『売上10億円を超えた ベンチャー企業の管理職たちの奮闘!』Vol.8:部下育成とチームビルディングの本質
ベンチャー企業の大多数がぶつかるのが、10億円の壁
今回はまず、私たちの編集部の一員が10年程前に、経済団体で150人程のベンチャー企業や中小企業の経営者を前に1時間の講演をした際、元となったスピーチ原稿を紹介したい。
テーマは、売上10億円の壁にぶつかるベンチャー企業。なぜ、このような企業で管理職が育たないのか。そこにフォーカスを当てた内容だ。本シリーズ(第1回)から(第7回)で説明してきた内容と重なる部分がある。シリーズの過去の記事をぜひご覧になったうえで、お読みいただきたい。特にアンダーラインをひいたところが、10億円の壁を乗り越えるためにポイントとなる。
ベンチャー企業が創業し、売上を増やすと「壁」にぶつかります。特によく言われるのが、3億円、10億円、30億円、50億円のそれぞれの前の段階で直面する壁です。
3億円以下の場合、社員数で言えば30人以下が多い。このレベルでは「株式会社」として銀行や信用金庫などの金融機関や信用調査機関を始め、世間から認知されにくく、新卒はもちろん、中途でも優秀な人が入ってくる可能性は低い。
確かに会社員のキャリアは大体、35歳前後で決まると想定すると、こういう企業にいることは、相当にキャリア形成を戦略的に考えないと後々に不利になる可能性が高いと思います。
言い換えると、採用試験や入社後も、企業はエントリー者や社員らに「この企業にいると、キャリアはどうなっていくのか」と踏み込んで提示していくことが必要になります。漠然と仕事を与え、給与を支給していれば、社員たちがキャリア形成に満足すると企業側が考えているならば時代感覚がずれている可能性があります。
ベンチャー企業の大多数がぶつかるのが、10億円の壁となります。売上は3億~8億円くらいです。社員数で言えば30~100人が多く、その多くは中途採用者で占められています。
■もくじ
ベンチャー企業の大多数がぶつかるのが、10億円の壁
「組織戦」がほとんどできていない
優れているがために優れていない人の苦しみがわからない
最大のネックは経営者の心
“大先生”が社長をしている会社
システマチックに組織を動かす
創業者として会社をつくっていくことは、ものすごくクリエイティブ
組織づくりのための原則