02/働くミドルエイジのための勉強メモ
自分にとってかなり背伸びをした或る資格にターゲットを絞ったのが1年前。以来地味に日々勉強を続けて先日試験に挑み、何とか次のステップへと進むことに。中年が働きながら資格取得のために勉強するというのは思った以上に大変で、というのは嘘で、あの手この手で何とかなったので脈略なくメモ。学びに飢えるも勉強の習慣化に苦慮する同世代に捧ぐ。
◆纏めて勉強しようとしない
1日最低でも平日3時間、休日6〜8時間は勉強時間を確保しないと間に合わないと同じ境遇である社会人合格者が口々に言っている資格だったので、最初は言われた通りに1日の中で纏まった3時間をひねり出し勉強に割り当てたものの、2日で無理が出てきた。24時間の中から纏まった3時間を確保するというのは相当難しいし、「時間を確保しなきゃ…!」の圧力ですべてが嫌になる。なので、朝起きてからの1時間、夜寝る前の1時間で2時間、残りの1時間はトイレに入っている5分で過去問1問解く、仕事と仕事の休憩時間15分で1単元サラサラと読む、食後のぼんやり時間10分で暗記、風呂30分で過去問いくつか解く、という細切れの時間を寄せ集めてそこに勉強をセットという方式にしたらそれなりに時間は確保出来た。1日の隙間に注目すると、結構空白の時はあるのだ。
◆勉強は愚直な反復ゲーである
ビジネスの世界では解けない問題が山積みだ。勉強の世界には、必ず解ける、正解がある問題しかない。勉強時間だけは現実を忘れ、解いて解いて解きまくるのだ。過去問を。ということで、テキストを読む前にまずは過去問を解きまくるのが働く中年にとっては効率が良い。過去問を解く→間違えたところをテキストで確認する→過去問を解く→間違えたところをテキストで確認するの繰り返し。勉強は愚直な反復ゲー。正解した問題には目もくれず、過去問の森を突き進む。
◆書かなきゃ覚えられないということはない
ノートに書かないと覚えられない国の民衆は圧倒的に多いが、人の名前や食べ物の名前をいちいち書かないと覚えられないことがないように、書かなくても人はきちんと覚える。何より24時間働いてヘトヘトのミドルエイジに書いている元気も時間もない。だから読むだけにした。テキストをジロジロと助平な目線で何度も何度も上から下まで舐めるように読む。そんな元気もない時は目次だけサラサラと読む。見出しだけ読む。太字だけ読む。書くよりも圧倒的にスピードがある。黙読し、小さな声に出して読み、自分に言い聞かせるような読み聞かせをし、一文字ずつ舐めるように読む。「読む」という行為でもこんなにバリエーション豊富。何度も通読することで「あ、このあとはこんな話題が出るぞ」と先回りできる。先回りする=思い出す。この思い出しが記憶定着の鍵(だと思ってやっていたけど、真贋定かではない)。書かずに何度も読むことで、脳は「この人同じところを何度も読んでいるから、多分大事なことなんだな…よっしゃ、忘れずに覚えといたるわ!」と記憶にとどめておいてくれるらしい。脳をどこまで騙せるか。それも効率的に勉強を進めるポイントかもしれない。
◆わかっちゃいるけどまとめノート不要論
とはいえ、やっぱり「書いて覚えろ」と言われ続けてきた世代である。「なんか書きたい!」と思ってしまうのも事実。で、ノートにえいやーと書いて見直したら結局それテキストに書いてることまんまといういちばんダサい感じになって意気消沈。そう、まとめノートなんてやっぱりいらない。テキストにすべて書いてある。補足したければテキストに書き込めばいい。テキストがノートでもあり辞典でもある。どんどんテキストを改造して、書き込んで、自分の1冊を作り上げるというクリエイティブ。その1冊だけ見直せばすべてが分かる、立ち返るための1冊。ビジネス的に言うところのクレド。社訓。スローガン。迷った時に見直せる拠り所がテキスト。
◆「ここは大事」と自分で決めない
テキストを読んでいて「ここ大事だなぁ。マーカーシャシャシャー」はやらない。そこが大事って自分で決めない。誰が決めるか。そう。過去問が決める。過去問様が教えてくださる。過去問に登場したということは大事という何よりの証拠。過去問に出てきた語句やキーワード、言い回しをテキストから探し出し、そこにマーカーをする。テキストのマーキング部分=過去問に出てきた内容にしておく。自分で勝手に判断しないのが安全。
◆煩悩はさっさと書き出す
勉強中の誘惑やおじゃま虫。仕事のメッセージ、メール、電話。そういえばあの人に連絡してないな。そうだ来週の予定確認しなきゃ。あれ?今夜の飲み会の人数確認したっけ?耳そうじしたい。チョコが引き出しにあったな。明日も雨か。あの映画週末までだったかな?……人の頭の中には常にこんな無秩序な煩悩が湧き続け、その煩悩に振り回されているとあっという間に勉強に使える時間は消えてなくなる。いちいち煩悩爆誕に付き合っていたらキリがない。『あとでやるからコーナー』を作って、煩悩が生まれたらそこに書いておけばいい。あとでやるリストに勉強以外の煩悩を落としておいて、一気に解消する。スッキリ。
◆後記
書き出してみたら大したことなかった…。
最初は小さな点でしかない知識が、何度もテキストを繰り返し読み、何回も過去問を解くことで少しずつ点が膨らんでいき、膨らんだ点が他の点と交錯し重なり合っていく感覚は純粋に心地良い。点と点を結ぶのではない。点と点が綯い交ぜになっていくのが勉強なのだ(と偉い人が言っていた)。テキスト1冊と過去問集さえあればえらい長いこと遊べるコスパ最高のゲーム。プレーしない手はない。(了)
※ちなみに勉強時間は25分やって5分休憩を繰り返す『ポモドーロ・テクニック』が個人的にはフィット。自分たちで作った動画を使い倒してました。