Q&Aはセミナーの要。Q&Aを最大限に活用するカタチの変遷
こんにちは、ユーザベースの酒居です。
今回もぼくたちがやってるセミナーでの試行錯誤についてお話ししたいなと思います。
ぼくたちは現在毎週1,2回のペースで、数十人から二百人規模のセミナーまでいろいろなコンテンツでセミナーを企画・開催しています。そして、セミナーの精度を高めるべく、毎回改善のPDCAサイクルをまわし、仮説検証を繰り返して、より良いセミナーを創ろうと日々トライしています。
その中の一つとして、「Q&Aセッション」の改善への取り組みがあります。今回はこのQ&Aについて、これまでやってきた取り組みやカタチづくりをご紹介します。
Q&Aセッションはセミナーの要
改善サイクルを回しているものの一つとして、セミナーの最後に行っているQ&Aセッションがあります。
実はセミナーをやる上で、Q&Aはすごく重要です。
セミナー講義以上に、ここに力を入れることが大切だと言えるくらいに、お客さんの熱量を高めるには必要なパートになります。
なぜか。
前回の記事で書いたように、セミナーの開催目的をセミナー参加者からの商談創出とするなら、参加者の熱量を高め、コミュニケーションできる接点を増やすことがポイントとなります。
参加者の熱量を高めるためには、運営側からの一方的な情報伝達だけだとどうしても弱いです。
参加者は個々に異なる自社の状況と課題を持っており、それを解決したい、もっと良くしたいという想いからセミナーに参加されていると思います。なので、参加者の熱量を高めるには、個々の課題を個別に解決したり、会話することが重要で、参加者とのインタラクティブな会話ができる機会をつくることがとても大切になります。
そこで活用できるのが、Q&Aです。
もちろんその後の懇親会でも個別に会話することはできますが、懇親会になるとガッツリと課題解決の話というよりも、名刺交換などのネットワーキング的な要素も入ってきますし、本当に個別にしか会話できません。
個々の課題と言えども、別の参加者の方に参考になることも多々あります。なので、Q&Aの時間を充実させることはとても効果的です。
そして、Q&Aの満足度が高めれば、自ずとその後の会場残留率も高まる傾向にあります。そうすれば、直接ゆっくりと会話できる機会も増やすことができます。
Q&Aの改善サイクルを回す
しかし、よくあるQ&Aのパターンは、講義セッションが終了後に、「では、質問ある方いらっしゃいますかー?」というもの。
セッションが超具体的だったり、著名な人気講師だった場合、この方法でも質問は出ます。しかし、通常このやり方をすると、ほとんど質問が出ず、静まりかえってしまい、「じゃあ、、質問ないようなので、今日はこのへんで...」という気まずい感じになって終わってしまうことが多いです。
初期はぼくたちもこれと同じやり方をしてました。「何か質問ありますか?」と発して、ひたすら待つ。しかし、ほとんど質問が出ない。
その結果、最後がしらけて、みんなそそくさと帰っていく...ということになっていました。
そこで、次に試してみたのが、質問が出なかった時の対策として、「予め質問がなかった時にこちらから話すテーマを決めておく」というもの。
これだと、質問が出なくてしらけて終わってしまうということはとりあえず防げます。
「ご質問がないようなので、よく聞かれるものを挙げますね」と伝えて、いくつかのトピックを紹介するという流れだと、セミナー講義の延長のような雰囲気でQ&Aも進められます。
しかし、この方法も限界がありました。
というのも、こちらが一方的に話している形は変わらないので、参加者の熱量があまり上がらないんです。
セミナー自体はスムーズに終わりますが、参加者の方がほんとうに聞きたかったことをしっかりと伝えきれてるとは言えない形となってしまいます。
(コラボセミナー風景:細田さんのQ&Aボード)
そこで、改めて「いかにお客さんからの質問を増やす仕掛けをつくれるか」をみんなで話し合いました。
ときにはこんな怪しげな会話も...
