世界知図6: ウィリアム・ゴールディング『蝿の王』 ~電話対応の苦手を克服する方法
人生を消費しよう。こんにちは。もんです。
最近は、ウィリアム・ゴールディングの『蝿の王』を読みました。
電話対応のお話の前に、まずは『蝿の王』の話をさせてください。
『蝿の王』のあらすじ
子供たちを乗せた飛行機が不時着したのは、なんと無人島。子供たちは、大人のいない無人島で気ままに生活を営んでいきます。しかし、子供たちはいつしか
狼煙を重視するラルフのグループと、
狩りを満喫するジャックのグループ
とで分裂してしまいます。
さて、このジャックのグループですが、子供ながらなかなかにエグいことをします。
豚を殺すことに快感を覚えたり、化け物と間違えて仲間だった子供を殺したり、ラルフ派の子供を殺したり、襲ったり。
なぜそんなことができるのか?
いくら無人島に取り残されるという極限状態にあるとはいえ、人間はこうも残虐になれるものなのでしょうか?良心の呵責などは感じなかったのでしょうか?
しかし、ジャックたちは、これらの蛮行に対し罪悪感などを覚えているようには見えません。
では、ジャックたちの蛮行を可能にしたものは何か?それは、
「化粧」
にあると思います。
ジャックと化粧
ブラウザバックはちょっと待ってください!この「化粧」が電話対応のためにも大切なんです!
話します!話しますから、まずはジャックと化粧の話をさせてください!
———
以下の引用は、物語冒頭の部分、まだジャックとラルフが別れていない状況で起きたことです。
子豚が一匹、蔓草の幕に囚われ、恐怖のあまり狂乱して、弾力のあるその幕を突く破ろうと突進をくりかえしているのだった。(中略)ジャックがまた派手な身振りでナイフを抜いた。ジャックは片腕を宙にあげた。そこで休止があった。子豚は悲鳴を上げながら蔓草の幕をぐいぐい動かす。ジャックの骨ばった腕の先で刃がひらめき続ける。その休止の間に、少年たちはナイフを振り下ろすことがどれほど極悪なことかを悟る暇があった。そのうち子豚は蔓草から身をもぎ離し、下生えのなかに駆けこんだ。
(W・ゴールディング 2017, p.50 太字引用者)
この頃のラルフは、まだ顔に化粧をしていません。化粧をしていない段階では、ジャックにはまだ「生き物を殺すこと」へのピュアな罪悪感が感じられます。
しかし、
顔に土の塗料を塗りたくったジャックが、まず山頂に辿り着き、槍を高く掲げて、昂った声であいさつをラルフに送ってきた。/「見ろよ!豚を殺したぞ!——そっと近づいて——包囲して——」
(W・ゴールディング 2017, p.116 太字引用者)
顔に化粧を施したジャックは、とうとう豚を殺すことに成功します。
さて、この化粧ですが、ジャックが顔に土を塗る場面で、以下のような描写があります。
ジャックは水の入った(引用者注:椰子の)殻を両手で持ち、ひざまずいた。そこに映ったのは自分ではなく、怖しい見知らぬ人間だった。(中略)ジャックの筋ばった体が仮面を差し上げた。それがみんなの目を惹き、みんなをぞっとさせた。ジャックは踊り出した。笑い声はどうぶつのうなりになった。飛び跳ねながら、ビルに近づいた。仮面はそれ自身で存在するものとなった。ジャックはその後ろに隠れることで、羞恥心と自意識から解放された。
(W・ゴールディング 2017, p.107 太字引用者)
ここからわかるように、ゴールディングは、ラルフのやった「化粧」を、「仮面」という言葉で表しています。
仮面をすると、ジャックは「羞恥心と自意識から解放され」、どうぶつのような残虐性を垣間見せるようになります。まるで、
人が変わったかのように。
あーーーーーー、なるほど?
仮面をつけると、まるで別人のように変身できるのか。
仮面と人格
この「仮面」という言葉ですが、ラテン語ではペルソナというそうです。ペルソナ。そう、心理学では「外向きの人格」を意味するあのペルソナです。です。
昔の演劇では、役ごとに「仮面」が決まっていたそうです。役者は決まった仮面を装着し、役を演じる。演じているうちに、登場人物の人格が役者に憑依する......
そう考えると、仮面には「装着している本人の自意識を薄くし、仮面に宿っている人格を表出させる」という効果があるような気がします。
ようやく、電話の話ができます。
仮面と電話
私たちも、電話をするときに仮面をつけましょう。
以上
......あーごめんなさい。
「仮面なんて準備できるか!」そういう声が聞こえます。もう少し真面目に話します。
おそらく、実際の仮面である必要はない、のではないかと思います。
要は電話の対応を、別人格の自分に頼めばいいのですから。「いつものこの私」ではない人が電話を対応すれば良いのです。
別人格を演じるために、わざわざ仮面を準備するのはなんですから、例えば、「声音」を変えてみるのはどうでしょう?
・声色を変える
・喋り方をわざとらしくする
これらの技は、「本来の自分」とは離れた、「別人格の自分」を演出する方法だと捉えることができます。
古くからの知恵
でも、これ。どこでも目にしたことがある光景ではありませんか?
・家の電話で対応する両親
・喋り方がわざとらしい店員さん
なんで電話の時だけそんな声になるんだろ......って、誰しも一度は思ったことがあるはずです。
今となっては、彼ら彼女らは、こうした対応をすることで、「仮面」を装着していたと捉えることができるのです。
皆さんも、声を変えたり、喋り方を変えることで、「別人格」を演じ、電話対応への苦手意識を減らしていきましょう。
ほんとに以上
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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