見出し画像

(勝手に)銀狼と呼ばれた女

1年ぶりに参加した小さな町のハーフマラソン。友人たちが酔っ払った勢いでエントリーし、4ヶ月前から本格的に走り始めて全員が完走した。4ヶ月だけ自分のペースで走り込めば誰でもハーフマラソンは完走できるんだなと単純ながら真理な感想を抱いた。
きょうのレース前半は特に全体の進みが鈍く、なかなか自分の速さで走れないもどかしさとの勝負だったけど、ひとり黙々と同じペースで走り、他のランナーをすいすいと交わす女性がいて、勝手ながら私のペースメーカーとして追従させてもらった。銀髪で二の腕には控え目なタトゥー。上下動がなくするどい足の運び。そんなきれいなフォームで走る“銀狼”を必死に追いかけた。
ふと気がつくと銀狼の姿はない。知らぬ間にずっと先に行ってしまったのかもしれないし、ずっと後ろに潜んでいたのかもしれない。結局ゴールするまで再会することもなく、その後2時間ほど友人たちがフィニッシュする様子を見守りながらもチラチラと銀狼の姿を探したが、見つけることはなかった。そんな獣が本当にいたのだろうか。来年再び姿を見られたらいいのだけど。
演劇公演が終わり、マラソン大会が終わって夏の第一部が終了した感覚だ。夏の第二部はどう過ごそうか。とにかく健康でなくてはいけない。健やかにいまを生きようと思っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?