大学生のアルバイト――すみません、私が間違ってました
大学生の息子とバイトに関してひと悶着あったのですが、その後、彼は近所の商店で黙々と働いています。
息子に指摘された通り、私の中には確かにバイアスがありました。勝手な希望、勝手な思い込みが。
どうせバイトをするなら、知らない世界を見てほしい。全然違う世界を知ってほしい。いろいろな経験をしてほしい。
だから近所の個人商店で手伝いをするより、塾講師でもして「人にものを教える」経験をしたり、様々な環境で育った生徒さんたちと接したりして、自分の知らない世界を見てほしい。
あるいは大手のコンビニとかファミレスとかで、マニュアル通りの仕事がどんなものか、その良さとダメさを知ったり、まったく違う背景を持っている大勢のバイト仲間と話したり、良い上司や嫌な上司を見たりしてほしい……
そんな考えが頭にあったので、口では「どんなバイトでも自分で決めたらいいよ」と言いつつも、態度や言葉の端々には「個人商店でのバイトはちょっと……」という思いが出ていて、「気にしい」の息子には否定的に感じられたのでしょう。
結論から言って、私が間違っていました。
どんな場所であろうと、その気になれば学べることはいくらでもある。
50年以上生きてそんな事実はいやというほどわかってたはずなのに、自分の息子には冷静にそう考えられない愚かな母でした。
当然のことながら、息子は「近所の個人商店」という私が「狭い」と思っていた世界で、毎日多くのことを学ばせてもらっています。
「今日は○○をやらせてもらった」という実作業の一つ一つはもちろん、買い物に来るさまざまなお客さんとのやりとり、対応、忙しいときの効率的な手順、電話の出方、お金の扱い方、店が開いていない時間に膨大な作業があること、一緒に働く人たち同士の関係、自分がそこにどう入っていくか、どうやって知らないことを教わるか、そしてお給料の喜び、etc…
どこにいても学びがある、という恥ずかしいぐらい当たり前の事実を目の当たりにして、本当に反省しています。
翻って自分の仕事に関する悩みを考えてみると、それも無意識のうちに持っているバイアスのせいで複雑に思えているだけなのかもしれません。
大事なことを思い出させてくれた息子のバイト先の方々、それに息子自身にも、感謝しています。無意識のバイアスって、自分では本当に気づけないものです!