塗色・規程調査Part1の速報(1)
読者の皆さん、こんにちは。
かげまるです。
先日から、今まで長らく保留としていた「1909年~1959年5月」分の塗色・標記規程(常備駅指定の注意も含む)の調査を始めました。
解説についてはじっくりと時間をかけて書きたいと考えているので、気長にお待ちいただきたいです。しかし、解説公開まで情報を抱え続けるのも、界隈にとってあまり利益がないように思いましたので、箇条書き程度で得られた情報を公開していきたいと思います。
M42年8月 達692号~達694号
692:「機関車ノ形式番號及所属徽章ノ標記方式」が制定される
機関車番号板の取り付け位置や寸法・形状、所属徽章の取り付け位置などが規定されている
693:形式称号の改定についての通知。改定詳細は別冊とのこと
形式を4桁の数字で表す様式はこれにより確立したと思われる。
694:蒸気機関車に対する標記方式を定められている
番号板の標記や番号板が用意できていない場合の暫定標記は共に黄色だったとのこと。10月1日より、新体制に移行していたようだ。
M43年9月 達第834号
「車輛塗色及標記方式」が制定される
公報上の表記は「改定ス」であるが、これ以前の公報目録には制定された痕跡が見られないこと、
「日本国有鉄道百年史」https://dl.ndl.go.jp/pid/12061324/1/178や
「鉄道技術発達史」https://dl.ndl.go.jp/pid/2423739/1/708に
「諸達が続いて出され」の記述が見られることから、「制定」の誤りであると考えられる。
規程本文は別冊とのこと。公報のマイクロフィルムには収録されておらず、物自体が古いものであるので、原資料は既に喪失している可能性が高い。
(国会図書館に残っている実務者向け資料から、復原することになると思われる)
※12月末に注意事項が出ており、客車の旅客に対する横書きの標記は右から左に向けて、鉄道従業員に対しての標記は左から右に書くこと…の指示が出ているのが興味深い。
M43年11月 達第964号、第965号
964:「客車ノ名称番号及型式称号」が改訂される
鉄道院基本形以前の客車の形式称号が改訂される。改定詳細は別冊とのこと。(改定内容は客車略図に収められているもので確認できる)
965:被買収客車の標記方式を12月31日までに、鉄道院基本形と同様の様式に改めるように指示している。新標記以降までの2か月間の間は、旧標記の横に新標記を併記し、移行後に旧標記を車体色で塗り潰す処置を行っていたとのことである。
明治44年7月 達第583号
「車輛塗色及標記方式」改正
車体外部色に用いるペイントの調合方法が変更されたようだ。ただし、調合詳細は別冊に書かれているため、内容不明である。
M44年7月 達第540号、第541号
540:「貨車番号」が改訂される
被買収貨車の形式称号が改訂される。改定詳細は別冊とのこと。(改定内容は貨車略図に収められているもので確認できる)
541:540に基づき、8月31日までに車輛塗色及標記方式の方式に標記を改めるように指示している。新標記以降までの移行処置は客車と完全に同じ。
※8月12日 訂正:「改定詳細は現存せず、貨車略図のものと同一ではない」とのご指摘をいただきました。形式の改定は大正3年の形式図が発行された際に完成したとのことです。
M44年10月 注意事項
私有タンク車の形式標記、所有者名標記、徽章標示位置の補足
私有車運車の会社名標記、徽章標示位置の補足
M44年10月 達第842号
「車輛塗色及標記方式」改正
土運車・底開石炭車(九州向けの石炭車)の標記方、「ア」「建」の標記字体などを追加修正。
M44年12月 達第973号
「車輛塗色及標記方式」改正
基本軸使用のアクセルボックスの前にある小蓋に、7噸軸は「七」の字を、10噸軸は「十」の字を赤字で描くこと…の指示を追加(客貨車共通)
※M45年1月注意事項にて、東鉄所属の日本鉄道引継ぎ車で特殊な車軸を有する客貨車(別図は公報未収録)で、7噸軸に相当するもの(甲図)は「アクセルボックスカバーに赤線を描く、もしくはボックス面上に1インチ幅の赤線を描く」、ダブルユ―カードをソールバーの外側に取りつけている車両(乙図)のものは「ボックス面上に1インチ幅の赤線を抹消する」、「スプリングシューが赤色に塗装されているものは黒に塗り替えること」の補足指示が出されている。
まだまだつづく…
2024年8月11日 第1版公開
2024年8月12日 追記
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