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勝利を目指す、すべてのマネージャーが読むべき一冊

こんにちは、noteコーディネーターの玉岡です。
本日紹介する書籍はこちら!

あの常勝の名監督、工藤公康氏によるチームマネジメント解説書。
とはいえ、本書のタイトルを見ておや?と感じた方もまた多いのではないでしょうか。常に勝利を勝ち取ることができる組織を率いる監督=組織のトップを「中間管理職」と本書は定義しています。
その理由を紐解いていきましょう。
本書の章構成はこちら。


【目次】
序章 プロ野球の監督は「中間管理職」である
第1章 考える選手を育てる
第2章 常勝のためにやるべきこと
第3章 選手との目線をそろえる
第4章 コーチとの関係を築く


序章で工藤氏は、シーズン2位に甘んじた2016年の結果を通して、「監督」という地位を見つめなおします。その結果、自身を「中間管理職」と再認識するのです。
工藤氏が考える一軍監督とは、いわゆる組織のトップに立つものではなく、組織の中ほどにいて、垂直水平のマネジメントが求められるポジションこそ「監督」です。
それでは、各章について見ていきましょう。

第1章 考える選手を育てる

1章で工藤氏が重要視しているのは「思考」です。
「結果が出ていないときこそ、「思考」を尊重する」の項では、「向上心があるがゆえの凡打」という考え方を実例を通して取り上げます(実例はぜひ、本書で確認してみてください)。
ポイントは次のとおりです。

  • 選手の成長には「身体能力」より「思考」が大きく影響する

  • 全ての選手は最初から考える意欲を持っているが、時間とともに失う可能性がある

  • 思考し、向上心を持っていたが故のミスを指導者は認め、評価しなければならない

工藤氏は選手の思考力と向上心を尊重し、短期的な結果にとらわれず長期的な成長を重視するマネジメントスタイルを提唱しています。これは野球に限らず、すべてのチームマネジメントにも応用できる考え方です。

第2章 常勝のためにやるべきこと

第2章では、工藤氏が率いた常勝のチームが持つ多くの特性が語られます。
その中で特に印象的な内容が、「不安は「具体的な行動」で消す」で語られている「必要なコミュニケーションは「不安」から生まれる」でした。工藤氏は、「不安」を次のようにとらえます。

  1. 不安のポジティブな側面

    • 不安はチーム運営に必要不可欠なコミュニケーションを生む

  2. 不安から生まれるコミュニケーション

    • 「理想に対して欠けている要素」が不安の種となり、その不安を解消するために、コーチや他のスタッフとの相談が必要になる

  3. チーム全体への波及効果

    • 相談によって監督の「不安」がチーム全体の課題となり、チーム全体が機能し始める

  4. 「頼る」ことの重要性

    • 一人で不安と戦うのではなく、周りの力を借りる

    • 他者に頼ることで、逆境も楽しめるようになる

工藤氏は不安を単なるネガティブな感情ではなく、チームの成長と改善のきっかけとなる重要な要素として捉えています。「不安を抱えたら、周りにさらけ出すことが重要」と説きます。不安をオープンに共有し、具体的な行動につなげることで、個人の成長だけでなくチーム全体の強化にもつながる。これはまさに心理的安全性の促進そのものと言えるのではないでしょうか。

第3章 選手との目線をそろえる

第3章では、プレイヤーとマネージャー=選手と監督の関係性において、監督は選手と同じ目線に立つことが重要であると解説が続きます。
この中で印象的なチャプターが「選手にはいつも「同じトーン」で話す」。
マネージャーであれば、ハイパフォーマンスを為したプレイヤーには相応の声がけをしたい、そう思うのではないでしょうか。ところが、工藤氏は次のようなスタンスを取ります。

・選手に対して常に「同じトーン」で話すことを心がけ、選手のパフォーマンスの良し悪しに関わらず、感情の起伏を抑えて接する。

・特定の選手を過度に称賛することで、他の選手にモヤモヤした感情や不信感を生じさせないようにする。

・結果の良し悪しに関わらず、同じ言葉をかけ続ける。例えば、先発投手には常に「また明日からの1週間、大事にしろよ」と声をかける。

・この一貫したアプローチは、短期的には違和感を覚える選手もいるかもしれないが、長期的にはチーム全体のパフォーマンスと信頼関係の構築に寄与する。

工藤氏は「中間管理職」として、常に選手との公平な関係性を保ち、チーム全体のモチベーションとパフォーマンスを維持することを念頭に置きます。そのための具体的な技術が、「常に一定のトーンを貫く」なのです。

第4章 コーチとの関係を築く

最終章では、監督とコーチ=部長における「課長」との関係構築についてそのメソッドを解説します。組織におけるレポートラインの重要さ、垂直・水平の関係性の中で「課長」をどう活かすか。そのノウハウが詰め込まれています。

本書に書かれている内容は、まさに常勝の監督である工藤氏にしか記しえないエピソードばかりです。自分のチームのパフォーマンスを上げ、勝利を狙いたいすべてのマネージャにおすすめしたい一冊です。

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