中小企業 2代目、3代目経営者のデジタル改革奮闘記:第21・22回 公開
今回は明治14年(1881年)創業で、2024年で143年を迎えた株式会社大川印刷 (神奈川県横浜市)の大川哲郎代表取締役社長に取材を試みた。大川社長は、2005年に6代目代表取締役社長に就任。印刷業界が過渡期にあることを見据え、「風と太陽で刷る印刷」「印刷しない印刷会社」を掲げ、大胆な改革を次々と試みている。
同社は1990年代半ばから環境に配慮した経営に取り組んできた。2004年からは、「ソーシャルプリンティングカンパニー®」という指針をする。これは本業を通じて社会的課題を解決できる会社を目指すものだ。環境に配慮した取り組みの1つである「石油系溶剤0%インキの普及啓発を通じた地球温暖化防止活動」が評価され、2015年には「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受彰した。
2017年に、持続可能な開発目標(SDGs)を経営方針の中核に定める。2019年からは自社の工場の屋根には太陽光パネルを大量に設置。印刷を含め、本社工場で使用される電力の約20%をこの太陽光パネルでまかない、残りのおよそ80%は風力発電の電力を購入し、再生可能エネルギー100%を実現している。2023年には、気候変動アクション環境大臣表彰「普及促進部門・緩和分野」を受賞した。2024年現在、印刷事業を中心にスキャニング事業、コンサルティング事業、映像製作・スタジオ運営を展開する。
NPO、NGOとの協働の経験から市民参加のワークショップなどでファシリテーターを数多く務める。社会課題解決型スタジオ「with GREEN PRINTING」を運営。毎月第3金曜日は映画上映会・交流会を開催している。
前編のもくじ
1881年創業で、国内有数の老舗印刷会社
4代目社長の急死
大川印刷の社長になるのを決意
母は専業主婦から突然、社長になった
社長である母と考えが合わない時があった
25歳で取締役社長室室長に就任
母と考えや意見が異なることが増えてきた
ストレスやもどかしさを感じた時
後編のもくじ
2代目社長就任で、売上12億円から34億円へ
意見や問題点、不満を言いやすようにする仕組み
10億円、30億円をこえるために大切なこと
DXに取り組み、基幹システムを改良する
ITデジタル化やDXをする原点
社長を譲り、ホールディングスの運営に
丁寧に人を育てていけば30億円をこえることもできうる
2代目や3代目の存在意義と使命