「社員をサクラで紛れ込ませて、最初に質問させようか」
「それならスムーズに質問続きそうだね!でも、その後の名刺交換でサクラってわかるよね」
「たしかに…」
ということも真剣に話し合いました(笑)
サクラとは言わずとも、予め既存のユーザーさんや常連の参加者の方にお願いして、質問を最初にしてもらう、ということは結構考えました。
ですが、前回の記事でも書いた通り、小手先のテクニック(北風的発想)で参加者をコントロールすることはしたくないという想いがありました。
そこで、やはりセミナーに来てくれた参加者の方が、自発的に質問してくれやすいカタチをつくることが大切だという結論になりました。
その中から出てきたアイデアが、「ポストイット(付箋)」でした。
質問が出ない一番の要因は、誰も手を挙げていない雰囲気の中で、自分が手を挙げるということへのハードルです。
であるならば、そのハードルを下げる仕組みがあれば、もっと質問が出やすい環境をつくれるんじゃないかと。
そこで、Q&Aセッション前に一人ずつにポストイットを何枚か配布し、「これから質問セッションを行いますので、お一人あたり2,3個質問を書いてください」と伝えました。
ここでのポイントは3点。
① 無記名で良いこと質問を出す
精神的ハードルを下げる
② ポストイットを3〜5枚と複数枚配り、「2,3個書いてください」と伝える
「1つでも良いので質問出してください」と伝えると逆に質問が思いつかないので、初めから複数書くこと前提に伝えた方が質問が出やすい
③ スライドなどで質問例をいくつか掲載しておく
例があれば、思いつきやすくなる。さらに質問例は初心者的なものと応用的なものを載せておくことで、幅広く質問していいことを暗に伝える
これも何度かセミナーをやりながら一つずつ気づいていきました。
そして、書いていただいたポストイットは、参加者の方の目の前にホワイトボードを持ってきて、そこにペタペタ貼っていきました。
そうすると、どんどん質問が出てきました。
あとはその付箋の中から、質問を選んで、回答していくのみ。
細かいノウハウを言うと、経験上、ポストイットを配布するタイミングは、最初からではなく、Q&Aの直前に渡した方が回答率が高いです。
最初にアンケートと一緒に貼って渡した方が楽ではありますが、ちょっと一手間加えるだけで反応率変わるので、ぜひ試してみてください。
この結果、QAセッションの満足度と熱量は一気に向上しました。
Q&Aをポストイットとグループ化で熱量高める
しかし、続いての課題が出現。
それは、「質問が出過ぎて答えきれない」問題。
ありがたい問題ですが、せっかく質問したのに回答できなければ、質問した参加者は悶々としてセミナーを終わってしまいます。
なので、質問していただいたからには、出来るだけ回収することが必要です。
そこで行き着いたのが、「QAセッションを複数のグループに分ける」という形態。
セミナーの講演セッションで話してくれた登壇者だけでなく、FORCASのセールスやCSのメンバーなど、質問に客観的かつ的確に回答できる人に依頼し、Q&Aセッションだけ回答者として参加してもらうようにしました。
そして、セミナー参加者は10人以下のグループに分け、各グループに回答者が一人ないし二人つく。そして回答者によって答える領域が異なるので、10分おきなどで回答者がローテーションしてグループをまわっていく。
というカタチをつくりました。
これには想定外のプラスの効果がありました。
①少人数なので、質問者と回答者がインタラクティブに会話できる
②質問者と他の参加者の間でも会話が生じる
その結果、自然とセミナー後の残留率が上がり、我々メンバーが話しかけやすい環境もつくることができました。
特に既存ユーザーの方が登壇いただいて自社事例ついて話していただく「コラボセミナー」では、毎回セミナー後も質問待ちで列ができるほどの人気となりました。
この形態は毎回人気だったので、特に恵比寿のオフィス時代はかなり活用しました。
そして、最近ではQ&Aとパネルセッションを混ぜた形の質問セッションを試しています。
(コラボセミナー風景:湯原さんとのQ&Aパネルセッション)
アットホームな雰囲気をつくることで、気さくに質問を出していただく空気をつくったり、最初にパネル形式で抽象的なテーマをあげて登壇者に回答いただいてから、それに関連した質問を参加者に投げかけてみるということもあります。
(コラボセミナー風景:日高さん久我さんとのQ&Aパネルセッション)
おわりに
ぼくたちは現在、さらに新しいQ&Aのカタチをつくっています。
ポイントは「いかにセミナーの熱量を最大化させるか」。
そのために熱量をいかに集中させるかという点で、毎月一緒にコラボセミナーをしてくださっている湯原さんと、新しい形態にチャレンジしています。
ただこれを話すと結構長くなってしまうので、また別の機会に書きますね(笑)
また、最近では「sli.do」という、匿名で質問を集められるサービスを活用することもしています。
sli.doは無料で利用できるサービスで、会場の参加者に「sli.do」にスマホやPCからアクセスしていただき、あらかじめ決めていたイベントコードを入力してもらうと、匿名で自由に質問を投稿できたり、他の参加者が投稿した質問を見れたりできます。
sli.doを前のスクリーンに投影したり、各自のスマホで見ていただきながら、パネルセッションなどで、登壇者がその質問に回答していく、というのも盛り上がります。
一方、sli.doを使うと、参加者がsli.doの画面に集中してしまって、登壇自体に目がいかないっていう事象もあったりするので、使い分けは必要だなと思っています。
とにかく大切なのは、セミナーもマーケティングも絶対的な正解がないということだと思います。だからこそ、常に最善のカタチを目指して、改善サイクルを回し続けていくことが重要だと考えています。
今回はぼくらがやってるQAセッションのことをご紹介しましたが、他の取り組みについても別途ご紹介していきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。読んでくださり、ありがとうございました!
ではっ!