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今だからこそ見えてきた社会問題

新しい職場に変わって10日が過ぎた。仕事は『生活困窮者自立支援事業』における相談支援員職である。具体的には、仕事や生活全般でさまざまさ問題や悩みを抱えた人々対する相談・助言を行うもの。職場は役所に常駐する形なのだが、前職の就労支援とはまったく違うという印象である。ひとつはその目的。就労支援では文字通り目的が就労であるので応募の準備から応募・面接・採用という流れである。その他さまざまあるが、だいたいそのようなプロセスをたどる。しかし、生活支援では、相談の内容がさまざまであるため、その問題の解決の目的もさまざまな点が大きく違うところ。

最も多い問い合わせや相談が生活資金に関するもの。特に、今般の新型コロナウイルスの影響による休業や失業に伴う減収によって、生活が成り立たなくなったという相談が相次いでいる。大きく分けて「給付」と「貸付」とに分かれると思うのだが、給付でいえば「住居確保給付金」でその窓口は役所である。その相談から申請手続きを役所で行う。一方の貸付はいくつかあるが、一応聞いている限りでは相談・手続きの窓口が社会福祉協議会であるという。もちろん、役所ではお金を貸せるところではないことは容易に想像できるが、本当にすべての人がそのようなことを調べ上げてくるかと言えば疑問でもある。

特に最近では、テレビなどで給付や貸付に関してさまざまな人たちが持論を述べている。それを見聞きした人たちが大挙して役所にやってくる。問い合わせの電話もひっきりなしである。時には、「テレビかなんか知らないがいい加減なことを言わないでほしい」と思うこともある。「何十万円」が独り歩きしていることも多々ある。

僕がこの約10日の間で仕事をしてきて痛感しているのは、今現実に明日明後日の生活に困っている人たちが数多くいるということ。本当にお金に困っている人が本当に多い。家賃が払えなくなったとか、会社から解雇されたとかお金にまつわる悩みの相談が本当に多い。そういった中で、「貸付の場合は社協へ」というのがなんかたらいまわしをしているようで本当に心苦しい。確かに役所の機能があるのはわかるが、なぜ窓口が社協だけなのかと思う。今のような社会情勢で窓口が一か所のみなんてパンクするのも目に見えている。僕はこのような状況においては、「貸付」なんだからその手続きを民間の金融機関でも行えるようにすればいいのではないかと思う。たとえそれが超法規的措置であったとしても、現時点での「非常事態宣言」下での対応が超法規的措置のようなものなんだから、そのような措置対応をこの非常事態で行えないと本当に大変なことになると思う。

現に、社協での手続きに1か月以上かかると言われている。住確についても審査等でそれくらいの期間を要すると聞いている。それではその間の生活保障はどうするのか。確かに、今の自分はまだまだ覚えることが多く、特に事務手続きにおける書類の取り扱いなど非常に複雑である。また、ひっきりなしにかかってくる問い合わせの電話対応や相談のための面談など、現場は多忙を極めている。そのような中で電話や面談の対応がどうしても事務的になってしまっている自分がいることに気づきつつある。これではだめだ。

前職での就労支援における面談では受容や共感に重きを置いてきた。いくらその相談の内容や目的が違うからといって、またいくらまだ仕事を覚えている最中だと言ってそれは言い訳にはならない。相談に来る人は僕が新人なのかどうかなんてわからないのだから。だからこそ、事務的作業を適切に素早く行うとともに、CLの状況や内面的世界を少しでもわかるようになることによって信頼関係を構築できるし、仕事もよりよいものになっていくと思う。

いずれにせよ、今のこの非常時において、僕らのこの仕事における社会的役割は大きなものである。このような社会的問題に対して、今の自分の立場としてできることはどのようなものかを考えていかなければならない。だからこそ、僕はこのような仕事を志したのだから。本来のやりたい仕事である就労支援とは少し違うけど、人生をキャリアという大きなくくりで見たとき、就労以前の生活維持のための支援は、就労も含めたキャリア形成の大きな下支えになるものでもある。多くの人が生活を安定させ、より自分らしい働き方を目指すことによって、それが社会に還元されるようになってほしい。そのためにも僕らの果たす役割は重く大きなものである。そのようなことを肝に銘じてこれからさらに仕事に取り組んでいきたい。とにもかくにも、一日でも早く仕事を覚えなければと思う。


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