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『紅の響き 台北科大紅樓の歴史と現代』-タイムレスな美と継承される精神

紅磚が積み上げられた壁、歴史の香りが漂う台湾の学園。そこには、多くの物語と時代を超えて継承される文化が息づいています。中でも、国立台北科技大学の紅樓は、その美しさと歴史背景で、多くの学生や訪問者の心を捉えてやまない。

繁華なる忠孝東路と新生南路に位置する台北科大。この大学は、台北工業学校としてのスタートから、台湾の技職教育のパイオニアとしてその名を馳せてきました。そして、校内の紅樓は、ここに刻まれた深い歴史を体現しています。

1926年に誕生したこの紅樓は、元々“御大婚禮二十五周年紀念文庫附屬書庫”として、日本の大正天皇の結婚を祝う記念図書館として建設されました。主要部分は火事で失われましたが、この小さな紅樓だけが時代の変遷を静かに見守り続けてきました。

そのサイズは34.2平方メートルと小さく、しかし、紅樓は大正時代の紅磚建築の特色を完璧に再現しています。この建物は、単なる建物ではなく、台北科大の精神と継承の象徴として今もそこに立っています。特筆すべきは、この紅樓の設計と施工が、当時の学校の学生や教職員によって行われたこと。学問の場として、そしてチームワークの精神を体現しているのです。

年月が経つ中で、紅樓は多少の劣化を見せ始めました。しかし、2016年12月に“原状回復”のための修復工事がスタート。そして、2017年5月に新たな輝きを持って再び公開されました。



紅樓は、台北科大の歴史の一部であり、台湾の近代教育史における重要な位置を占めています。その美しさとともに、先人たちの努力や学びの精神を感じ取ることができます。

今、紅樓は台北科大のシンボルとして、また台湾の教育と歴史の象徴として存在しています。その静かな存在は、未来への挑戦と新しい物語を綴る力を、我々に与えてくれます。

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