見出し画像

MBAのためのケース分析やってみた

『MBAのためのケース分析』小樽商科大学ビジネススクール(三訂版)のケース問題を以下想定のもと検討してみました。
※あくまで個人的な勉強用としてなので、内容は正しくない箇所もあります

【設定】

  • メガネメーカであるJINSの主担当として今後の成長戦略の検討を行う

  • デザイン思考を用いて検討を行う

  • データがないため、今回は事前調査の課題仮説設定までを範囲とする

1. 進め方

成長戦略の検討に向け、①現状抱える課題の仮説、②解決策の検討、③取組方針の策定、を行います。

図1:進め方と本書の取り扱い範囲

2. 現状分析

現状分析では、外部および内部環境分析を通じてJINSの現状を把握します。

図2.1:分析に使用するツール

2-1. PEST分析

  • 経済観点
    日本国内では長期的な実質賃金の下落に加え、コロナやロシア・ウクライナ情勢により消費行動が低迷しています。

  • 社会観点
    日本総人口は減少していくが、高齢化や近視者の低年齢化、またスマホやPCの長時間利用による目の疲れなどにより、メガネ装着人口は増加していくことが予想されます。

  • テクノロジー観点
    デジタル技術の進展に伴いそれらを活用することで新たな打ち手を講じることができるようになってきています。
    ※なお、メガネ業界においては規制や制度など政治的な要素はないため割愛しています

図2.1.1:PEST分析

2-2. 5フォース

  • 新規参入の脅威:大
    メガネ業界はフレーム、レンズ製造はOEMが可能、もしくは自社製造する場合も技術的なハードルは高くないため参入障壁は低く、参入が容易と考えられます。

  • 代替品の脅威:低
    今のところほぼないと考えられます。代替品の一つであるレーシック手術は2008年を機に減少傾向であり、且つ施術者数も少ない。一方、技術の発展によりレーシックのデメリットが解消されるとメガネ市場への影響は大きくなる可能性があります。なおコンタクトレンズはJINSは取り扱いがあるためメガネの代替品ではあるが、ここでは対象から除いています。

  • 買い手の交渉力:強
    消費者にとってメガネの購入先を変更する際のスイッチングコストは極めて低い。また店舗に加えECで購入出来るため地理的制約もなくなってきています。そのため競合への乗り換えが容易なことから買い手である消費者の交渉力は強いと考えられます。

  • 売り手の交渉力
    メガネの材料生産は技術的なハードルは低く、サプライヤーが限定されない。また低価格でありながら売上業界2位のJINSは販売ボリュームも大きいことから売り手である材料メーカーの交渉力は弱いと考えられます。

  • 業界内の競争環境
    取り扱い商品種類、価格帯、サービスの同質化が進んでおり、業界内競争は激化してます。その中、各社メガネの利用シーンごとに機能性メガネを開発し差別化を図る動きが見られます。

2-3. 3C(市場・競合・自社)分析

  • 市場の動向
    メガネ市場は2013年以降およそ4,000億円前後で横ばいが続いています(2013年はJINSが戦略策定した前回タイミング)。(図2.3.1)

図2.3.1:https://tyn-imarket.com/pdf/2022/12/20/140120221220580859

また、中長期的に国内人口は減るものの高齢化を背景にメガネ市場は横ばいが続くことが予想されます。

【メガネ市場】
メガネ市場 = (①日本の人口)×(②メガネ装着率)×(③所有本数/人)×(④買い替え頻度/本)×(⑤メガネ単価/本)

①日本人口
日本の総人口は減少しているものの、平均寿命が延伸し、また第2次ベビーブーム世代が高齢化してきています。

②メガネ装着率
メガネ装着率は年齢が上がるにつれて高まります(図2.3.2)。第2次ベビーブーム世代(49~54歳)の高齢化はメガネ装着者数の増加につながります。加えてスマホ利用を背景とし近視者が低年齢化してきています(図2.3.3)。

③所有本数/人
年齢が上がるに伴い、目の悩みが複雑化しシーンに応じたメガネを所有するため所有本数が増える傾向にあります(図2.3.4および図2.3.5)。

④買い替え頻度/本
情報がないため基本的には2-3年で一定と仮定します

⑤メガネ単価/本
年齢が上がるにつれて購入するメガネ単価も高くなります(図2.3.6)。理由は年齢が上がるにつれて所得が増えることに加え、老眼レンズや遠近レンズなど求められる機能が高くなるためと考えられます。

図2.3.2:https://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2017/171012/


図2.3.3: https://koushikai.org/%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E8%BF%91%E8%A6%96


