【仕事・アジャイル】きこりのジレンマ
先日のアジャイルイベントで知った言葉です。
目先の仕事に忙殺される
「きこりのジレンマ」という言葉というか、表現の仕方は正直はじめて知りました。(過去聞いたことがあって忘れているだけかもしれませんが)
きこりが刃がこぼれた斧で非効率に木を切ってるのを、通りがかりの旅人に「刃を研いだ方がもっと切れるよ」とアドバイスしても木を切るのに忙しいと言われてしまう、というエピソードからそう呼ばれるようです。
これ、まだ非効率だけならマシな方で、手入れせずに木を切り続けたら斧そのものが折れてしまって木が切れないとか、斧の柄が折れてそれが自分や周りの誰かに当たって事故になったら、木を切ることすらできなくなりますよね…
改善(カイゼン)の目的はコストや生産性だけではなく、安全性もありますし。
なぜ改善されないのか?
木こりの言い分も分からなくもないです。改善のために手を止めればその間は木を切れないので何も生み出してないことになります。
生産性を単純に表現すると、
成果 ÷ 投入資源 = 生産性
になるわけです。木こりの場合、成果は木を切り倒した数、投入資源は木を倒すまでの時間、という感じでしょうか。
刃のこぼれた斧だと木を切り倒すまでの時間がかかってしまうので、投入資源の分母が大きくなるので、結果的に生産性が落ちているということになります。
例えば、1本の木を切り倒すのに刃のこぼれた斧で10分かかるなら、
1本 ÷ 10分 = 0.1 の生産性
刃を研いで5分で木を倒せるようになったら
1本 ÷ 5分 = 0.2 の生産性
となり、生産性が倍になります。
ただ、刃を研ぐ時間が1時間(60分)かかったとすると、もし刃を研がなければ得られた60分で6本は木を倒せたことになります。
最初の1時間で刃を研いでる方は0本、研いでない方は6本と成果の差はあります。
しかし、ここからさらに時間を進めていけば、いずれ刃を研いでいる方が追い抜くことは想像できますし、その後も離されていくことも明確です。
ただ、生産性だけ見ていると何故改善しないの?と思いますが、なんとなく人間の心理的に、改善のために刃を研いでいて成果がまだ出てない段階をサボってると思われるのが嫌で、なかなか改善されません。
生産性が悪くてもなんとなく動いている方が、自分に言い訳できちゃいますし。
さらにここに納期の制約が入るとちょっと変わってきます。もし、80分後までに木を8本用意せよ(そうでなければ契約解除)と言われると60分の刃を研ぐという時間は取れません。
ただし、もし80分を100分に交渉可能なら研ぐという改善をし、その後のオーダーに備えるというケースもありえます。この辺ができるかどうかはマネジャーの交渉テクニックですかね。
いずれにせよ、置かれている様々な条件や制約でどのタイミングで改善をするかという判断が必要にはなります。この辺のタイミングを取るところが難しいところですよね。
改善を習慣化する
改善するタイミングを見計らうのは難しいです。これまでも匠的な直感でやっている人もいるでしょうし、成り行きでやっている人もいるでしょう。最近だとデータ活用もあるでしょうから、可視化したデータやAIで人手に依らない改善もあるでしょう。
とはいえ、どのような手段やタイミングであろうと、改善をするという意識と行動は「習慣化」されてなければアクションされてきませんし、そのアクション結果を取らえる機会もありません。
そこでやはり取り入れたいのはアジャイルですよね。
スクラムな動き方を取り入れることで、定期的なふりかえりの機会を作り出し改善アクションを決め、次のスプリントに組み込んでいく。
自分の生産性を把握し(タスクとその生産性を可視化する)、木こりに斧の刃をチェックする機会をきっちり決め、改善をする(刃を研ぐ)必要があるなら実施してまた成果を確認する…というサイクルを持つことで常に良くなっていけるのです。
改善がうまくいけば少し余裕も出てくるでしょう。そうなるとまた眼の向けられる先が変わってきます。生産性が上がったので収入が上がればもっと良い斧を買ったり、チェーンソーが買えるかもしれません。人が雇えるかもしれません。
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