コンピテンシーの中で重要なリーダーシップ
ジョブ型雇用においても、メンバーシップ型においても、ビジネスパーソンに求められる多数のコンピテンシーの中でも「リーダーシップ」は、どの職務においても必要となる能力の一つです。
日本では、DX人材不足が深刻化し、DX人材育成が求められ、その為のリスキリングやリカレントによる能力開発の必要性が紙面などでも取り上げられています。
DX人材の必要性の背景には、日本の競争力の低さを指摘する声もあります。
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日本の国際人材競争力は39位?
既に上記ブログで採りあげたように、スイスのビジネススクールIMD(国際経営開発研究所)の2021年度の国際人材競争力ラインキングの総合評価では、日本は39位です。さらに、評価項目の一つである「マネジメント教育」は64ヶ国中55位です。
これらの結果が少なからず影響を与えているのが、日本企業の生産性・効率性の低さでは無いでしょうか。以下の図は、OECDの2021年度一人の時間当たり生産性(GDP)の順位となり、日本は21位です。
確かに、DX人材不足は重要な課題です。それに加えて、DX人材の彼らをリードするリーダーも日本には不足しているのではないでしょうか。
そこで、企業の価値最大化、競争力向上するためには、リーダー育成、リーダーシップ開発は企業にとっても重要なテーマでしょう。
リーダーシップ向上の手始めは、先ずは自分の強みに集中して向上させることから始まります。
会社であれ、学校や家庭であれ、リーダーシップが意味するものは他者を鼓舞して、動機付けし、確かな成果を達成させることです。
そもそもリーダーシップとは、「チームメンバーを同じ方向に向かわせて行動し、期待する成果を出すこと」です。
そのために、リーダーは彼らが達成するゴールや目標を明確にし、チームメンバーをゴールに向かわす事です。そして彼ら個々の強みを引き出す事が求められます。
すなわち、実効性のあるリーダーシップは、チームメンバーの動機づけや行動を促し、チームを活性化するだけではありません。チームメンバーの才能や能力を理解して、目標に向かわせるためのサポートが求められます。
さらに優れたリーダーは、チームメンバーの事を良く理解しており、彼らの弱み以上に強みも把握しています。すなわちチームの競争上の優位性は、彼らの強みに内在しているという事を理解しているという事です。
リーダーとしての役割で期待されることを明確にすることは、成功するためには不可欠です。多くの時間を、目標の成果達成に必要な条件や期待される事を思案し意思決定することに当てます。
もし、これらの事を十分にやらないと、チームメンバーからの信頼を失う事になるだけでなく、彼らの競争力や責任感も減衰してしまいます。従って、リーダーは常にメンバーに「期待される成果は何か?」「目的は何か?」を訪ね、もし「わからない」との返答であれば、彼らに対してそれらを明確に指導する必要があります。
リーダーシップの特徴として、優れたリーダーは、チームメンバーの心に働きかけ、彼らを導きます。その為には以下4つが求められます。
信頼関係醸成
信頼関係を構築するのは、最も基本的な事です。透明性を持って誠実に向き合う必要があります。時には、リーダーとして自身の課題や困難な取り組みをメンバーと共有することも大切です。思いやりや配慮
チームメンバーの能力だけでなく、日常的に彼らに目配せ、気配りし大切に接する事が重要です。部下が公私限らず困難な状況では、親身になって対処することが求められます。揺るぎない姿勢
精神的な安らぎの場を作るために、部下の質問に誠実に答え対処し、彼らが提案するアイデアや不安や日々の課題を聞きく誠実さとそれに対する的確なアドバイスが必要です。日常的に重要なのはコミュニケーションの量と質です。明るい未来の共有
部下は、上司が正しい方向へ導いてくれる事を期待します。正しい方向へ導いてくれるリーダーを信頼すると言われます。例え道のりが険しくても、例え目標達成には大きな課題が待ち受けていようとも、リーダーは情熱をもって明るい未来を語らなくてはなりません。
リーダーシップの定義は業界や業種によって様々なものがあり、一括りに説明することは難しいです。しかし、リーダーシップは先天的な能力ではありません。そして重要なのは、スキルの一つとしてコンピテンシーに加えて自己成長できるものです。
リーダーとして振る舞う機会は、会社以外の学校や家庭でもあります。換言すると皆さん全てにリーダーシップが必要になる機会があるという事です。
JOB Scopeでは、職務定義に必要なタスク(課業)の設定の他に、ビジネスパーソンとして求められるコンピテンシーリストが273用意されています。リーダーシップもその一つです。職務定義と合わせてコンピテーを設定し、人材開発にご利用いただけます。
執筆:JOB Scope 編集部