「刺繍」という「絆」~「むぎの会」刺しゅう展@銀座アートホール
先週、「銀座アートホール」で、髙村タチヤナさんが主宰する刺しゅうグループ「むぎの会」の「刺繍展」があった。
インスタグラムで、開催を知り、そのキャプションに「銀座での展示会にひと区切り付ける」との言葉を見つけ、
「えっ~!」
とびっくりし、絶対、行かなくては!と思い、腱鞘炎の右手をショールで吊りながら、私は出かけた。
「むぎの会」は、タチヤナさんが、かつて「雄鶏社」からも本を出されていた繋がりもあり、母が、現役で刺繍をやっていた頃から、お付き合いのあった「刺しゅうグループ」だ。
会場となっている「銀座アートホール」は、「むぎの会」が、長年、展示会場としてきた場所。
それ故、母は、このギャラリーには、何度か訪れたことがあり、タチヤナさんとは、その頃、お会いしたと母は、話している。
数年前、実家を片づけた時も、「むぎの会・刺しゅう展」の「古いハガキ」が、何枚か出てきた。
今回で「ひと区切りつける」理由は、メンバーの高齢化だ。
平均年齢が、80歳以上となったとのこと・・・
今回の刺しゅう展の「ご挨拶文」
⇓⇓⇓
「染め」を刺繍に取り入れる
サムネイルの写真は、会場に展示されていたタチヤナさんが、過去に刺された薔薇の作品。
この作品の布は、赤く「染め」られている。
前回の「むぎの会」刺しゅう展に伺った時、
作品の背景が、グラデーションになっている作品があった。
「この背景は、どうやったんですか?」と、作品を作られた方に質問したら、「これは、染めたんです」との答えが返ってきた。
しかも、「染め」たのは、タチヤナさんだ。
「先生は、染もお上手なんです。」とのことだった。
母の「刺繍作品」にも、「背景」がグラデーションになっているものがいくつかあって、それは、オーガンジーを使って表現している。
しかし、それとは違って「むぎの会」では、「染め」を使って表現している。
これは、タチアナさんが「染め」ができるからこその「むぎの会」の「得意技」だ。
今回も、刺繍布に「染め」を施し、作られていた作品があった。
「布」に「図案」をサラッと描ける!タチヤナさん
「むぎの会」のメンバーの中にも、インスタグラムをされてる方が、何人かいて、私はフォローしている。
その投稿を閲覧していると、「タチアナさんが、生徒のために図案を描いた」というキャプションを目にすることがある。
それも「◯◯さんのために描いた」というくだりもあって、感心した。
今回の展示の中に「テーブルクロス」で、面白い作品があった。
それが、これ!
⇩⇩⇩
なんか、おもしろいな~
私が、それを見ていると
「先生は、こんな図案も描かれるですよ~」と話しかけてくれた方がいた。
話を聞くと「図案」は、タチヤナさんが、「布」に直接、描いたらしい~
小さいもの、例えば、「ハンカチの隅」に刺繍をするような場合、母も「布」に、直接「図案」を描きこんでいた。
でも
こんな「テーブルクロス」のような大きい布に、直接、描くって、なんとも大胆不敵な「すごさ!」を感じる。
でも
出来ちゃうんだろうな~
心からの称賛
こんなに、素晴らしい「作品」を生み出すことが出来る「刺しゅうグループ」が、「ひと区切り付ける時」を迎えたことは、寂しくもあり、残念な気持ちにもなる。
ご高齢のタチヤナさんは、既に、数年前に施設に入られたと聞いている。
「むぎの会」が、拠点としている東京・目白の「教室」は、現在、生徒の皆さんが、賃料を出し合う形で、存続していると伺った。
「むぎの会」のみなさんが、長い年月、刺繍を共に学び合いながら、繋がってきた「絆」を思わずにはいられない。
髙村タチヤ先生から継承され、各々の「アイデンティティ」の一部となった、簡単には、手に入れることが出来ない「刺繍技術」が、その「絆」の根底にあることを、展示されたすべての「作品」が、物語っていた。
これまでの「むぎの会」の活動に、心からの称賛を贈りたい。
そして、この先も、「夢」を保ちながら、「むぎの会」の皆さんが「刺繍糸」を紡いでいかれる事を願わずにはいられない。