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朝の一杯で味わう台湾の歴史 - 「シェンドウジャン」の物語

台湾の朝の風味豊かな食事の中で、一つの特別な料理が心を惹きつけます。それは、歴史と風味が交じり合った「シェンドウジャン」です。このシンプルでありながら風味深い一品は、約1950年代の北部の風味を背負っています。台北の永和区で始まったという物語は、朝の静寂を破るような早朝から始まる豆乳作りの情景を思い浮かべさせます。



その当時、台湾の地元の人々にはあまり受け入れられなかったこの料理が、1970年代の野球ブームと共に一躍人気になりました。深夜に終わる少年野球チームの試合後、人々が集まって試合を見た結果、永和の豆乳店が早朝から営業を始めたことで、新たな朝食の習慣が形成されました。



そして、現在の「シェンドウジャン」の誕生へ。人々は豆乳に酢、ラー油、ネギ、油条を加えることで、さっぱりとした風味の朝食を作り出しました。その名前に「シェン」(塩)が付けられているにも関わらず、その味わいは原味の豆乳よりもさっぱりとしています。それが日本人の間で大人気の理由なのです。



台湾南部の嘉義朴子の配天宮の門の前に立つ古い豆乳店は、毎朝5時に開店し、そのシェンドウジャンは全台湾でもトップクラスの味を誇っています。明け方、太陽がちょうど昇り始める時に、寺の門で一杯のシェンドウジャンを楽しむ感じは、新鮮で健康的な朝の始まりを予感させます。



食事はただの栄養補給だけではなく、文化や歴史、そしてその地域の生活を感じさせるものです。台湾の「シェンドウジャン」を一口飲むと、その豊かな味わいとともに、遠い台湾の朝の風景が心に浮かび上がります。

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