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【歌詞】コーヒーカップ

その日は朝から雨で憂鬱な気分だった
雨宿りのつもりで映画館に入った

映画の下らなさに腹を立てた僕らは
行きつけの喫茶店へ小走りで走った

君はぼんやり窓を眺めて
僕に尋ねた 「私、世界の波に流されてないかな?」

ふたつ並んだ同じ柄のコーヒーカップ
くるりと渦を巻いて揺れているシロップに
この心の靄のかかった想いを重ねていた

何も答えない僕に罵声を浴びせかけ
君は雨上がりの街へと姿を消した

君は十五の時に大切だった何かを
校庭でなくしたんだ それが君を変えた

僕は冷めたコーヒーをすすり
君のなくしたものを探そうとした だけど見つからず

ひとつだけ空になった小さなコーヒーカップ
ただ空しくそれを見つめて佇んでいた
君は何処にいるの? 何に迷っているの?

窓から太陽の光が差し込む
そうだ 全てをなくしたって構わない 失ったって構わない

きっと僕らは何度でも怯みかけた手を
前へ突き出していける力を持っている
今はまだバラバラの小さなコーヒーカップ
そっと寄り添うようにして並ぶその姿に
二人の未来を思いながら 君を迎えに行くよ

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