollywoodでも見ておくか。
あまりの小ささに驚いた。
日光東照宮の眠り猫を見た時と同じ感想だ。
まあいいか。とりあえず見たってことで。
夢
マリブが近いのか。行こう。
そういえば、高校生の時にLanyというアーティストをよく聴いていた。
アルバム名はMalibu Nights。かけるしかない。
音楽を聴くと、その時の記憶が鮮明に蘇る。
あの時、あの場所で、こんな事を思ったとか。
これまで経験した色々な苦労も、今となっては懐かしい思い出として浄化される。
音色に、思い出という奥行を伴って、より厚みのある歌となる。
音楽にはそういった良さがあると思う。
高校の時の思い出に浸っていると、いつの間にか到着していた。
雄大だった。
言葉にならないほどに美しかった。
一体何時間、あの水平線を見つめただろう。
初めて見た景色なのに、これまでの人生がフラッシュバックした。
これは、今までの人生のご褒美なのかもしれない。
海は寛容だ。
どんな悩みも、苦しみも、大きな懐で受け入れてくれるような気がする。
また行きたい。
次は何年後になるのか分からない。
10年後、自分はどんな暮らしをしているのか。
もしかしたらこの世にいないのかもしれない。
けど、またこの場所で、水平線と対話しながら、人生を振り返りたい。
そう思った。
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