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台北迪化街 時を越える味わい―永楽市場と林合發油飯

台北の歴史を歩む旅において、永楽市場は単なる商業施設以上の存在です。文化と伝統が交錯するこの場所は、特に迪化街の一角、霞海城隍廟の近くに位置しています。1908年の日本統治時代に「大稻埕新市場」として始まったこの市場は、当初は花園だった土地に建設されました。初期の市場は、レンガと石で造られた平屋建ての建物で、飲食店が入る小さな木造の建物も含まれていました。

この歴史ある地で、林合發油飯店は長い年月を経てもその地位を保ち続けています。1894年に創業したこの店は、現在第四世代によって運営されています。最初は菓子製造から始まりましたが、家庭料理である油飯が評判を呼び、専門販売へとシフトしました。林合發の油飯は、伝統的な風味と繊細な手仕事で広い客層を魅了し、多くの台湾の著名な企業家や名士も訪れる名店です。

台湾の油飯は、糯米に炒めた様々な具材を加え、麻油と醤油で味付けすることが特徴です。家庭では、赤ちゃんの誕生を祝う際にもこの料理が用意されます。林合發では、その独自のレシピと製法で知られ、毎朝7時30分から新鮮な油飯を提供しています。多くの人々が、油飯を買い求め霞海城隍廟でのお供えとしています。

林合發の油飯は、一粒一粒がふっくらとし、香菇やエビ、肉の旨味が溶け合った絶品です。油飯だけでなく、鶏腿や滷鴨蛋、芋頭粿などのサイドメニューも充実しており、顧客は好みに合わせて選ぶことができます。

迪化街は、その一角ごとに異なる時代の物語を紡ぎ、独自の台湾の味を求める人々を引き寄せて止まない魅力的な場所です。永楽市場や林合發油飯店のような名所は、台北の深い歴史と豊かな文化の一部であり、訪れる人々に忘れがたい体験を提供しています。

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