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親を反面教師にしてはいけないの?
子育てに関する悩みをお聞きしていると、クライアントさんがよく言われるのがこの言葉です。
「私は自分の母親のようになりたくないんです」
「親と同じ子育てはしたくないんです」
このように言われる方は少なくありません。
これはいわゆる反面教師と言われるものです。
「反面教師」とは
反面教師とは親や他人の悪いところを見て、そうなってはいけないと教えられる人や事例のことである。自分は同じ道を辿らないように心がけるということわざである。
つまり、目の前に自分の行動を戒める為に悪いサンプルを置き、律している行動の事を言うわけです。
この文章だけで見ると親を反面教師にする事は良い事のように思われます。自分が親と同じ間違いを繰り返さないために(例えば、親に殴られてきた人は親のように子供は殴らないとか、親に無視されてきた人は自分は頑張って子供の話を聞こうとする、など)
親の間違いを見る事で、親とは違う良い子育てをするための行動基準になるので結果的には良い子育てを出来るようになりそうに感じませんか?
これはある面ではその通りだと私は経験から思っています。
私自身も親と同じ子育てはしたくない、と言う気持ちがとても強かったので、自分がされて嫌だったことは絶対に子供にしないと決めて子育てしてきましたし、今でもそれは消えてはいません。でも、そうやって自分の過去や痛みと向き合いながらしてきた子育てに私は誇りを持っています。
それは、良い子育てをしたという意味ではなく、試行錯誤して悩みながら失敗しながらも、自分が子育てを頑張ってきた自負があるという意味です。
自分が出来るだけの事はやってきたという感じです。
これが反面教師のもたらす良い面の部分です。
でも、反面教師の子育てが良い面だけをもたらす訳ではないのも事実です。
それが子育ての苦しさです。
反面教師の子育てって心に余裕がなくなるので、ずっと苦しいものになりがちなのです。親に対する「ああなりたくない」という思いが強ければ強いほど、その苦しさは比例して、同時に自分に対する厳しさも増していきます。
それが反面教師の子育てのマイナス面だと思っています。
だから私は、親を反面教師に子育てをしているお母さん達に言いたいのは、その子育てのやり方をやめようと悩むのではなく
(実際に良い効果や良い面も生み出しているのも事実はなずだからです)
「ああなりたくない」と思った気持ちと寄り添ってあげながら、自分に優しくする時間も持ってほしいということです。
子育ては生身の子供との間に愛着を育む仕事です。
ですが、親に対して「ああなりたくない」と感じている人達は、おそらく親との間に温かさや優しさや愛着を育まれた経験がないはずです。
子供を愛するってどうしたらいいんだろう?
良い子育てってなんだろう?
と悩みながら子供に触れ、不安を抱えながら子育てをしているはずです。
それは、そもそも最初から苦しい場所から子育てが始まっているということなんです。
そんなあなたが今、あんな親になりたくないと思いながら、マイナススタートの地点から必死で子育てしていることそのものがとてつもなく偉いことだと私は思っています。
そして、それをあなたに気付いて欲しいのです。
自分はずっと頑張って子育てしているのだ・・・ということ。
頑張って頑張って子育てしているのだ・・・ということ。
その気持ちに優しく寄り添ってあげる時間をぜひ持ってあげてください。
まずはお母さん自身が力を抜いて心を緩めて子育て出来る状態になっていくことが一番必要なことです。
また、子育てに関して、ああなりたくないという思いが強すぎてしんどいとか、子供についイライラしてしまう、子育てがつらいと言う時は第三者に相談してその疲れた気持ちを受け止めてもらう時間も必要です。
ひとりで頑張りすぎているお母さん達にこの記事が届けば幸いです。
カウンセリングで子育ての悩みを解決された方のご感想を紹介させて頂きます。良かったらこちらの記事も併せてお読みくださいね。