本から見つけた韓国の心②
料理を通して国を知ることは面白いことです。
知れば知るほど深く、感嘆せざるを得ないほど知恵がたくさんつまっています。
経済成長と便利さの追求の裏で、影が薄くなっていた部分であるようにも思います。
日本でも韓流ブームを受けて、ナムルという韓国料理を知る方も多いことでしょう。
レシピ本やSNSでレシピを検索すると、ナムルもたびたび登場します。
お盆や旧正月で、準備する定番メニューにナムルがあります。
豆もやしやほうれん草、桔梗の根、しめじなどが多いです。
ナムルを国語辞典で検索してみると、人が食べることのできる草や葉っぱ部分を湯がいたり炒めたり、(加工せずに)干すか炊いて合わせ調味料で味付けするものです。
この人の食べることのできる、という分部が私には興味深かった点です。
なぜなら、韓国のスーパーで売っているものは初めて見るものも多かったからです。
食品コーナーに並んでいなかったら、食べるものだとは絶対分からないでしょう。
そんなナムルを子供向けに紹介した本があります。
題名はずばりそのまま この草も食べれるの? です。
野菜にも季節のあるように、食べれる草にも季節があります。
この本はその中でも春に食べる草がでてきます。
日本にも春の七草がゆがありますが、韓国の春ナムルはまた別の植物でした。
ナズナ
ニガナ
オノマンネングサまたはツルマンネングサ
クサノオウ
ヤエムグラ
タンポポ
よもぎ
タラの芽
ヒメニラ
ボウフウ(防風ナムル)
日本語訳を調べても、一体何の草か分からないものもあることでしょう。
実際食べてみると本当に草です。
それを美味しく食べるのが韓国料理の知恵。
ほうれん草も日本にいたころは細長い一種類しか知りませんでしたが、ナムルにする時は短くて太めの山ほうれん草を使います。
この時に一般のごま油ではなく、エゴマのごま油を使うことも義母さんに教わりました。
作りおきメニューとしても重宝するナムルも、材料を洗って選別して湯がいて…という工程が忙しい現代人にはないのかもしれません。
スーパーでもネットでも、作り置きのおかずはよく売れます。
たくさん作って、という時代が過ぎ去ろうとしています。
私が韓国に嫁いだ10数年前よりも、本当に少量だけ販売する商品が圧倒的に増加してました。
服はたくさんあるのに着ていく服がないことを嘆きます。
食べるものはあるのに食べるものがないとつぶやく主人を見ながら、
あることへの認識が薄れているのだと感じました。
料理の語源を調べると、物ごとをうまく処理することとあります。
人間が自然の恵みを上手に処理すること、つまりはそこに知らずのうちに回りまわって循環した世界ができあがっていたのではないでしょうか。
そんな昔の知恵と心をまた一つ、感じた本でした。