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社会を変える力は感情なのか?

社会問題がイシューになればなるほど、映し出される視覚的情報の中に「感情」があると感じることが多くなりました。
当然社会問題を解決しようとする当人が感情のある人間である以上、引き離すことは難しいかもしれません。
ただ、そこに対し危機感にも近いものを感じます。

日本と韓国の美徳の違いも、この「感情」にあります。
(もちろん韓国人だからとすべての人が喜怒哀楽を100%表現するわけではありませんが…)
日常で目にするこの感情の渦に、今となってはだいぶ慣れましたが、環境問題への感情はますます大きくなっています。

이토록 재활용이 힘든 병을 생산하도록 내버려 둔 시스템에 분노가 치밉니다. 저는 이런 분노를 시민 한 명 한 명이 니끼길 바랍니다. 그래야 시시템이 바뀔테니까요.  

착한 소비는 없다 (최원형 지움,2020) p.78

分別の難しい生産システムに対して「憤り」を感じ、その感情を市民一人一人が感じることが、そういうシステムを変えることができると述べています。
この「憤り」が、近年の韓国における社会問題や環境問題へのアプローチに最もよく登場する感情ではないかと感じます。
他にも、韓国で最も力のある環境運動連合を見てみましょう。

국립공원을 지키기 위해 시민의 분노를 조직하고 강력히 저항할 것이다. | 환경운동연합 (kfem.or.kr)

直訳すると、国立公園を守るため市民の「憤り」(怒り)を組織し強く抵抗する!、とあります。
この団体からのメールによく使われる顔文字はいつも怒っています。
以前参加したリサイクルの不可能なプラスチックの蓋に対するキャンペーンも、タイトルから既に怒りを全面に押し出していました。

ここで不思議になるのは、環境問題を職として教える講師には感情を感じません。(熱心な講師はごく少数)
韓国では日本でいう部活のような放課後の活動も外部の講師がするシステムであるので、担任がする場合を除いては、環境教育も講師として活動する個々人が派遣されます。
派遣先に気に入ってもらえればもう一度呼んでもらえる職でもあります。

話を戻し、環境団体のパフォーマンスや記者会見をニュースで見聞きすることも増えました。
過激派も中には存在します。
過激であることは人々に強烈な印象を与え、それはここ韓国でも環境団体に対する嫌悪感にもつながっていきます。
さらに、韓国ではご存じの方も多いと思いますが、大統領を弾劾したり、ストライキなど、社会の変化を感情にのせて大きくさせた動きで成し遂げようとしてきた歴史があり、それは現在進行形で続いています。
政府や自治体、企業に対して持続可能な社会のために社会は変化する必要はあることは紛れもない事実です。

しかし、感情は不安定で不確定なものです。
それも含めて子供たちに伝えることは果たして大人として正しい道なのでしょうか。
私たち大人が未来を生きる子供たちに、社会を変える力をどう見せることできるのでしょうか。
日本では昔から親の背中を見て子供は育つといいます。
私たちがどのように社会を変えようとしているのかを、今一度見つめなおそうと思います。

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