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『ベンチャー企業がぶつかる「10億円の壁」』Vol.6:ジョブ型雇用のデメリット
前回、ジョブ型雇用のメリットをテーマに取り上げた。10億円の壁にぶつかるベンチャー企業にはメリットが多いのだが、デメリットもある。それらの中には、誤解もある。例えば、「ジョブ型雇用をすると、他の職務への人事異動ができなくなる」と指摘する人もいる。果たして、それは事実と言えるだろうか。今回は、そのような懸念を取り払うためにも、デメリットをテーマとする。
ジョブ型雇用のデメリット(その1)
ジョブ型雇用のメリットは、職業意識や職務遂行への責任感、使命感、プロ意識が高くなることだ。実は、これはデメリットにもなる。
こういう社員は得てして業界や市場、競合他社の動きにアンテナ(情報収集網)をはりめぐらすようになる。同一業界の他社の社員とのつながりを持つ機会も増え、互いに社内の状況を話し合うかもしれない。賃金や労働時間、有給休暇など労働条件や福利厚生、オフィス環境を知るうちに「隣の芝生は青い」の心理になり、そこに転職することもありうる。他のさらに労働条件のいい企業に移ることもあるかもしれない。
意識が高くなり、視野が広がるがゆえに離職率が高くなる可能性がある。10億円の壁にぶつかるベンチャー企業の大きな課題は離職率を下げ、定着する社員を増やすこと。双方には矛盾があるように見える。このような時はどうすべきか。
まず、退職の理由に目を向けたい。人が辞める理由は、大きく2つにわけられる。
■もくじ
ジョブ型雇用のメリットのおさらい
ジョブ型雇用のデメリット(その1)
ジョブ型雇用のデメリット(その2)
ジョブ型雇用のデメリット(その3)
ジョブ型雇用のデメリット(その4)
ジョブ型雇用のデメリット(その5)
ジョブ型雇用のデメリット(その6)
ジョブ型雇用のデメリット(その7)
ジョブ型雇用のデメリットのまとめ