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空きコマと銭湯_2022.04.21
9:00に大学の研究室に着いた。
本格的にゼミが始まっているわけではないので、部屋にはまだ誰もいない。
コンビニで常温の水とサラダチキンを買ったのでそれを食べる。明日から水筒を持ってくると誓って1ヶ月が経った。
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今日は10:00から12:00までゼミのZoom mtgがある。
毎回、メンバーそれぞれが1週間の成果発表を行う。しかし、すでに当日の朝だというのに今回の発表分のスライドがまだ出来上がっていない。それを1人で黙々と誰もいない研究室で仕上げる。環境としては正直綺麗とは言えない部屋だが、代々この研究室を使ってきた先輩方が創り出した時間と記憶が、部屋中の傷・汚れとなって潜んでいるような気がする。僕と同じように当日の朝に研究室に来て、慌ててスライドを作ってた先輩もいるんだろうな。
そんなこと言ってないで、早くパワポを開きなさい。
ゼミの時間が来た。僕は必ずゼミの発表は一番最初に行うと決めている。『じゃあ誰から発表しようか』と教授が毎回言うたびに、メンバー同士で無音の察し合いがzoom上で繰り広げられる。僕はその時間が大変苦手なので、一瞬でミュートを解除して『僕がやります!』と申し出る。平然とした口調で告げているが、本当は心の中で叫んでいる。最初に発表して一刻でも早く緊張から解放されたいからでもある。
無事mtgが終わった。毎回覚悟して挑むが、蓋を開けてみると思ってたよりも指摘されず『心配して損したなあ』という謎の感情が生まれる。
さて、時間が余った。時刻は12:00。今日は18:00から研究室のmtgがもう1つあるが、かなり時間が空いてしまった。やらなきゃいけないことは山ほどあるはずなのに、気づいたときにはスマホを取り出して大学内にあるシェアサイクルの自転車を一台予約した。
決めた。銭湯に行こう。今日はサウナに入ろう。
正直、疲れが溜まっていた。最近は朝から研究室に行って勉強して、夕方からアルバイト、家に帰ったらマイクに向かって1時間話し続ける。そんな生活が疲れたし、同じ生活の繰り返しで日常が"ルーティーンワーク"になりつつあったので、”起爆剤”としてサウナを導入してみた。
昼間に行くサウナには何とも言えない背徳感があった。
世の中が前へ進もうとしてる中、円安がどんどん加速する中、自分だけゆっくりとお風呂に浸かり、サウナに入り、青空の下で外気浴を楽しむ。悪いことはしてないはずなのに、自分が万引きしたかのような謎の罪悪感があった。でも気分は最高に良かった。
露天風呂の空間は実に特殊である。のぼせて顔を赤らめたおじ様が、ベンチでぶつぶつ独り言を喋っている。他にも、持ち込んだ新聞紙を濡らさないように気をつけながら寝湯を楽しんでいる人、わざわざ日向の方までベンチを動かして日光浴を始める人もいた。
露天風呂のテレビは全く機能していない。電源はついているものの、太陽の光が眩しすぎて、液晶に映し出されたものは全て黒色にしか見えない。ただただ「ヒルナンデス」のファッションバトルの実況だけが空間に響き渡る。
僕はサウナは2クールが好きだ。なんなら1クールだけでも十分である。3クール以上に増やしてしまうと「湯あたり」のような状態になる。今日は調子が良かったのでサウナ→水風呂→外気浴を2クール楽しんだ。何事も無理しないことが大切である。
脱衣所に戻った頃には先ほどの罪悪感はすっかりなくなっていた。その穴を埋めるかのようにフルーツ牛乳をたらふく胃袋に流し込んだ。無くしただけだと損した気分になる。
こんな素晴らしい体験を450円で買えるのか。日本は本当に恐ろしい国である。それが良いのか悪いのかは別の話で。
さて、そろそろ研究室に戻ろう。
大学の広い農場が夕日に照らされている。
普段は牛がたくさんいる場所だけど、今日はもう帰ってしまったみたい。
湯上がりに心地良い春の風の中を、僕の自転車は前へ進む。進む。
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