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初めてを探求することの楽しさ

Column:"初"3180m

「制服すべきは山の頂きではなく、自分自身だ」
  エドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)

Edmund Hillary

◇Prologue

〜 ’24/8 中旬。人生初の槍ヶ岳登山を計画し敢行まで〜

これまで、何度か上高地をトレッキングする機会はあった。しかし、実際に槍ヶ岳を拝んだことはなく、河童橋から見える穂高連峰を眺めているばかりであった。

登山経験は皆無であり、唯一登頂したことある山は、東京都に位置する高尾山(標高599m)。

◇”3180m"への憧れ

日本には様々な百名山があり、標高3000mを超える山がいくつかある。

上高地へはよく松本駅を経由し向かっていた。ある時、松本駅から日本アルプスを眺めていると一つの山が見えた。

それは、鋭峰"槍ヶ岳"。別名、"日本のマッターホルン"。

標高3000mを超える山々がある中、その鋭峰はまさに、天上を穿つが如く聳えており、”いつか登ってみたい”と、ふと思った。

◇”好奇心”に従う

高尾山登頂から2年の月日が経過。久しぶりに山に行きたいと思った。そして、もちろん思ったのは、”行くなら槍ヶ岳しかないでしょ”と。

”登山素人にとっては無謀な挑戦かもしれない”とも思った。

しかし、自分を突き動かしたのは、やはり”好奇心”であった。

◇”憧れへの行程”

通常、槍ヶ岳登頂への行程は、1泊2日で行われる。

最もメジャなルートは、槍沢ルート。上高地を出発点とし、槍ヶ岳山頂までは徒歩で約9時間を要す。

そのため、普通であれば槍沢ルートの途中にある、槍沢ロッヂで1泊し翌日に山頂を目指すのが一般的。

自身が計画した行程は、半日での弾丸登山。

◇”超人であれ”

「超人」
  ニーチェ(Nietzsche)

Nietzsche

この言葉を胸に、無心にただただ一歩ずつ足を進める。

6時間歩き、ようやく槍沢ロッヂを通過。そこからもう少し歩くとようやく槍が岳の麓に着く。

◇"トラバース開始"

大曲を過ぎると目と鼻の先にはいよいよ槍が岳が姿を表す。

その姿は、まさに字の如く、そして天を穿つように悠々と聳え神々しい。

ここからが、本番。何故なら炎天下の中、2時間も歩くことになるからだ。

◇”大曲を見よ”

目と鼻の先。この言葉が脳裏に常にある。しかし、一歩にゴールは近づかない。歩けど登れど、近づいている感じがしないのだ。それはそうだ。山はデカいからだ。

しかし、ここまで来て引き返すわけにもいかない。ここで皆が思っていることは、ただ一つ。

”前進あるのみ” 

着いた時のことだけを考える。ただただそのことだけを考える。

◇槍が岳山荘到着

気合いと根性と執念で歩き登り続けたその先に山荘が待っている。この修行のような行程の果てにあったのは、山荘から見下ろす雄大な大地と山荘から見える槍が岳だ。

◇”あえて”登頂せず。

槍沢ルートでの弾丸登山もついに終わりへ。約8.5時間でここまで来た。そして、あと30分で登頂できる。

そう思うと、登頂した時に、”また気合いと根性さえあれば勢いで登れちゃう山だ”そう慢心し兼ねないと直感で思った。

だから、”今回は見るだけにしておいて、また今度来よう。そしてその時に登ろう”

そう思い、山荘で一泊し下山を選んだ。

◇”仲間”がたくさんいる

山頂での夕食どき、食堂はすごく盛り上がっていた。知らない者同士が、どの行程で登ったかや明日の行程はどうなのか、今まで踏破した山やおすすめの山紹介など。

そう、みんな山が好きなのだ。そうここには山好きしかいない。

知らない人ばかりだけど、自分と同じ思いを共有することが出来る仲間がいることは素晴らしいことだ。

◇また、どこかで!

出発の朝、山荘内ではこの言葉を多く聞く。”また、どこかで!”次に向かう山でもまた新たな出会いや再会が待っている。もちろんここに戻ってくれば、待っている人もいる。

◇”1人”じゃない

単独登山。1人のように感じる。しかし、登る行程で多くの人と話をする。そして一緒に登ることもある。最後の2時間のトラバースで挫折しかけたあの時、声をかけてくれた方がいた。同じ行程で同じ初体験。親近感が湧いた。それと同時に”この人について行けば必ず登れる”そう思った。

誰もが単独で行動しているとこのように感じることがあるかもしれない。そう思って当然だ。しかし、その数分先、数時間先、未来には必ず誰かが待っている。そして、同じ志を持つ仲間が必ずいる。

だから、1人じゃない。そして辛くなった時、しんどい時は、誰かに頼ろう。誰かに話そう。

◎きっと助けてくれる仲間がいる

なぜならあなたは1人じゃないから。








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