図2.3.4:https://tyn-imarket.com/pdf/2022/12/20/140120221220580859


図2.3.5:https://www.dims.ne.jp/timelyresearch/2006/060411/index.html


図2.3.6:https://www.glafas.com/news/topics/100908megane_price.html
  • 競合との比較

商品の同質化が進み、機能的価値(価格・機能・性能)での差別化は難しい状況となっていると考えられます(図2.3.7)。

各社のwebサイトを参考に作成
  • 自社の現状

JINSはメガネを利用する顧客で且つ低~中価格帯(5,000~30,000円)を好む顧客を全方位的にカバーしています。また価格帯ごとに異なるポジショニングを取ったり、メガネの利用シーン別(読書向け、スポーツ向け等)にセグメントを細分化したりと、顧客の細かな要望に応えようとしています。

【(参考)価格帯別のポジショニング】

  • ~8,000円
    ファッション性に富んだメガネを気軽に購入できる

  • 8,000~12,000円
    トレンド性のあるデザインなどバリエーションを強化し、多くの選択肢から楽しく買い物をしてもらう

  • 12,000円~
    付加価値を追求した選択を望む顧客向け

上記方針に則り、下記マーケティングミックスを実施しています。

  • Price
    5,500円~19,800円低~中価格帯を中心に展開(5,500、5,900、8,800、9,900、13,200、13,900、19,800円)

  • Product
    デザインのバリエーションが多く、またファッション性に富んでいる。機能観点に限らず、メガネを使うシーン別に新商品を開発している。代替品であるコンタクトの取り扱い(JINS 1Day)を開始。

  • Place
    リアル店舗の国内店舗数を拡大に動いており、特にロードサイドへの出店に注力している。また、国内に留まらず海外への店舗展開も進めている。
    オンラインチャネルの整備(ECサイトの展開+アプリ開発)を進めている。

  • Promotion
    不明のため割愛

3. 現状整理に向けた追加調査

3-1. webによる定量調査

現状の課題を明らかにするために追加で以下の観点でweb調査を実施します。

  1. 顧客の現状を把握する
    ・JINSの認知度(純粋想起・助成想起)
    ・JINSでの購入経験有無
    ・ロイヤルティ度合い(前回・今回・次回の購入先)
     ※今回購入および次回購入意向がJINSの場合ロイヤルユーザとする

  2. 認知~推奨プロセスの問題箇所を把握する
    ・認知率に問題はないか
    ・純粋想起に問題はないか
    ・アクセス性に問題はないか(出店エリア・店舗数、オンライン認知度)

  3. 競合との差異を明らかにする
    ・機能・性能・価格で競合より劣っている・優っている点はどこか

3-2. インタビューによる定性調査

新たなアイデアを得るためにロイヤルユーザや競合からの乗り換えユーザ、またスポーツ選手やファッションモデル(エクストリームユーザ)を対象にメガネ体験に関するインタビューを行います。

例)以下インタビューの想定

  • 対象者
    名前:大原 歩実(仮名)
    年齢:35歳
    性別:女性
    職業:大手日系メーカー 営業
    家族構成:夫と2人家族
    興味・関心:美容、ヨガ、エクササイズ、自己啓発
    年収:900万円
    補足:JINSのことは認知している。メガネを購入する際は、家の近くのメガネ屋を探し、JINSもしくはzoffがあれば近い方に行く。ない場合は職場近くでJINSもしくはzoffを探す。それでもない場合は、家の近くのメガネ屋を複数回って価格とデザインで選ぶ。
    メガネを買い替えるタイミングは合わなくなったと感じた時

  • メガネでの体験に関するペイン(ストレス・悩み)
    メガネをかけると目が小さくなるためかけたくない(化粧映えしない)。服のファッションとメガネが合わない。メガネが壊れたため保証期間6か月以内だったため交換に行くと保証書がないとだめだと断られた。家に帰って探すも保証書は見つからなかった。

  • JINSでの体験に関するゲイン(うれしい・感動・楽しい)
    接客がとても丁寧だった。目の悩み、メガネをかけているときの困りごとなどを相談すると悩みに共感したうえで解決策などを提示してくれた。

  • カスタマージャーニーマップ
    対象者のジョブとともに、カスタマージャーニーマップ(図3.2.1)を作成し顧客の行動と感情の動きを調査する。

図3.2.1:イメージ

4. 今後の動き(想定)

  1. 現状把握のためのweb調査およびインタビューにより顧客理解およびペイン・ゲインを洗い出します。

  2. 顧客の成し遂げたいジョブごとにペルソナおよびカスタマージャーニーマップ、バリュープロポジションを作成していきます。

  3. ジョブごとにペインが解決された(もしくはゲインが促進された)カスタマージャーニーマップ(体験のTo-Be像)およびストーリーボードを作成します。

  4. フォーカスグループインタビューやコンセプトテストを行い、解決案に対する市場の反応を伺います

  5. 消費者からの賛同が得られた解決案を評価、優先順位付けを行い、計画設計を行います。

いいなと思ったら応援しよう!