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【コーチング・アジャイル】本来の役割や仕事をオープンにする

リーダーは「なんでも屋」ではない。

間に落ちている仕事を拾ってくれない…

コーチングを行っている新規系のプロジェクトのリーダーさん(仮にAさん)がずっと悩んでいることとして、プロジェクトのメンバーに役割を与えてはいるのですが、誰がとるべきか迷うような、いわゆる「間に落ちている」仕事や課題をメンバーが自主的に取りに行かないという問題がありました。

新規系のプロジェクトで人数も多くは無く、やることがたくさんあるため、Aさんはメンバーに自主的に落ちている仕事を拾って対応して欲しいという思いがあるのですが、なかなか実践されません。

結局、Aさん自身で落ちている仕事を拾って対応します。
そのとき、自分でやったことを他のメンバーに対して、こうやって間に落ちた
仕事もみんなで拾っていくものだとPRして、メンバーのマインドを変えようと努力されていたそうです。

それでもなかなか改善されず、Aさんはなんでも屋状態。
もちろんリーダーは落ちている仕事を拾ってなんでも屋にならないといけない場合もありますが、困ったことに先の戦略やロードマップを描くという、リーダーがやるべき重要な仕事ができない状態になっていました。

本来の役割と今やるべきことを話しているか?

一通り状況をAさんから伺ったので、私はこのように問いました。

「メンバーには、Aさんの本来の役割や、やるべき重要な仕事について話をしていますか?」

Aさんはこの問いかけを聞いて、ああ…という表情をしました。
確かにAさんが現在、本来やらなければならない重要な仕事があることをメンバーには伝えてないというのに気がつきました。

プロジェクト自体は佳境であり、目の前の課題に対応していかなければいけない状況ではあるそうですが、そればかりやっていては未来に仕込みができません。
目の前の仕事、未来の仕事、両方の重要な仕事があることを明示的にメンバーには示していないということがわかりました。

将来の戦略やロードマップについては、たまに話題には出るそうですが、それを決めていくことが重要なことであると認識しているメンバーは、少数のようでした。

どうしてもリーダーやマネジャーは、引き連れるメンバーがいるとメンバーのサポートをしなければなりません。そして日々目の前で起きる問題への対処で精一杯になってしまいます。リーダーやマネジャーは仕事のことでも、自分自身のことでもなかなか未来を落ち着いて考えることが難しい生き物なのです。

今回のコーチングのセッションでAさんは、目先だけではなく、定期的に短期目線、中長期目線を分けてメンバーに伝えていこうというアクションを決めました。

組織アジャイルの「見える化」「重ね合わせ」が効くかも

Aさんのコーチングを終えて改めて思ったことは、やはりチームで仕事をするならチーム全員の仕事を可視化して、オープンにしていくのが大事だなと感じました。

見えるようになっていれば、今回のAさんが持っている中長期目線の仕事もメンバーも目にすることになりますし、デイリースクラムやスプリントプランニングでも話題に挙げることはできそうです。

誰がどの役割で、どんな仕事をするか、を決めておくのは効率的ですし、それを命じられた本人は仕事がしやすいでしょう。しかしまさに今回のような、間に落ちた仕事は取りに行かなかったり、誰かが取ってくれるだろうという考えになりがちです。

まさに野球のショートとサードの間のボールを誰がキャッチするか、ですね。
監督が命令してもいいのですが、そこは二人で目配せして取るようにするのが自律的で機動的なチームになるのです。

そしてアジャイルのプラクティスで大事なのは対話です。
メンバー同士が対話して自律的に仕事を取りに行くような状況と機会を、日々の活動の中で意図的に組み込んでいくことによって、今回のような問題も解消されるかもしれません。

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