【マネジメント・アジャイル】内発的動機付けとアジャイル
モチベーションに繋がる3つの基本欲求をご存じでしょうか?
自律性・有能感・関係性
詳しい内容は他の記事を参照として…
動機付け(モチベーション)には外発的動機付けと、内発的動機付けがあります。
これまで企業で働く人のモチベーションとしては昇級や昇格、賞罰などの要素が強く、これが外発的動機付けです。特に短期的に成果を出すには外発的動機付けが有効とされています。
しかし最近は内発的動機付けが注目されています。個人の内面にあるものを満足させるものであり、特に最近の若手の世代は昇級や給与という面よりも、自分の興味、自分と社会との関わり、働くことへの意味づけといった、「自分主体」のところにモチベーションを持つ人が増えています。
この内発的動機付けに関する理論の一つが「自己決定理論」であり、かつその自己決定理論を支える基本欲求が「自律性」「有能感」「関係性」です。
自律性とは、自分の行動を自分で決めたいという欲求
有能感とは、自分の能力を発揮したいという欲求
関係性とは、周囲と良好な関係を持ちたいという欲求
になります。
アジャイルとの関係
自律性について
たびたび出す市谷さんの本にもありますが、組織はアジャイルによって自己組織化されていくことで、変化に富む時代へ適応していくことが示されています。
個人にしろ、組織にしろ(市谷さんの本では、組織を一人の人間と見立てる)、機動的に価値を生み出していくには、上意下達の与えられたもので動くのでは無く、自分たちが何物で、どうなりたいか?どこからどこに向かいたいか?ということを言語化し、組織であればそれを共通のものとして腹落ちして、自律的に動いていく必要があります。
有能感について
あまりアジャイルと関係ないかなと思ったのですが、自律性とも絡んでいると感じています。
アジャイルの中の手法として「スクラム」がありますが、タスクをバックログというかたちで「可視化」し優先度付けをして、タイムボックスという決められた期間とそのイテレーション(スプリント)で成果をだせるよう、チームの対話によって決めていきます。
このとき、タスクをリーダー(プロダクトオーナー)が誰に振るという指示を出すのではなく、対話の中でチームのメンバーは自律的に自分でタスクを取っていくことが求められます。
自分でやる仕事を決めることは自律性の欲求ですし、これは自分ができる、自分ならチャレンジすればできるという判断の下、タスクを取っていくので、有能感にも関係してくると思います。
そして、スプリントの中で成果を出すこと、スモールサクセスすることにより、さらにその有能感を高められるのではないかと思います。
関係性について
関係性についてはいわずもがな、という感じです。
アジャイルでは関係性は非常に重要な要素です。
アジャイルソフトウェア開発宣言でも、関係性に関わるキーワードはでています。
チームの中で対話を元にして、目指す姿を作り、いつまでにどういう成果を出すか、スプリントの中で何をどこまでやるか、どのタスクを誰がやるか…様々なところでコミュニケーションが必要で、このコミュニケーションこそ関係性になります。
そしてソフトウェア開発のアジャイルにしても、組織のアジャイルにしても、ステークホルダー(利害関係者)との対話、そして関係性も重要です。本質的な価値を出す事と持っているリソースとの折り合いを付けていくには、関係性が断裂していては交渉もできず、本来お客様に届けるべき価値が、届かなくなってしまいます。
また、アジャイルについては、ソフトウェア界隈では多く取り入れられていますが、組織マネジメントの観点ではまだまだ日本では普及していません。
この普及に欠かせないのが、コミュニティの力です。
社内でアジャイルのコミュニティを持つ会社もありますし、市谷さんのように会社を越えて日本全体にアジャイルを普及させるためのコミュニティを立ちあげていたりします。
このコミュニティという場や関係についても、同じ課題感を持つ人、共感出来る人、価値観が近い人と繋がりたい、その繋がりから会社や社会を良くしたい、という内発的動機付けの関係性の欲求であると捉えることができると思います。
アジャイルで内発的動機付けを仕掛けられる
これまで書いてきたように、私の解釈ではありますが、既にアジャイルが持つ価値観やマインドセット、プラクティスには内発的動機付けを基盤とした仕掛けがなされているのだという気づきがありました。
モチベーションについては、外発的動機付けと内発的動機付けそれぞれの持つメリット・デメリットを理解し、組織や個人の状況に応じて使い分けていく必要はありますが、もし内発的動機付けを仕掛けていきたいときに、まだアジャイルを導入していないのであれば、試しにでもアジャイルをやってみてはどうでしょうか?
アジャイルを取り入れたからといって、すぐに大きな変化がなかなかでないですが、モヤモヤ課題感がある中を自分自身もチームでも見えるように可視化し、短いサイクルの中でのスモールサクセスと、ふりかえりにより「速く安く失敗すること」で得られたことから学習し、常に自分たちが何者であり、どこに向かうのかを意識して、ときにはむきなおる…
このようにして、少しずつ良くなってくることを実感することで、合わせて内発的動機付けも促進されるのではないでしょうか。
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